ウィークリーN
第20回●2003年3月22日(土) 「悲しき開戦」
   
  ついに、戦いが始まってしまった。花咲く春が訪れている日本で、彼の国の悲劇を思い起こすと、心が痛む。先日、世界情勢に詳しい知人から色々な各国の裏話を聞き、大変複雑な思いをしている。

一つはなぜ、フランスやロシア、ドイツ、中国などがイラク攻撃に反対をしているのか。実はこれらの国はフセイン大統領個人に相当貸し込んでいるので、失脚すると債権や石油の利権がパーになるし、武器を売り込むお得いさんも失うのだそうだ。3月22日付の朝日新聞に、13年前にクウェートに駐在していてイラクに連れて行かれ、人質になった方が「クウェートの地を蹂躙したイラクの戦車は旧ソ連製、戦闘機がフランス製だった」と証言なさっている。フランス等の主張する「人道的な見地」というのは建前なのだと知り、愕然とした。

アメリカにしても、世界で第二位の原油埋蔵量を誇るイラクの原油を押さえたいし、エンロン事件で逮捕されてもおかしくないチェイニー副大統領らから目線をそらせるためもあって、短期決戦へ持ち込んだということらしい。国連などどうでもいいのだと思っていることは、今回のことで多くの方が思い知らされたのではないか。

「犠牲になるのは一般市民ではないか。戦争はやめて欲しい」という国民感情と、いかにかけ離れたところで政治や世界情勢は動いているのかを知り、本当に悲しかった。北朝鮮の問題もある。私は小泉さんを初めから嫌いだったが、したたかな世界を相手に現在の状況を乗り切るのは、本当にしんどいだろうとその点だけは同情する。

やなせたかしさんのアンパンマンは、おなかがすいた人たちに、自分の顔を分け与える。「自分が傷つかずに誰かを助けることなどできないんだ」というメッセージは、今こそ強烈に響いている。


 
 
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