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第616回●2014年10月19日(日)

 「基本理念の確認研修」


ある人が、ある病院に行った時の体験です。 

・受付で「おはようございます」と職員さんに声をかけたら、1人は無視、もう1人はパソコンの画面を見ながら
「はい。」…え、それだけ?

・順番待ちの患者さまで一杯の中、仁王立ちの職員が大声で離れた場所にいる職員に、
「○○さん(患者さまの名前)、どう!?」などと話し続ける。個人情報保護、という意識はどこ?

・外来で長く待たされたため看護師さんに「まだですか?」と訊いたら、「月曜日は混んでるんです!」と言われ、
「すみません…」とショボン。

・無表情な医師の専門用語を使った説明は意味がわからず、でも「わかりますか?」と聞かれてそうも言えずに
「はい、まあ…」と笑顔で気を遣い、答える。

・注射のシーンでは痛みに顔をしかめると、「痛い?」と20代初めの若い看護師がタメ口。

・廊下の中央は職員が堂々と歩くので、こちらは端の方を歩く。

 大きなクレームになるような応対ではないかもしれません。
が…、そこの病院の廊下には額に入った、こんな理念があったのです。

「すべては患者さまのために。」

え、どこが?悪いジョークにしか思えてならなかった…。

 上記は病院のことだけではありません。「患者さま」を「お客さま」に替えても同じです。
理念として掲げられている言葉は立派なんだけど、現場の応対との乖離がひどすぎる。
こういうことは残念ながら、珍しくありません。

 どこの組織も 基本(経営)理念を考える時には一生懸命考え、良い理念を作っていると思います。
しかし年月が流れ 組織の目的を見失い、現場で問題が起きる。顧客が離れていく。経営の危機が来る。
そんな時、基本の理念に立ち返り、 もう一度目的を再確認してみることが必要ではないでしょうか?


 最近、この理念を再確認し、現場に落とし込むための研修のご依頼が
急増しています。
 経営理念を社員に暗唱させている会社もありますが、大事なのは暗唱していることではなく、理念を現場の仕事にどう反映させるかではないでしょうか?

 世界最高と言われるサービスで有名なリッツカールトン・ホテルでは、設立時に社長をはじめ中心メンバーが集まり、「どういうホテルならお客さまが常に行きたいと思って下さるか?」を話し合い、それをまとめたのが有名なクレド(信条)です。

 クレドカードにはサービスの基本精神が書かれています。「リッツカールトン・ホテルはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することを、もっとも大切な使命とこころえています」とあります。

 全世界のリッツ・カールトンでは毎日「ラインナップ」と呼ばれるトレーニングを兼ねたミーティングが行われているそうです。始業前に15分ほど、20番まである「リッツ・カールトン・ベーシック」(行動指針)を毎日1つずつ取り上げてその意味を話し合い、現場ではどうなのか、自分の中に落とし込むものです。上司からの一方的な訓辞と違い、上司も部下も一緒にディスカッションする、コミュニケーションの場でもあります。その時、クレドが生きてきます。

 1人1人が現場で毎日その意味を考え、話し合い、自分自身に落とし込み、それが継続されてこそ、理念は具体的なサービスへとつながっていきます。それが現場で実践されるとお客様に喜ばれ、自分の喜びとなる。これがうまくシステム化され、浸透していることがリッツ・カールトンのすごさです。

 どんな企業の経営者の方も、お客様が一番大事だとおっしゃるでしょう。しかし、実際お客様を一番大事におもてなしをしている会社が、どのぐらいあるでしょうか?多くの場合には お客様が一番大事と言いながら、現場ではスタッフの都合が優先ではないでしょうか。ここにお客さまは疑問を感じ、不満を持つわけです。

 この基本理念と現場サービスとのギャップを考え、埋めていくのが基本理念の確認研修です。
トップダウンで理念を伝えるのではなく、参加する社員全員で基本理念を具現化していくのですが、
「理念」という固いイメージとは裏腹に、意外に楽しそうなんです。

 多分、全員であるべき方向性をめざすということが連帯と高揚を呼び、結果 心地良いのでしょう。
「あっという間の3時間だった」という感想もよく頂きます。

 混迷の時代、リーダーが基本理念をかみ砕いて部下に伝えられる力が大切なのですが、そもそもリーダーが方向性に迷っているのも、よくあることです。研修のご相談がいつの間にかカウンセリングのようになり、終わるとリーダーも方向性が見えてスッキリしたお顔になることも珍しくありません。

  組織にとって重要な理念をお客さまに真に活かせるように、これからもお手伝いできれば光栄です。

 

 
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