HOMEへ戻る 研究所案内研修プログラム実 績セミナー情報お問合せ
|WEEKLY “N”|T医師のひとりごとすずかの気ままにDO!
ウィークリーN
 

第371回●2010年1月17日(日)

 「お客様の心を見失ってしまったヤマト運輸@」

 ことの始まりは1月6日の夕方6時半、夕食づくりに忙しい時間に電話が鳴ったことだった。女性の声で、ヤマト運輸からだと告げ、12月に送ったお歳暮の品物を紛失してしまった、ついては代わりの品物を送るようにしたいのだがとのことだった。話が長くなりそうだが、こちらは料理の真最中だ。「こんな時間に電話されても困ります、夕食作ってますし。そういうことなら夜8時半、責任者から改めて電話してください」と告げて、電話を切った。

  ヤマト運輸と言えば、運輸業界のエリート企業である。それが一体なぜ、こんな大失態をしたのだろう?品物の紛失も驚きだが、お歳暮の紛失を3週間もたって年を越してから連絡してくるというずさんな対応も信じられない。ちなみに、送った品物は すずめ燻製工房のハムだった。もし今見つかっても、とっくに腐っている。

 きっかり8時半、支店長から電話があった。なぜこうなったのか事情説明を求める。
12月17日にすずめ燻製工房から送った荷物が、27日に行き先不明になったことが判明した。それについて、配達担当センターに問い合わせ、回答があったのが新年1月2日。荷物は高知を出たのだが、大阪には到着情報がない。どこに行ったか、まったくわからないとのこと。1月4日、送り先である大阪のSさん宅に「荷物が着いていないでしょうか」との確認の電話をしたが、当然、荷物は来ていなかったとのこと。

 1月6日、ヤマトはすずめ燻製工房に「代品を出してもらえないか」との電話を入れる。しかし、障害者の就労の場であるすずめ燻製工房はお歳暮の時期が終わり商品備蓄がなく、「15日頃にならないと商品ができない」と回答。最後に夕方6時半、送り主である私の所に電話してきた、という経緯である。

 私は最初の、「丁寧なお詫びや詳しい事情説明よりも、代品の配送手配が先に立った対応」に腹立たしさを感じていた。で、支店長に「申し訳ございません。どうしたらよろしいでしょうか?」と聞かれたが、それにも「答えがわからないと、自分で考えずにすぐ正解を聞こうとする学生」と同じものを感じてしまった。

 そもそも、やりとりの中で「お客様のお荷物をお預かりして、お届けする」=「心をお届けする」、ということがわかっていないのではないかと思えた。第一、私だってSさんに対して申し訳が立たないではないか。「荷物のお届けは早いのに、なんでこんなにトラブル対応は遅いのか」ということだけでも、誠意がまったく感じられず、「申し訳ございません」という言葉も薄っぺらにしか聞こえない。「ではヤマト運輸として、どういう対応ができるのか、明日 本部のお客様センターから連絡してください」と要請する。

 その後、大阪のSさんにお詫びの電話。「驚いたわ。(筒井さん)知ってるのかなと思った。でもこのことを、電話してええもんか悩んで、結局言わなかったんよ。」とのこと。「ヤマトからの電話も、『着いてませんか?』って確認が主で、お詫びって感じじゃなかったしねえ」とのこと。「本当に申し訳ありません」とひたすらお詫び。お歳暮を贈って、お詫びをしたのは生まれて初めてである。しっかりしてくれよ、ヤマト運輸!

 翌日、高知支店のお客様サービスセンターの担当者Oさんから電話。(この程度では、本部からは対応してもらえないのね。)さすがに、今度は話し方といい、きちんとしたクレーム対応研修を受けている感じ。こちらの怒りを「ごもっともです」ときちんと受け止める。で、どういう対応をしてくれるのかと聞くと、「お詫びと、同等の品物を代品として、送らせて頂く」とのこと。お詫びって何かと聞くと、昨日の心が感じられなかった支店長がお詫びに来るとのこと。それは時間の無駄なのでお断りする。

 後は「同等の品物を代品として、送らせて頂く」である。まあ、BtoB(企業間取引)ならそうでしょうけど、この場合はCtoC(消費者同士の取引)である。気持ちが大事なのだ。「お歳暮から1か月も遅れて、同じ品物を送るだけですか?誠意が感じられないですね」と言うと、『まあ、同等以上のものを問い合わせまして、お送りするということで…」。
うーん、Sさんも私も すずめ燻製工房も、みんな嫌な思いをしたわけだから、ここをいかに対応するのが腕の見せ所じゃないの?「すずめ燻製工房には、直接出向いてお詫びしてくださいね」とリクエストしておいた。

 私は天下のヤマト運輸がこういう場合、どういう対応をするのか、ケーススタディーとして、知りたかった。ヤマトの瀬戸社長は「クレームこそが新商品の種」とおっしゃっていたし、全員参加の経営理念研修で感動体験を集めた「感動体験ムービー」を導入した、というのも知っている。はたしてこういう場合、どうすればお客様を感動させることができるのか?どういう答えを出すのかに、とても興味があったのだ。

 で、それに対してヤマトの答えは・・・。長くなるので、次回に続きます。

 

 
ご意見・ご感想お寄せください!
 
 
ページの先頭に戻る
人材育成研修・各種セミナー承ります。
Copyright(c)2002 人・みらい研究所 All rights reserverd.