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第464回●2011年11月5日(土)

「麗しき、旧朝香宮邸」

 東京に行く前、地図を見ると目黒雅叙園のすぐ近くに「東京都庭園美術館」がありました。ネットで調べてみると、旧朝香宮邸(きゅう あさかのみや てい)と呼ばれるアール・デコの美しい建物が10月末まで限定公開で、写真撮影も可能とのこと。
これは行かねば!

 白銀にあるこちらの邸宅は、昭和8年(1933年)に旧皇族の朝香宮鳩彦・允子ご夫妻邸として建てられたもの。 戦後は一時迎賓館としても使われていたそうで、 今はそのまま美術館として使用されています。
 朝香宮は パリで交通事故に遭われ、療養のため2年間パリで暮らされたことで当時流行のアール・デコに魅せられました。
 アール・デコとは1920〜30年代に起こった新デザインのムーブメント。朝香宮邸はご夫妻のたってのご希望で、主要部分を当時アールデコ芸術の中心的人物だったアンリ・ラバンが設計し、装飾品も外国から輸入されたものが多く使われています。宮内省内匠寮という日本の匠のエリート集団も総力を挙げ、格調高い独特の「アール・デコの館」を創造しました。

 ご覧ください、大客室にあるこの重厚かつ優美な大理石の暖炉。その迫力に圧倒されそうです。昭和8年と言えば、今から 78年も前なのに、まったく古さは感じられません。本物は古びないのでしょうね。
 こちらは大食堂。南に庭園を望み大きく半円形に張り出した窓はとってもオシャレ。
来客時の会食用に使用された部屋と言うことで、シャンデリアやガラス扉に果物がモチーフとして使われ、窓の下のラジエーターカバーには魚がデザインされています。(驚きの全館セントラル・ヒーティングなのです。)

 1階大広間横にある「香水塔」。館のシンボルで、見上げるような白磁のオブジェです。上部の照明内部に香水を施し、照明の熱で香りを漂わせ来客を迎えたことから香水塔と呼ばれるようになりました。


 大理石に赤いカーペットを敷き詰めた階段。
1階はおもに来客のおもてなしに、2階はご一家の居室にそれぞれ使われていたという旧朝香宮邸。そのため、1階と2階では、趣きも異なります。大きな部屋の1階に比べ、2階は小さめの部屋が数多くあります。


 殿下の書斎。品格が高く落ちついた雰囲気がいかにも執務室、という感じがします。
間接照明が多用されていて、それがよりシックな雰囲気を作っています。

 ベランダの市松模様はイタリア産の白と黒の大理石を使い、モダンな空間を感じさせます。絵になる空間は、まるで映画の一シーンのようです。
 2階の窓から中庭を見下ろすこの景色も、古い映画に出て来そうな雰囲気です。誰もいない小さなプールのある中庭を望む風景が、とても印象的。

 かつては温室として使われていた屋上のテラス「ウインターガーデン」。普段は未公開だそうです。そもそもここは美術館として作品を展示している関係もあり、非公開部分も多く通常は撮影禁止とのこと。撮影許可は1階のみ、ということもあるようで全館撮影できたのは超ラッキーでした。

 建物もさることながら、調度品の美しさも一級品です。
これは 玄関にある、宝飾家ルネ・ラリックによるガラスレリーフの扉。立体感のある、やわらかな女性像です。その透明感、清らかさが、まるで教会のように神聖な雰囲気を醸し出していました。
 使われている照明も、それぞれが趣向を凝らしてあり、素晴らしい美術品です。これは果物をモチーフにした大食堂のシャンデリア。

 公的な1階にはルネ・ラリックの豪奢なシャンデリアが輝いていますが、居室のある2階には、趣のある国産のシェードが使われています。これらは宮内省内匠寮の建築家たちの力作です。


 本当に美しい「東京都庭園美術館」ですが、建物だけで時間切れで庭は見られませんでした。残念なことにこの11月1日から改修工事のため、全面休館に入りました。リニューアルオープンは平成26年(2014年)、3年後の予定だそうです。

 たまたま訪れた時が、限定公開期間で全館撮影可能で長期休館の直前。 本当になんて、運が良かったんでしょう!こうして皆さまにご紹介できて、幸せです。
   

 

 
 
 
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