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第565回●2013年10月19日(土)

「信念の人、やなせたかし先生」 

 今週10月17日の朝、高知市に大きな虹が出ました。
それを見て、みんな口々に同じことを言いました。

「やなせたかし先生が、最後にこの虹を かけてくれたがやね。」

 その前日 アンパンマンの生みの親、漫画家のやなせたかし先生が94歳で天に帰って行かれたニュースが
全国で流れました。 愛と希望を送り続けてこられた、本当に素晴らしい方でした。

 
そしてやなせ先生は、信念の方でした。
今の時代に強い自分の軸を持ち、それを人に伝えることは簡単ではないと思います。
でもみなさんがご存じのように、アンパンマンには 深い哲学があるんですよね。
ご自身の戦争体験から、 人間にとって最もつらいのは「飢え」だと痛感なさったやなせ先生。

「(戦争に負けると)正義は、ある日突然逆転する。正義は信じがたい。」
「逆転しない正義とは、献身と愛だ。」
「飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場が変わっても国が違っても『正しいこと』だ。」

 だからアンパンマンは、お腹がすいた人に自分の顔をちぎって食べさせるのです。
「本当の正義とはかっこいいものじゃない。」
「正義を行う時には自分も必ず傷つくことを覚悟しなきゃいけない」
そういう捨て身、献身の心なくしては正義は行えないのだと。

 やなせ先生は 90歳を過ぎた時に引退を考えられたそうです。
でも東日本大震災が起こり、甚大な被害を受け 希望を失った被災地で、「それ行け!アンパンマン」の歌が
ラジオでくり返し流され、被災者の方々の大きな励みになっていると知りました。

 そこで「引退している場合じゃない」と奮起し、病気と共存しつつ被災地支援も仕事も大車輪でこなされ、
「90歳を超えてこんなに酷使されるとは思わなかったよ」とぼやきつつ、ギネス記録になるほど
たくさんのキャラクターも作られました。

 高知にはとりわけ、たくさんのキャラクターを生み出して下さいました。
しかもそれらを、ただで引き受けていらっしゃったのです。まさに「献身と愛」です。
 これについては「敬意が足りない。軽く見ている」と批判する漫画家の方もいらっしゃるようですが、
優しい先生は財政が貧しい県の事情を察し、郷土愛を示して下さったのでしょう。
「義を見てせざるは勇無きなり」と。

 過去に 先生が委員長をなさっていた「まんが甲子園」が財政危機で開催が危ぶまれた時には、
私財をポンと寄付して危機を救ってくださったこともありました。 そんな先生の男気に高知県民は感じ入り、
本当にやなせ先生を敬愛しています。

 先生が作られたごめん・なはり線のキャラクターは有名ですが、個人的には
子ども達に早寝・早起きを勧めるため、やなせさんが作って下さった、
はやねちゃん」という女の子が可愛くて、大好きです。
(2つにくくった髪の毛が、9時を指しているんですよ。)

 「人生の楽しみの中で最高のものは、やはり人を喜ばせることでしょう。」
他人を喜ばせることが大好きだった先生は、色々なイベントで時にびっくりするような格好で歌って踊られました。
誰も着ないような派手な洋服の柄、シルクハットに山高帽なんかで。ダンディーでもありましたけど。
 根底には「自分が目立とう精神」ではなく「人に喜んでもらいたい精神」があったからこそで、
茶目っ気があり、人としての愛らしさが微笑ましく映ったものでした。
あんな奇抜な服装がいやらしくならない品のある方って、他にはいないと思います。

 こうして やなせ先生はずっと現役のまま、94歳の命をまっとうなさいました。
「時間の使い方は、そのまま命の使い方である」という言葉があります。
まさにその通りででいらしたわけですね。ひたすら、尊敬する生き方です。


 人として正しいことは我が身を捨ててでも貫こうとする。
何があってもひるまずに、正義に向かっていくことが大事なことなんだと教えて頂きました。

 思えば、坂本龍馬も日本を正しい方向へ導こうとして暗殺されましたが、
そこが、人としての大切な気概なのでしょう。
そうであれば一生をかけて、及ばずながら やなせ先生の背中を目指して行こうと思います。


 やなせ先生、たくさんの愛と生きる勇気、そして信念を ありがとうございました。
どうか天国でゆっくりとお休み下さいませ。

 

 
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