第761回 「アグレッシブな自己表現」

8月19日

今年は新しくLABプロファイルの講座を半年にわたって開催しているため、8月だというのにこれからのレジュメ作りに追われ、夏を楽しめていません。でも、東京では8月1日以来雨の連続記録が更新中だとか、さぞかし憂鬱なことでしょう。2014年の夏は高知市でも8月が一カ月ずっと雨で 豪雨で浸水もしたので、人ごとではありません。どうか早くお天気が回復しますように。

さて、先日はある市役所の継続研修でした。今回のテーマは「アサーション」。良い人間関係づくりのための適切な自己表現についてだったのですが、その中で驚いたことがありました。

アサーションでは、自己主張には3つのタイプがあるとされます。
①自己尊重>他者尊重 アグレッシブ(攻撃的)タイプ
自分は大切にするが、相手を大切にしない自己表現タイプ。相手の気持ちは無視して、自分の主張を押しつけようとします。口調がきついだけでなく、相手を見下したり、うまく操作しようとしたりもします。

②自己尊重<他者尊重 非主張的タイプ
相手は大切にするが、自分を大切にしない自己表現タイプ。まず相手を優先するため世間的には「良い人」だと評価されがちですが、NOが言えなかったり、たまったストレスが後で悪口や皮肉に変わったりすることもあります。

③自己尊重&他者尊重 アサーティブタイプ
自分も相手も大切にする自己表現タイプ。自分の気持ちを率直に、その場にふさわしい表現方法ができ、相手の話も傾聴できます。 対立を恐れず、違う意見からより建設的なものを作ろうとします。

研修では事例を出し、この3つのタイプになってもらってロールプレイングを行い、気づきを得て頂きました。大体どこの研修でも、アグレッシブ(攻撃的)タイプの役は大声で相手に詰め寄ったりして笑いが起き、盛り上がるのが常でした。

ところが先日は、アグレッシブタイプの描写が違うグループが2つありました。自分の意見を相手に押しつけるのではなく、「私はこうなんだけど」と冷静に提示していました。「これがアグレッシブ?アサーティブタイプに見えるけど?」と評し、もう一度アグレッシブを確認。こうしたことは初めてでした。

後でレポートを拝見すると、こんな感想があったのです。
「アグレッシブはなかなか自分もすることない表現だし、周囲の人でもほとんど見たことありませんが…(略)」
ええーー!?アグレッシブな表現を見たことがないって!?ビックリ。
道理で、ロールプレイングがズレていたわけです。納得。

考えてみれば、アグレッシブタイプの多い団塊の世代も退職してしまい、攻撃的な言動に気をつけないとすぐに今は「パワハラだ」と言われかねないからでしょうか。特に行政職では、その傾向が強いのかもしれません。

しかしアグレッシブな表現に慣れていないと、不満を言っているお客さまをすぐに「クレーマーだ」と特別視することにも繋がりかねません。考えてみれば、家族でケンカした時にはアグレッシブな表現をすることは珍しくないと思うんですが…。

レポートにも「書いていて気づいたが、家庭では子どもに対してアグレッシブになることがあるので気をつけたい。」という文章もありました。状況や相手によって、タイプが変わることも立派な気づきです。アグレッシブな人はエネルギーに満ちているとも言えるわけで、気づきさえあればそれをアサーティブに変えていくことは可能なのですよね。

こうして、現状の新たな変化を教えて頂いた研修となったのでした。