第748回 「幕末維新写真展」

5月21日

高知家では3月から「志国高知 幕末維新博」が開幕しました。幕末維新期の土佐の歴史を巡り、維新の息吹を感じとって頂くものです。場所は、新しくオープンした高知城歴史博物館と坂本龍馬記念館の2つのメイン会場、加えて各地域における幕末維新の志士ゆかりの歴史文化施設など20の地域会場があります。

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その会場の1つである宿毛市歴史館で行われている「幕末維新写真展」を見に行きました。全国でも貴重な幕末から明治にかけての多くの「ガラス湿板写真」を展示するというもので、ちょっと面白そうと心が動いたのです。会場は、宿毛文教センター3階の宿毛歴史館。

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幕末維新写真展は、幕末から明治にかけて撮影された貴重な写真を展示していました。撮影はOKだけど、フラッシュは禁止とのこと。きっと光による劣化を避けるためでしょうね。

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リアルな着物と髷(まげ)の形。当時の人々の息づかいまで聞こえそうです。
右の写真ケースの裏には、「慶応二年六月一五日 三橋樓 仲居 政女 三浦屋店妓女 君子」と書かれていました。なるほど、襟の合わせ方などがゆったりとしていて、いかにも仲居さんや芸妓さんだなと感じました。

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これは京都で新発見された、堀与兵衛撮影の写真。(初公開)最近、こうした仲居さんと一緒に写真に写った志士の写真などが新たに発見されていますよね。「歴史上の人物」といった感じではなく、なにか親近感を覚えます。

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当時の肖像画と、写真を対比して見るのも面白いものでした。
こちらは明治天皇の皇后、昭憲皇太后の肖像画です。華やかですね~。
そして昭憲皇太后の御真影は、こちら。

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やはり写真になると、ぐっとお一人の人物像を感じます。
肖像画は衣装の華やかさが前に出てくるのに対し、ご真影はお顔立ちから毅然となさったお人柄まで忍ばれるようにも思います。

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坂本龍馬の写真3点もありました。いずれも慶応三年に撮されたものです。

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中でもこの写真は、龍馬の雰囲気がよく伝わってきます。
現存する龍馬の上半身写真では、非常に鮮明に写っているものだとか。
明治期を代表する写真師、成田常吉が複写したものです。

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日本画家、公文菊僊(くもんきくせん)が描いた龍馬の肖像画もありました。右の写実的なものから左のデフォルメされたものまで、年代で比較できるのも面白かったです。そういえば亡くなった大伯父の家にも、真ん中の肖像画に近いものがあったなぁ。

もっと面白いのは、公文菊僊は龍馬の死後の画家で、幕末維新期に撮影された龍馬の写真を参考にしたということです(笑)。菊僊が筆を持ち始めた頃には実際の龍馬を知る人がまだ健在であったため、聞き取りをして肖像画を完成させたとか。

わかるわ~、明治生まれだった私の亡くなった祖母からは、「龍馬は小さい頃には寝小便たれやった」とか、まるで近所のおじさんのことのように聞かされたので。(笑)土佐人にとって龍馬は偉い「センセイ」ではなく、隣にいる身近な友人なのだな、と改めて感じたのでした。

なお「幕末維新写真展」は、宿毛市での展示は5月21日(日)で終了しましたが、中岡慎太郎館(北川村)で7月12日(水)~9月4日(月)まで開催予定です。