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ウィークリーN
第80回●2004年5月22日(土)

「せつなすぎる話〜拉致家族の帰国に〜」

 


 北朝鮮を訪れた小泉首相は、やっぱりしてやられてしまった。
そりゃまあ、世界中を敵に回している中で、どうやって必死に生き抜こうとしているかと、自分の年金未納問題をうやむやにしたいのもあってこの問題に取り組むのとでは、いかんせん問題への真剣さが違うでしょう。

 それにしてもお気の毒で心痛むのは、曽我さんと家族会の方々だ。曽我さんは1人、ご主人が脱走兵という事情があるにしろ、家族と再会できなかった。あの人が心から笑う姿を、見たことがない気がする。来週、中国で家族と再会できるようにするとか取りざたされているが、彼女がキーポイントとなるだけに、北朝鮮側もおいそれとご主人を出してくれないだろう。家族恋しさに北朝鮮に帰れば、「やはりこの国を選んだのだ」と言われるだけに、曽我さんも耐え難きを耐えていることは容易に推察がつく。しかし、そろそろそれも限度ではないだろうか。

 一方、家族会の方々は再調査の約束のみ、ということで失望し、烈火のごとく怒っている。まあ、そりゃ一国の総理大臣がわざわざ行って、支援金もばらまいての見返りとしてはあまりにもお粗末だと言われても仕方ないだろう。「このまま、私たちの家族のことは葬り去られてしまうのではないか」という不安にさいなまれているのは、想像に難くない。この部分の詰めが甘すぎる、と責められても仕方ないだろう。

 帰国した地村さん、蓮池さんのご家族の、押さえきれない喜びの表情を見ると、本当に良かったとこちらも胸がつまる。しかし、今は1年7ヶ月ぶりに家族と再会できた喜びに包まれているだろうけれど、大変なのはこれからだと思う。子供さん達は生まれた時から北朝鮮にいたのだ。

 もし、自分がその立場だったとしたら?…日本語も話せず、孤独感や焦燥感にとらわれるのではという不安ももちろんあるだろう。しかし、自分が生まれてからこれまでの軌跡も、きれいさっぱり何もかも失ってしまったのだ。友人も、故郷も、今まで囲まれて暮らしていた愛する物たちも。これはアイデンティティ(その人の独自性)を無くすることに等しい。相当辛いことではないだろうか…?

 どちらを向いてもせつない話で、胸が痛む。一日も早く曽我さんが心から大笑いする顔を見たいし、家族会の方々についても、少しでも事態の展開を願わずにはいられない。
それにしても老練な北朝鮮外交に、これからどれだけ日本は迫れるのだろうか?
…不安である。

 
 
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