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第336回●2009年5月3日(日)

 「変わりゆくお通夜のマナー」

 遠縁の伯父さんが亡くなり、昨夜急遽連休の予定を変更して、お通夜に駆けつけました。伯父さんは88歳で、男性にしてはお元気でご長寿でした。色々な役職をなさり人望が厚く、素敵な紳士でした。

 ゴールデンウイークの初めでお通夜はこぢんまりとしていましたが、厳かで故人を偲ぶ雰囲気に溢れたものでした。たまたまお仕事で知り合いになった方がお身内にいらっしゃり、顔を合わせて互いに驚いたものです。こういう時、高知の狭さを実感します。

 お通夜といえば、昔は「喪服で行くものではない」ということがマナーとされていました。いかにも亡くなるのを準備していたかのような感じがするからです。地味な色の服装を選んで、故人のお宅に親類縁者が集まったものでした。

 時は流れ、今では都市部では、自宅ではなく葬祭会館などで葬儀を行う人が多くなりました。故人の身内からすると、その方が雑事が減り負担がずいぶん違うからですが、私も父を亡くした時、それを実感しました。住宅地で葬儀を行えば駐車場もなく何かとご不便をおかけしますし、手慣れた葬儀社の方がテキパキと仕事をしてくだされば、ご遺族にとっては心強いというのがこうした流れになっているのでしょう。

 それにつれ、葬儀も変わりました。たとえば昨夜のお通夜も、服装は全員が喪服でした。お通夜も告別式と同じような流れで行われるため、逆に喪服でないと失礼な感じがしました。今では不幸があってもすぐに連絡が取れるので何かと準備がしやすく、すぐに駆けつけるお通夜でも喪服で行きやすいということもあるのでしょう。

 逆にむしろ「これを着ればいい」という喪服に比べて、「何を着るのか決めなければならない」「しかもマナーに合った」お通夜の服の選択の方が難しいと言えます。男性はグレー、紺、黒の、無地のスーツ。できればネクタイも黒。女性は黒、紺、グレーのワンピースやスーツなどで、地味で飾りのないもの。肩を出すデザインや光る素材はダメだし、ワンポイントもない方が望ましい。靴下もダメだし、スカート丈も膝下じゃないと…。

 アカデミー賞を受賞した映画「おくりびと」でも、お通夜のシーンが出て来ます。ストーリーとは関係なくて恐縮ですが、その席での広末涼子が演じる主人公の奥さんが着ていた濃い茶色の簡素なワンピースが、いかにもお通夜にはうってつけで、思わず感心してしまいました。

 服装というのはその人の心の表れと言えます。ネットで見た例ですが、告別式においでた参列者の女性が、黒い網タイツのようなストッキングを履いていて、「不快に感じた」というご遺族の声がありました。

 また「小学6年生の子供の同級生が亡くなられたのですが、子供が参列するのに、入学する中学校の制服を着ていっても良いでしょうか?」という疑問も寄せられていました。一般の方がこれに「参列者を見て『うちの子も入学するはずだった』という深い悲しみを与えるかもしれないので、避けられた方が良いのでは?」と答えていましたが、本当にそうだなと感じました。

 要は、ご遺族の方への思いやりを形に表すということでしょう。服装に限らず、あいさつ、言葉をかけるといったことも ちょっとした心づかいが大切だと感じます。こうした心づかいだけは、変わらないものですよね。

 
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