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第493回●2012年6月2日(土)

 「気配り」から「行動」へ 

 

中村 覚)
この時期になると、毎年大学を訪れます。教員免許取得の一環である介護等体験を迎える大学生のみなさんに事前指導ということで、マナー・コミュニケーションの講義を行います。今回はこの講義の中で私が自分の体験談を元に少し話をいたしましたので、そのことについて紹介させていただきます。
介護等体験では、特別支援学校(養護学校など)や福祉施設に行き、障がいを持っている生徒さんや高齢者の方と接します。そうした体験が非常に少ない学生のみなさんには戸惑いや不安といったものがあります。そしてその中には「障がいのある人はかわいそう」という思いを持っている学生もいます。

こういった率直な感想を表現してもらえることは私共にとってもありがたいことです。学生のみなさんと距離を縮めて向き合えるきっかけになるからです。

確かに体のどこかに障がいがあると日常生活で不便なことがあります。私の場合だと松葉杖をついていますので、主に歩行に関する不便さがあります。学生からすると、自分達がすんなりできている色々な行為が簡単にできない方に対して、「かわいそう」という気持ちが少なからず出てくるのは無理もないかと思います。

ですので、私はこの自然に湧いて出てくる「かわいそう」という感情を無理に抑え込んで「そんなことを思っちゃいけないんだ」と自分の気持ちに蓋をする必要はないのではないかと思います。

でも、だからと言って「かわいそう」と直接、口にするのは上から目線で相手に失礼にあたりますし、「かわいそう」と口にするだけでは単なる傍観者にすぎないんじゃないかとも思います。

学生はせっかく学びの一環として障がいのある方と接するわけですから、仮に「かわいそう」という気持ちがあるなら、その気持ちに一工夫加えてほしい。それを「相手へのちょっとした気配りを伴う行動」にまで発展させてもらいたい、こういったお話をさせて頂きました。

「気配りを伴う行動」と言うと、何か難しそうというイメージをお持ちになるかもしれませんが、そんなことはありません。例えば、松葉杖をついていると、歩行が不便ということがありますが、これは他の方からも見た感じですぐにわかってもらえると思います。実はそれにプラスして、足・腰に力が入りにくいという事情もあります。
ですから日頃、みなさんが普通にしている「立ち話」、この立ち話がしんどいのです。普通に立っているだけでも負担を感じてしまうからです。「話をする時には椅子に腰をかけてからだと助かるなぁ」と思います。学生には松葉杖の方と話をする時には「できれば、椅子をすすめてから話してもらえると助かります」とお話ししました。
講義の後、レポートの中にこういったものがありました。

『障害者の方に対して「かわいそう」から始まる行動のことで、「かわいそう」から「気配り」へ、「気配り」から「行動」へと移すことが大切だと聞いてとても心に残った。私自身今まで「かわいそう」とか思ったらその人に対してとても失礼だと思っていたので思わないようにしていたのですが、そのように感じたならば「行動」まで実行していこうと思います。』

この文章を拝見した時には、今回、自分が話をさせていただいてよかったと思いました。


 
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