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第34回●2003年6月28日(土) 「先生との出逢い 」


 

 思春期における「先生」の存在は、とても大きいものがあります。嫌いな教科であっても良い先生に受け持ってもらえれば思いがけず能力が伸びたりするし、その逆もあり得ますよね。
自分が中・高生だった頃を思い出すと、もういっぱしのつもりで「あの先生は教え方が下手よね」だとか「人間として、どうか」などと、友人と評価していました。今それを思い出すと冷や汗ものです。だから決して、彼らを「まだ子供」などとあなどってはいけないと思います。若くて純粋なだけに意外と鋭く核心を突いていたり、相手を見抜く力を持っているように思うのです。

「土佐の教育改革」により、高知県の先生方も広く長期の企業研修に出かけるといった、社会勉強や交流ができるようになっています。先生方が広い視野を持ち、それを子ども達に伝えることができれば、大変喜ばしいことだと思いますが、そんな中のお一人と知り合う機会がありました。I先生。採用2年目で、数学の先生です。Iさん、とお呼びしますが、彼はあるマスコミに研修に来ています。私自身も一時期マスコミに在籍していたことがありますが、正直な話、そこの社にはあまり良い印象を持っていませんでした。(実力はあるのですが、少し配慮が足りない方が多いように感じていたのです。ゴメンナサイ)

しかし、Iさんは取材中も温厚な人柄がしのばれる誠実な態度、言葉遣いで、しかし要点はしっかりつかんでいる、といった堅実さが見えました。後で、「実は企業実習に来ている先生」と伺って、なるほどなあ、と大いに納得したのでした。企業サイドは思ってもいない効果でしょうが、企業実習の先生によって、大きなイメージアップにつながっていることもあるのですね。

Iさんの同期の150人ほどの先生の内、以前企業にいた人などを除き、前期・後期に別れて半年間、様々な企業で研修をさせてもらっているそうです。私自身、一保護者でもあり、教員免許を持っていることもあって、学校教育にとても興味があります。そこで、以前から聞きたかった質問をぶつけてみました。
「Iさん、教育界と一般のビジネス界を比べてみて、どうですか?」
「そうですね。例えば報道は、事実と推測をきちんと分けるのが基本だ、とか…僕は大ざっぱなもので、そこが大変で、見るのと現実に身を置いてみるのとは大違いです。実際マスコミにいると、絶対に一つのミスも許されない仕事だと痛感しています。当たり前なんでしょうが、初めてビジネスの厳しさに気づかされました。」マスコミらしく、とても丁寧に言葉を選びながら、誠実に一生懸命答えてくれるIさん。


「ビジネスの厳しさって、たとえば?」
「そうですね。僕らと同時期に入社した新入社員が、あるときひどく叱られている姿を見たんです。それを見たときに厳しいなと思いましたが、同時に『ああ、上司が部下を育てよう、という意識があるなあ』と感じました。学校の中では、そういうものがなんだか、だんだんなくなってきているように感じます。」

え、それって、結構ゆゆしきことなんじゃないの?でも、若いとはいえ、臨時教員時代から高知県の教育現場を広く経験した先生がそう感じているのだから、そうなのでしょう。しかし、教育現場を外から見たからこそ、ビジネスの厳しさに気づけたというのは大きいですよね。
「それから今まで、知らないということが平気だったのですが、今は知らないことがありすぎたなあ、と思います。」これもまさに世界が広がったからなのでしょう。研修という異業種交流は、先生方にとって、実に貴重な経験になっているのだなあと感じました。

「僕はまだ、この仕事になれていないですから」と本当に一生懸命、相手の話を聴き(この聴く、は心を傾けて聞くという意味です)、相手の世界を引き出そうと努力しているIさんの姿は、プロのマスコミにも初心に返る、という大切なことを教えているようにも思います。

数学といえば私は学生の頃、「卒業してから実社会で、こんな難解な数学がどう役に立つのよ!?」と不満に思っていたクチでした。Iさんにその質問をぶつけると、最初の数学の授業の時、生徒達には「身の回りにあるものを見てごらん。(人工物は)すべて計算によって、こういった物が作られゆうがで。すごいやろ!」という話をするそうです。うん、確かにこれなら、数学が身近に感じられるよなあ。Iさんは子供達が笑うのを見ると、ご自分も本当に嬉しそうに笑います。こういう先生に出会えた生徒はいいなあ。


Iさんのような若い先生がいれば「これからの高知の教育界もきっと大丈夫!」と思え、嬉しくなりました。

 

 
 
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