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ウィークリーN

第123回●2005年3月27日(日)

 足跡19 「仕事への誘(いざな)い」




 実は私の独身時代の夢は、専業主婦になることだった。だから結婚し、子供が生まれ、転勤を繰り返し、障害児を抱えても、私は自分の境遇には満足していた。仕事など、夢にも思わぬ選択肢だったと言えよう。

 それが、まさかねぇ…。人生とは面白い。

 長女が小学5年生になると、それまで水、金、土だった早帰りの日が、水、土の2日間に減った。たった1日だが、この時間延長でとても精神的・時間的に余裕ができるようになった。私は喜々として、以前から読みたかった本や観たかったビデオなどに時間を費やしていした。それも一段落した6月に、その誘いはあった。

 きっかけは、高校時代の同級生からの電話だった。彼女とは高校1年の同窓会で、卒業以来久しぶりに会ったばかりだった。
「実は今度、社員研修の会社を始めたいんだけど、講師になってもらえない?」
「え!?だって私、そんな勉強もしていないし…」
「大丈夫、あなたは元NHKにいたんだし、少し勉強すればやれるわよ」
驚いた。寝耳に水とはこのことだ。とりあえず、会って話を聴いてみることにした。

 聞けば、松山に本社のある会社の高知支所を立ち上げるのだという。しかし、
「ごめん、毎日子供のバスの送り迎えをせんといかんし、無理だと思う。」と断ると、
「大丈夫、子供が学校に行っている間の時間を活用すればいいでしょ」
「でも…、障害児だから、卒業後は在宅介護になると思うのね。とても仕事を続けるなんて無理だと思う。」それに対して、彼女はこう言った。

 「大丈夫。子供が卒業するまでに、あなたが人を雇えるほど稼げばいいじゃない」
この言葉はまさに、私にとってはパラドックスの転換だった。私がこうだからできない、という言い訳ばかり言っているのに対し、彼女はどうすればできるか、ということを考えている。
目からうろこが落ちる感がした。

 確かに、30代後半からの仕事として、講師は魅力的に思えた。時間制約も少ないし、オープニングスタッフになれば、やりがいもあるだろう。そうか。前向きに、無理せず頑張ってみよう。
 帰って夫に話すと、「まあ、手に職をつけておけば、何かの時には役に立つだろう」と、すんなりOKしてくれた。子供達も小5と小2で、母親に家に一番いて欲しい時期は過ぎていたのも幸いしたようだ。「お母さん、お仕事するが?」「やってみたら」と、これもすんなり。

 こうして、「こうち能力開発訓練研究所」立ち上げのため、他3名の講師候補と共に、勉強を開始した。勉強を始めてみると、みんな前向きで熱心で向上心があり、とても刺激を受けた。やりがいを感じ、ビデオなども借りてきて、自分なりに勉強してみる。
  こんな充実感は何年ぶりだろう?独身の頃の仕事場の活気溢れる雰囲気を思い出し、やる気になっていた。呑気なことに、障害児を抱えての仕事の大変さについて、この頃は考えてもみなかったのだ。


 

   
 
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