第812回 「あるもの同士の組み合わせ」

8月10日              中村 覚

昔、「知ってるつもり!?」という歴史上の人物を紹介する番組がありました。当時 学生だった私はそれほど熱心に観るわけでもなく、気が向けばたまに観るぐらいのことだったのですが、番組で取り上げられた作曲家の言葉を いまだに覚えています。(すでにお名前は忘れましたが) 自分の作品への世間の称賛に対して「作曲なんて ドレミファソラシドの並び替えですから。」という言葉でした。

謙遜や照れ隠しの表現だと思うのですが、これを聞いて私は「確かに そうだ!」と納得しました。人それぞれ 心に響く曲があると思うのですが、「この曲は本当に素晴らしい! 実はドレミファソラシド以外の『ル』の音が入っているからだ。」などと いうことはありえません。

作曲に対して針の先ほどの興味もありませんでしたが、物事全般に対するとらえ方として 良いことを聞いたなという感じでした。 いや その頃、ここまで考えていたわけではないので、後付けですね。(笑)

それから時間は流れて、去年のこと。「アイデアのヒント」という本をパラパラと見ていた時のことです。

「アイデアとは既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない。」と、冒頭 紙面のど真ん中に、ドォ~ンと書いてありました。ここを読んだ時に 浮かんだのが、先程の「作曲なんて ドレミファソラシドの並び替えですから」でした。

昔の記憶と本に書いてある内容がつながった気がして、 やっぱりそういうものなのかぁと、自分なりに納得しました。

もちろん、突き抜けて独創的なアイデアも世の中に存在すると思うので、いちがいには言えません。 でも 身近な例で言うと、消しゴム付きの鉛筆です。「消しゴム」と「鉛筆」をくっつけたら、あら不思議、特許商品のできあがり! いいなあ。(笑)

だからと言って「私も既存の物同士を組み合わせてアイデア商品を作るぞっ!」と意気込むのもどっか違います…。 いや 作れるものなら作りたいですが。(笑)

そうじゃなくて、既存の物同士を組み合わせて、「日々の暮らしに面白味を。」と再確認したのです。

そういう目線で改めて部屋の中を見てみると、ポツリ、ポツリと既にそれっぽいものがあるじゃないですか。(笑) (自己満足であることをお断りしつつ)今からちょっと見てもらいたいと思います。

これは 以前 期間限定でペットボトルのコーヒーに付いていたタグです。クラフト紙の質感に対する活字などの色合いが良いなと思い、捨てずに取ってありました。 でも こういった物は引き出しなんかにしまい込むと、「それっきり…」になりかねません。それなら、とりあえずということで、

木彫り風の動物の首に吊るしてやりました。全然関係のないもの同士ですが、遠目に見る分には意外と似合っているような気がします

これは1000円で買ったフラミンゴです。値段の割に大きいという一点に飛びついて買ったものの、チープさは否めません。(笑)

そこで以前、プレゼントをもらった時のきれいな袋を取ってあったので、それに入れてやりました。顔しか見えなくなりましたが、秘すれば花。値段以上になった気分です。

3年ぐらい前にマンドリルのブームがありました。(笑)かなり盛り上がっていたので「これに乗らない手はない!」と思い始めたが最後、仕組まれた罠の中、ブームには抗いきれません。

ぬいぐるみを買うはめに。
ネット購入だったのですが 届いて唖然とします。 毛並は予想通り良かったのですが「目」が違う。

こんなかわいい目じゃなくて、もっと こうぉ 野性味のある…。でもネットの画面では確認しきれなかったんです。腹立たしい満足のいかないサルです。

それから2年程経って、付き合いで イノシシの被り物を買いました。

こんな物は1,2回被れば ポイ捨て以外、どうしろと言うのでしょうか。だからと言って、ホントに捨てるのはもったいないし、押し入れにしまい込んでしまうと、それっきりになりかねません。

そうや、アイツや。

新種の動物になりました。

どれも組み合わせを狙って買った物ではありませんが、結果的にまずまずかなと。(笑)

 

第809回 「知らなかった!熱中症対処の落とし穴」

7月22日

先日の夜9時頃、知人の女性から電話がかかってきました。
「今、具合が悪くて…、手がしびれてなんか意識が遠くなりそうで…熱中症じゃないかと思うんだけど」
知人は一人暮らしです。あわてて、我が家のドクター(夫)と駆けつけました。

彼女はぐったりと座っていました。昼間、外回りの仕事をして、夜まで元気だったのに急に具合が悪くなったようで、首筋など体を数カ所冷やしていました。「さっき、水もコップ2杯ぐらい飲んだんだけど、だんだん具合が悪くなってきて…」

その時夫が言った言葉。「熱中症は具合が悪くなってから水を飲んだら逆効果だよ」
え!?と彼女と私は驚きました。「水を飲んじゃいけないの!?」

「水を飲んじゃいけないんじゃなく、水だけじゃいけないんだ、塩分も取らないと。具合が悪くなってからは、水じゃなくて経口補水液やスポーツドリンクを飲まないといけない。これ、飲んで」と家から持ってきたOS-1を渡しました。(所さんがCMに出ている、あれです。)

それを飲んで話をするうちに、15分ほどで彼女は回復して、ホッとしました。
30分ほどして帰宅しましたが、私はさっきの驚きがまだ尾を引いていました。
「熱中症で具合が悪くなってから水を飲んだら、逆効果なんて知らなかった。」
「水だけじゃいけないってこと。別に経口補水液じゃなくても、水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの だっていいんだけどね」

「ついでに言うと、コーヒーやお茶はカフェインがあるから利尿作用があって、飲んでも水分補給にはならないから、熱中症予防にはお水を飲んだ方がいい」
「じゃ、カフェインがない麦茶なら?」
「麦茶はOK」

そういえば、私が見た麦茶にはわざわざ「カフェイン0」と表記されていました。妊娠中や美容の面からもカフェインを避ける女性たちが増えているようですが、熱中症にもいいんですね。

厚生労働省の「熱中症予防のために」というサイトを見ると、
「熱中症が疑われる人を見かけたら
・涼しい場所へ  エアコンが効いている室内や風通しのよい日陰など
・体を冷やす  衣服をゆるめ、からだを冷やす
・水分補給  水分・塩分、経口補水液などを補給する 」

とありました。でも「水分補給」だけだと、「とにかく水を飲ませればいいんだ」と誤解している人は私を含め、多いように思います。いざという時のために、冷蔵庫には経口補水液を常備しておくといいですね。

それで思い出したことがあります。昔から夏には冷えたスイカを食べていますよね。塩をちょっとふると甘みが増しますが、あれってスイカの水分・糖分、そして塩と、天然の経口補水液だったのかもしれませんね。(笑)

第808回 「お隣の昔話」

7月13日               中村 覚

読みかけの本を持って お昼を食べに店に入ります。食事が運ばれて来るまで読むつもりが、面白くて食事がきてからもついパラパラとやっていました。気が付くと、1mも離れていない隣の席の話し声が聞こえるともなく聞こえて来ます。頭髪が白くなった男性2人の会話です。カメラの話をしているようで「最近は何につけ、許可をもらって撮らんといかんので、面倒になったな。」などと話しています。言外に「昔はそんなわずらわしさはなくて良かったよな」そんなふうに感じます。

カメラのことはわかりませんが、懐古趣味のある私は「その気持ち、わかるなぁ」と。(笑) それから話は 日本製品と外国製品の比較や朝鮮戦争の時、寒い現地で活躍したカメラや難しい機種名が出てきて、話はどんどん専門的に。こうなると自然と気持ちも読んでいた本に戻るというものです。

ところが、カメラはカメラでも今度は映写機の話になり、「昔、ロードショーは(映画館の)中央の座席はちょっと料金も高い時期があったなあ。」と。(えっ!? そんなの初めて聞くし…。) ちょっと背伸びをしたら手が届きそうな昔話は大好きなので、読みかけの本よりこっちの方が断然、面白そうと心変わりしました。

「お話し中、すみません。 あの、昔は中央の座席、値段が高かったんですか?」と2人の間に割り込んでしまいました。「なんじゃ、コイツは?」と思われるのは覚悟していたのですが、この後 しばらく話に混ぜてもらうことができました。もちろん私はもっぱら聞き役です。何も知らない私が入ってきたので、わかりやすいようにと話題に補足説明を加えてくれ、話すスピードも若干落としてくれたような気がしました。 どうもお2人の内、一方の方は映写技師をなさっていたようです。

昔の映画業界のことを「そうかぁ、そういうことがあったのかぁ。」と興味津々、お聞きすることができました。もちろん全てを理解できたわけではないですが、楽しい時間を過ごさせてもらいました。
話の中で、特に印象に残った話題を1つ。

「封切りしたばかりの映画」 この表現、今まで聞いたことはありましたが、「封切り」の意味は「公開」と考えていました。もちろん意味はこれで通りますが、教えてもらった話によると、昔は映画フィルムを入れ物から取り出して機械にセット。この時 開封する、封を切っていたから、「封切り」と言ったそうです。

封切りされたばかりのネガフィルムは映像がきれいで、初めて大阪で「封切り映画」を観た時のことは今も覚えていると おっしゃっていました。当時はフィルムですから、上映を繰り返している内に画面に線が入ったりして、次第に劣化していくわけです。高知などの地方に回ってきたネガは、それ相応の状態だったのかと想像します。しかし、劣化したフィルムしか見ていなければ、何も不満はなかったのかもしれません。公開する順番によって画質が違っていたというのは今の時代では考えられないことだと思いました。

ところで、最近の映画館は昔のように何度でも観ることができません。ほとんどの館が、1回観たら退室です。こういった状況の中でも、ついつい上映時間に遅れてしまうお客さんは今もいるわけです。もちろん遅れたからといって入場できないわけではありませんが、その時は座れる席がかなり限られてくるそうです。既にご覧になっているお客さんの迷惑になってはいけないという理由から、端の方の座席に限定されるらしいのです。

実は先日、映画館でスタッフの方からこの一連の説明を受けている年配の男性を見ました。その方はしぶしぶ「わかった。」と納得したようでしたが、「昔は違った。『ちょっと すんません』と会釈して、座っている人の前を通ったもんや」とつぶやいていました。

こういったこと全部含めて、映画館の移り変わりを感じたことでした。