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ウィークリーN

第207回●2006年11月5日(日)

 「私が、最近最も感動した学生たちA」


 前回、学生たちに出してもらった質問を元に、私は土佐リハビリカレッジでの2回目の講義を組み立てました。
「障害児の親の一般的な心理過程」 を最初にお話しし、(驚き・ショック→否定→あきらめ→受容→平静)、その後自分の体験談を写真を交えてお話ししました。学生たちはとても真剣で、熱心に聴いてくれました。

 1歳前、長女の障害を告げられた時には頭の中が真っ白になってしまったこと。しかし脳性まひに重症筋無力症も併発したことで、1億分の1の確率の病気になり、返ってそれで「これが長女の個性なのだ」と開き直れて楽になったこと。保育所、学校、デイサービスに支えられて、今の幸せがあること。
 
  前回の質問にあった「もし胎内にまだ子供がいる時に、障害を持つ子であると検査でわかった場合、堕胎するか出産するか」という投げかけについて。出産前診断については、その人なりの答えがあるでしょう。 「障害を持つ子供を育てている筒井さんなら、どのような答えを出すのか?」と聞かれました。
 
 私は、生むと思います。障害を持っていても人間性豊かな人の方が、お金を儲けるために他人を平気で傷つける人よりも、人間としての格はずっとずっと上だと思うからです。(きれい事に聞こえるかもしれませんが、これが私の価値観です。)
  また、自分の流産の経験から、命を失う哀しみを思えば、辛くても、障害は乗り越えられると思うのです。

 手術をすれば治る病気なら、どんなに良いだろうと考えたこともありました。しかし、リハビリは根治療法がないとは言え、「リハビリをすれば少しでも良くなるかもしれない」という すがるものがあるのは、人にとって幸せなことではないでしょうか。リハビリというのは、患者さまに希望を与える技術だと思います。

 また、「障害者の方にベストな接し方は?」という質問。これは、人によって違うでしょう。手助けが必要な方とそうでない方がいらっしゃるので、気づいたら足を止める、ことでいいのではないかと思います。障害者の方が手助けが必要なら、そうしてくれると「手伝ってもらえます?」と声をかけやすいですし。
 
 でも、たとえ手助けを「大丈夫ですから」と断わられても、好意が無駄になったと思わないでください。「声をかけてもらえて嬉しい」という気持ちは残ると思います。だから無駄ではないと思いますよ、とお話ししました。


 
2回目の講義を受けての、学生たちのレポートです。

・今までは障害者の方を見かけても「どうすればいいのだろう」と感じていたのですが、今後はこの経験をぜひいかしていければな、と思います。

・この全部で4回の講義を通して、患者さまへの配慮がどれだけ大事か学ばさせてもらいました。精神的な面でのフォローは、患者さまのケアとしてとても必要だと思ったし、障害に対してのフォローだけでは患者さまの本当の手助けとは言えないなと思いました。

・以前に障害者のアスリートのエッセイを読んだことがあり、その中で「神様は障害を乗り越えることができる人にしか障害を与えない」といった言葉がありましたが、先生の話を聞いて、障害者本人だけではなく両親(家族)にとっても同じなんだと実感しました。

・私の両親も不妊に悩み、1度流産の経験もあり、私の誕生を待ち望んでくれていました。そんな両親にちゃんと「生んでくれてありがとう。生まれて良かった」ときちんと言いたいと思いました。

・私の妹は重い心臓の病気を持っていますが、私も例え赤ちゃんが障害を持っていても必ず生むと思います。良い家族を築いていきたいです。先生の授業を受けて、前より心が優しくなった気がします。お会いできて良かったです。

・前回のレポートで質問させて頂いた「出産前診断」について筒井典子さんの考えを聞かせてもらって、ありがとうございました。その考えは素晴らしい答えだと思います。決してきれい事なんかでなく、自ら障害児を抱えて尚、その言葉を言えるのは重みと深みがありました。

・先天性の障害を持たれた患者さまに接すると、自分にはない純粋さやたくましい生命力を感じ取れて、心が洗われます。理学療法士としてできることは限られているかもしれませんが、患者さまだけでなく家族の皆さまにもお役に立てるようにがんばりたいと思います。

 この、たくさんの温かい思いのこもった言葉たち。これからこの学生たちは、きっと患者さまを支え、ご家族の方を励ましていってくれることでしょう。今の、不安定な世の中でこそ、こういう優しい言葉を沢山聴きたいですよね。
 医療を支えていくのは大変なお仕事だと思いますが、 今の気持ちを忘れず、ぜひ頑張ってくださいね。
私自身もそんなみなさんに負けないよう、これからも頑張ります!!


 
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