第770回 「生活必需品だからこそ」

10月20日             中村 覚

タバコやアルコールをこよなく愛する人々、しかし興味のない人からすれば、 ただの無駄遣い。でも嗜好品ですから 当の本人が良ければそれで良し! なるべく買わずに少しでも控えるなどは、どこ吹く風。

ところが、これが生活必需品となると話は別です。例えば、買ったばかりの歯ブラシが2週間で傷んでしまった。仕方ないので新品を購入。今日からはまた新しい歯ブラシになって気分は爽快! とはならないと思います。新しいことは喜ばしいはずなのに、もったいないという気持ちの方に軍配が上がるのでは。

タバコやアルコールよりも よっぽど生活に役立つはずの歯ブラシなのに…。勝手なものです。人は勝手です。私も勝手です。

実は数年前から、「もったいないなぁ」と思う事があって、それは松葉杖の先のゴムです。2~3カ月使っているとゴムが劣化し、(地面との摩擦で擦り減り)簡単に穴が開いてしまいます。こうなると使い物にならず、新しいゴムに交換です。ゴムは1個400円~500円程度ですが、左右の劣化の速度は ほぼ同じなので1回の交換で1000円弱かかります。

「まぁ でも それは仕方のないことじゃないの。」と第三者には見えるかもしれません。しかし私が松葉杖を使い始めた頃のゴムはもっと丈夫で、一年に一回程度の交換で事足りていたように記憶しています。何でもそうですが、昔の品の方が丈夫でしっかり作ってあり 品質も良かったのでしょうか。

ついつい その丈夫だった頃のゴムを基準に考えてしまうので、最近のすぐにダメになるゴムを交換するたびに「何かが違う」と思っていました。 早い話がもったいなさ過ぎるんです。(笑)

そこで1年程前から使っているのが、この靴の補修剤です。本来はつま先のはがれた部分や靴底の滑り止めに使用しますが、靴底も松葉杖のゴム底もほぼ同じだろうと試してみました。

これが意外にイケます。ゴム底に塗ることで、補修剤が地面との摩擦を防ぎ、穴が開きません。塗り固めた補修剤自体は2~3ヶ月で摩耗してくるので、また新たに塗り直します。それを繰り返すことで、同じゴムを使用できます。この靴の補修剤を購入するのに1500円ぐらいかかりますが、私は約1年間、使えました。つまり年間に1500円しかコストがかかりません。

雨天時のスーパーなど、店内のツルツルした滑りやすい床との相性も試してみましたが、(自分が体験した範囲内では)大丈夫でした。元々 新品のゴム先でも雨天時の滑りやすい床は注意が必要ですから、補修剤で塗り固めたゴム先も 注意が必要なことに変わりはありません。

この補修剤、使用方法も簡単です。

まずは、ゴム底に無造作に塗ります。

次に付属のヘラで平らに伸ばしていきます。厚みを増し過ぎると乾いて固まるのに時間がかかります。そして 内部は固まらず外側だけが固まり、使っているとすぐにダメになり、塗り直しが必要になるので 厚みは数ミリくらいに。

このように均一に塗ったものを約12時間、風通しの良い場所に置いておけば出来上がりです。私は夜 21時頃に作って、翌朝の9時頃から使います。

新品を買っても、大してうれしくない生活必需品などは、これくらいがちょうどです。(笑)