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第206回●2006年10月29日(日)

 「私が、最近最も感動した学生たち@」


 ここ4年ほど、香我美町にある土佐リハビリテーションカレッジという、理学療法士の専門学校に講義に伺っています。
 現場実習に出る前に、マナーを学び、コミュニケーションを再確認するということで
今年も先日、3年生を対象にした「医療コミュニケーション」の講義を行いました。
 主な内容は初回が3時間半で
1.実習におけるマナー
2.医療サービスマインド論
3.第一印象の大切さ
4.ビジネスにふさわしい話し方
5.コミュニケーショントレーニング(表情・傾聴) でした。
  最後に、来週の講義の予告を行いました。
「来週は前半、障害児の親の心理についてお話しします。ケーススタディーとして、私の20歳になる脳性麻痺の長女の育児体験をお話しします。せっかくなので、この際遠慮なく、障害児の親に聞いてみたい質問があれば、レポートに何でも書いてみて下さい。」

 すると、さすがは優秀な学生たち!来るわ来るわ、33人中質問を書いてきた人が20人、出た質問は30ありました。もちろん残りの人も、全員熱心に自分の感想を書き記してくれています。新鮮な驚きでした。大学生だって今どき、ここまで熱心な人の割合は多くないと思います。 講師としては、これだけで好感度大です。
 しかも質問内容も、なかなか深いものばかりでした。いくつかご紹介しますね。

・根治療法のないリハビリをどのように考え、リハの必要性をどう感じますか

・今の医療制度に満足されていますか

・病院のスタッフの対応で、不満があったことはありますか。もしあればどのような不満だったか、教えて頂けませんか

・(障害を持つ)子供の親はどんなことを考え、何を期待しているのかということが気になっていましたので、もしよろしければお話聞かせて下さい。

・普段生活していて、障害者と接することがあまりないのでいざその場面になった時にどのように接するのがベストなのかわからないです。「優しく接する」など言葉では言えても、過度に意識されると嫌がられると思うので、適度な接し方がどのようなものなのか知りたいです。

・脳性麻痺という障害については、僕たちも学校で学ぶのですが、基本的にはその症状の表れ方や経過、リハビリのプログラムなどしか教わることがありません。もしよろしければ、お子さんが脳性麻痺だとわかった時の気持ち、何を思ったのかなどを教えて頂きたいです。そういったことを実際の医療現場で活かすことができれば、と考えています。

・質問が1つあります。もし胎内にまだ子供がいる時に、障害を持つ子であると検査でわかった場合、堕胎するか出産するかということです。この問題は妊娠してからの期間も関係していると思いますが、ダウン症等は早期に検査でわかります。脳性麻痺とは違いますが、障害を持つ子供を育てている筒井典子さんなら、どのような答えを出すのか興味を持ちました。

 ね、深いでしょう?しかも深いだけじゃなくて、相手への配慮もきちんとできてますよね。こんな風な質問が30です。こんなに熱心な学生たちに講義する機会を与えられて、自分はなんて幸せなんだろう!と思いました。
 また、ある学生がくれた感想は、ちょっとくすぐったいものでした。

・先生の人間性がすごいと思った。オーラが丸い感じで温かかった。人間的にも大きくなりたいと思った。

 もちろん私はこの言葉をいただくのにはまだまだ未熟ですが、「オーラが丸い感じで温かかった」なんて言われたのは初めてでしたし、とても励まされました。そういう風になりたい、という目標ができました。どうもありがとう。精進します!(笑)

 つくづく感じたのは、相手から「いかに良いものを引き出すか」というのは、聞き手側の力も大きいということです。聞き手側が熱心だと、話し手側もそれに負けじと、一生懸命になる。結果、双方向にコミュニケーションができ、良い人間関係が生まれる、と思います。今回、こんなに学生側が素晴らしいと、私としても受けて立たなければ女がすたる!ってもんです。

 私は30の質問をベースに、講義の組み立てをしました。長女の育児体験の写真も交え、「あーでもない、こーでもない」とのたうちまわって、ようやく講義の前々日に、3時間半の講義にまとめたのでした。(続く)


 
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