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第334回●2009年4月20日(月)

 「狙われる日本のロボット技術」

 先週、とってもショッキングな番組を見ました。クローズアップ現代の「日本ロボットはどこへ〜問われる軍事利用〜」です。

 ロボット好きの私には青天の霹靂のような現実が、次々と取り上げられていました。

 今や世界最高のレベルを誇る、日本のロボット技術。日本は手塚治虫氏の鉄腕アトムに象徴されるように、あくまでも軍事とは一線を画した、平和目的に絞ったロボット開発が行われてきました。そしてそれを私たち日本人も、誇りとしてきたと思います。

 ところが日本の技術力の高さに、海外の軍需産業が目をつけ、平和目的に限ってきた日本のロボット技術開発が、大きな岐路に立たされていると言うのです。 

 世界は今、戦場に大量のロボットを導入しています。ヘリコプター型ロボット、ボート型ロボットなどは偵察に使えるため、先進的技術を持つメーカーには海外の軍需産業から積極的な問い合わせが来るとか。ある商社からはストレートな「機関銃を乗せて使えないか」という相談もあり、唖然としたそうです。

 今や「危険な戦争は、ロボットに肩代わりさせよう」というのが、時代の流れです。そして普通に開発・販売されている商品が、軍事目的に転用される危機を迎えています。軍事利用されそうな物に関しては外国貿易法という法律で規制はされているようですが、外国の軍関係者は情報網を張り巡らし、狙っています。

 ある企業では盗難や転用を防ぐため、GPSで使えるエリアを限定し、生体認証でユーザー規制をするなど「軍事のための技術ではない」とリスクマネジメントを行っているそうです。

  しかし実は防衛省・自衛隊でも、すでに任務に使えるロボットの技術開発をしています。5年前、危険を伴うイラク派遣がロボット導入のきっかけになったそうで、普通に市販されている工場の組み込み機器で、偵察用地上型ロボットを作っていました。コンピュータや通信機器を装着したロボット型スーツなども作られ、利用されています。

 ロボットを開発しているメーカーだけでなく、部品メーカーまでが軍事利用されているのです。まさか自分たちが開発した商品が軍事利用されるとは…。考えただけでショックでしょう。そんなことに利用されたくないと思っても、されてしまう現実。

 ちなみに偵察用小型無人機は1機6千万円かかるそうです。軍事産業は儲かるからこそ、欲望のままにエスカレートしていく一方なのが空恐ろしさを感じました。アメリカでは「産官学」のような、「軍産学」という言い方があることも知りました。

 日本の企業も、海外の軍事企業からのオファーにはNOと言えても、自衛隊には言いにくいでしょう。それに、番組を見ていて気がついたのですが、海外の企業は「軍事会社」と言っているのですが、日本の企業は「防衛産業」と言っています。同じことじゃないの?苦しい言い訳に聞こえたのは、私だけでしょうか。

 そう言えば、身近な所ではホームページへのアクセスも、メールも、海外からの物が非常に多くなりました。好むと好まざるに関わらず、グローバル社会に巻き込まれている。今はそういう時代なのでしょう。

 日本人にとって、ロボットはツールではなく、友達であり、だからこそ平和利用に限るのだという崇高な思いは、現代の「儲かる軍事産業」の前にはなすすべもないのでしょうか。


 
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