「祖母の帰省」
私の祖母は、93歳です。90歳前までは元気に独り暮らしをしていましたが、ここ3年ほどは、グループホームで生活しています。先週、祖母は久しぶりに自分の家へほんのちょっと帰りました。わずか2時間ほどでしたが…。 祖母は70歳まで現役で看護婦を務めました。その後生まれた私の障害のある長女を何年も、本当によく可愛がって世話をしてくれたものです。
実は祖母は祖父が結核で入院していたため、ずっと別居生活を強いられてきました。 この家でもほとんど一緒に生活したことはないまま、祖父は27年ほど前に他界しました。祖母の思いがけない答えに母は「まあ、やっぱり夫婦やねえ…」と涙ぐんでいました。
そうして、わずか2時間ほどの滞在で、祖母はグループホームに帰りました。
グループホームの職員さんは「別に1泊じゃなくてもいいのよ、数時間でもいいから、家に帰らしてあげられたら、それでいいからねえ」と言ってくれましたが、本当にそうだと感じました。また、祖母を家に帰らせてあげたい…。
祖母の安らいだ表情を見て、私自身も何か大切なものを思い出せたような気がしました。