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第324回●2009年2月8日(日)

 「無財の七施」

 現在、「日総研」という出版社の「通所介護&リハ」という情報誌に掲載する「スタッフの上手なほめ方・叱り方」の原稿案を練っています。現場でのケースを踏まえ、あれこれと考えている最中に、興味深い文章に出会いました。

 人間性の高め方ということにおいて仏教では、修行の方法としてお布施を奨励しています。お布施というと、住職に読経などの謝礼として渡すものと思いがちですが、実は「分け隔てなく、人に物を施すこと」なんだそうです。

 その中に「無財の七施(むざいのしちせ)」という考え方があります。他人に与える財産がなくても、誰でもいつでも簡単にできるお布施、ということです。

 この7つを 具体的に言うと・・・

@ 慈眼施(じがんせ・優しい目で見る)
A 和顔施(わげんせ・和やかな顔を見せる)
B 愛語施(あいごせ・優しい言葉をかける)
C 捨身施(しゃしんせ・力を貸す)
D 心慮施(しんりょせ・優しい心づかい)
E 床座施(しょうざせ・席をすすめる)
F 房舎施(ぼうしゃせ・家へ招く)

 驚きでした!その多くが、日頃ビジネスマナーとして研修で取り上げる、接遇に通じるものだったのです。
接遇とは、人と接する時の遇し方、つまりもてなし方と言ってもいいでしょう。和やかな顔を見せ、優しい目で見て、優しい心づかいをし、優しい言葉をかける…。他人のためにやっていることが、実は自分自身の人間性を高めるための手法だったとは。何か、一石二鳥な感じがしませんか?

 力を貸す=体を使い、相手のために奉仕することはそうだろうなあ、と納得したのですが(出迎えやあいさつもそうですよね)、家へ招くとか、席をすすめることまでもお布施?ということにも驚き。
 でも考えてみれば、席をすすめる…自分が疲れていても相手に席を譲るのはなかなかできることではありません。また競争相手にさえも自分の地位を悔いなく譲れるという応用編は、これができるとすごい。

 家へ招くというのも、お遍路さんにお接待をする時代のことかなと思っていましたが、元は「風や雨露をしのぐ所を与えること」だそうで、日常では自分が濡れても相手に傘をさしかけることもこれにあたるそうです。困っている人を助ける、思いやりの行為・もてなしとも言えるでしょう。つまりこれを、日常生活の中でできる、ほんのちょっとしたことに置き換えると、こうなるのでは。

@優しいまなざし
A笑顔
B温かな言葉がけ
C体を使った奉仕
D優しい心づかい
E席を譲る
F思いやりの行為

 一般的には物は与えると無くなり、与えられた人がなんとなく得をしたイメージがあります。お金などはその最たるものでしょう。しかし、ここに上げた7つは与えても無くならないばかりかむしろ、笑顔が笑顔を呼ぶように、豊かに広がっていきます。お布施とは、与えた人の方が幸せな気分になり、与えられた人よりも与えた人を幸せにするものなのかもしれません。

 そうして考えると、たとえば介護の仕事も、無財の七施がまさに重要なビジネスなのでは、と思い至りました。
いえ介護に限らず、全てのビジネスにおいてこれができれば、どれほど居心地のいい企業になるでしょうか。


 無財、というのはコストがかからない、ということでもあります。無財の七施というのは、現代のビジネスの根幹のマネジメントでもあるのだと思いました。

 
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