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ウィークリーN

第127回●2005年4月24日(日)

 足跡21 「ビジネスって、予測不可能」


 人生では、思ってもみなかった展開がしばしば起こる。
私にとって、障害児を授かったこともそうだが、仕事もまた例外ではなかった。
 のんびりと仕事をし始めたが、本社のある松山にもしばしば出張することもでてきた。帰りが遅くなる時には涼歌は子鹿園にタイムステイをお願いした。事前に「出張のため」と届けを出して認可されると、その日は学校からのスクールバスを途中の子鹿園で降り、 預かってもらう。その後夫が仕事を終えてから迎えに行く、というものだ。しかしそういったことはそう多くなく、年間数回だったので特に問題はなかった。

 ところが1年後に急転直下、私を仕事に誘った友人が一身上の都合で退社することになり、その後高知支所長の仕事を継ぐように言われて、目が点になった。講師の仕事は慣れてきていたが、営業はわからないし、所長には責任もある。「とても無理です」と断ると、社長が「大丈夫、本社が全部フォローするから」とおっしゃった。(まあ、電話番くらいだったらできるかな)と生来の呑気さで、「ではよろしくお願いします」ということになってしまった。

 それまで高知支所は独立採算方式をとっていたのだが、今度は本社の直属という形になり、研修や調査の仕事が回ってきてそれまでと打って変わって、急に忙しくなってしまった。
  ところが実は、その大変さはまだ序の口だったのだ。

 半年後、やっと所長としての仕事にも慣れてきたかなあと思った頃だった。突然、「高知支所は本社から切り離すことにします。あなたは、独立しなさい」ということになった。まさに、寝耳に水。「へっ!?」と思った。どくりつ?起業しなさいってこと?どこか遠い国の話のようで、ピンと来なかった。でも、高知の成績が上がらなかったのは確かに私の能力不足だし、企業にとって不採算部門を切り離す必要があるのは当然のことだから、仕方ないと思えた。

 しかし、困った。すでについてくださっているお客さまはいらっしゃるから、仕事を引き続き行わなければいけない。それは、起業を意味する。だが、まったくそんなこと思いもしなかったし、事業についての予備知識なんてゼロである。恥ずかしながら、私は商工会議所に電話して「あのー、起業するにはいったいどうしたらいいんでしょうか?」と聞く始末。いいのか、これで!?と思うが仕方ない。それからは高知工科大学の起業家セミナー、商工会議所の起業塾、東京でのセミナーなどで、できるだけの勉強をした。後は実践だ。

 その頃高知支所のスタッフは、転勤などに伴い実質私1人になっていた。改めて新規独立に向けて、自分自身の棚卸しをする。本社は松山だったから道後温泉を擁した土地柄上、ホテルなどの研修が多かったが、私はそちら方面はまったくわからない。これまでは組織上、苦手でもやらざるを得なかったが、この際、自分の得意分野だけに絞った方が良いと思えた。では、果たして自分には何ができるのか?NHKにいたことを活かして話し方などはできる。しかし、それだけでは弱い。

 その時、ふとひらめいた。そうだ。私は障害児を10数年間も育ててきた。この経験は医療や福祉関係の研修をするにおいて、役立つのではないか?しかも幸い、夫は医師だ。医療的見地からのアドバイスももらえるし、一緒に地域を回った経験も役立つだろう。それに高知市は、人口に対しての病院割合が全国一の、病院の過当競争地域だ。そうだ、差異化するならこれしかない!

 こうして、新たに医療・福祉研修を柱にした私の個人事務所を2000年1月に旗揚げした。(事業所名はその後2年たって、信頼するなかじま企画事務所に相談し、「人・みらい研究所」と決まった。)初めはゼロだった医療・福祉分野の研修だが、なんとか徐々にお仕事を頂けるようになっていった。苦手だった営業は、この際すっぱり止めた。営業したからといって、研修を依頼して頂けるということは少なかったからだ。考えてみれば、自分だってそう必要度が高いと思えないものをセールスされて断るのは嫌だし、当然ではないかと思えた。しかしその方が、結果として仕事が増えたのだからビジネスとは面白い。

 こうして、夢にも思わなかった「自分でビジネスをする」ということになってしまった。気がつけば、「ここはどこ?なんで私はここにいるの?」状態。まさに手探りだったが、実はその頃、もう一つのやっかいな問題にも直面することになる。

 

 

   
 
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