第702回 「アニマルグッズあれこれ」

6月24日                (中村 覚)

「昔に比べて質は下がったのに値段は上がったよな。」「10年前なら200円だったものが、今じゃ300円が当たり前。 ひどくない?」四十路を前に友人と愚痴ります。 そんな昨今でありながら、「これが200円! スゴイやんッ!」

これが1個、200円です。アニマルマグネット(ガチャガチャ)。

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写真はスチール製のブックスタンドに くっ付けた状態です。1つ1つ丁寧に見ていくと荒削りの出来ではありますが、これが野性味ってモンです。 コストを抑えるためか、立体感はさほどありませんが、トータル、大満足な商品です。

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今回は動物特集で行ってみたいと思います。

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この色白のカバはホームセンターのガーデニングコーナーの奥で、セール対象品になっていました。多分、以前は同じような品がたくさん あったのでしょうが、少しずつ数が減って行き、最後に残った彼は孤軍奮闘中でした。そんな気概に触れる内、買って帰ることに・・・( 安かったもんね。)

本来は屋外に置いて、長い時間をかけて経年劣化(?)をすることで趣を増していく品だと思いますが、せっかくの“白”をわざわざ汚さなくてもと思い、ブックスタンドにしました。

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続いて、こちら。アニマルフックのシロクマです。

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雑貨屋の高い柱の上部に飾ってあり、この白がすぐに目を引きました。店員さんに見せて欲しいと頼むと、はしごを持ってきて登って取ってくれました。いざ手に持ってじっくり見てみると、ん~ ちょっと作りが粗いかなぁ、 特に目が。わざわざ 取ってもらったけど、遠目で見るくらいがちょうどの商品だなという結論に。

すると店員さんが、「もうこれが最後の一点で、今後の入荷の見込みも立ってない」と横でつぶやきます。 何事も一期一会だと即座に理解できました。で、家に持って帰り 柱に掛けたものの、やっぱり商品の粗さが目立ちます。お店で最初に見た時ほど高い場所には置けない、と言うか お店ほど天井が高くないのです。仕方ないので横向きに寝かして、パッと見た時に「何じゃ、これ?」状態で置いてみることに。

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本来の用途には使えませんが、この発展途上の様が意外に良かったかなと自画自賛。(笑)

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最後にちょっとテイストを変えまして、風変わりなワニです。商品名はレインボーアリゲーター。今年の誕生日に友人からもらった物ですが、見るからに子供向けのおもちゃです。「色合いが面白いろ?」と言われ、たしかにカラフルで楽しそうやけど・・・(苦)。 「貯めに貯めたTポイントで買った物だから、遠慮なく受け取れ」 「そりゃ どうも。」

口から出ているひもを引くと、背中のジャバラ(?)をズゥ~ングリ、ムックリと上下に動かしながら前進します。いかにも子供が喜びそうな仕掛けです。

ん~ このおもちゃを最大限に活かすには、どうするべきなのか。 子供が遊んでもう飽きちゃった、また今度ね、そんな遊びの後を思わせるように、部屋の隅に無造作に置いておく 『さりげなさ』が一番?

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ん~ 難しいぃ。試行錯誤中です。でも これが 遊んでるってことでしょうか。(笑)

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第701回 「近代建築?実は…」

6月19日

先日、東京にLABプロファイルのマスターコースを受講しに行きました。とても興味深く楽しく学べて秋にある上級コースが楽しみになったのですが、そのセミナー会場のすぐ向かいに魅力的な建物があったのです。それがこちら。

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実はここ、あの広告業界の有名企業、博報堂と住友商事などが東京・神田に共同で開発・建設した複合ビルなんです。一見近代建築に見えますが、実は2015年4月に「テラススクエア」として生まれ変わったばかりなのです。

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博報堂旧本館の一角を忠実に再現しており、中で左の高層ビルとつながっています。地上17階地下2階建の、商業施設やオフィスからなる、高い防災・環境性能を有した複合ビルです。

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こちらが1930年(昭和5年)に建築された旧博報堂。シンボリックな塔が目を惹きますが、それも細やかに再現されています。

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正面は、コラム(円柱)のあるデザインが目を引きます。

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重厚な入り口。扉は以前の物をリユースしているのでしょうか?取っ手の中央にある「引」の文字が、時代を感じます。

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さて、建物の右側から回り込んでみましょう。想定外の光景が広がります。

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えらく現代的なガラス張りのカフェが見えます。1階のテナントはHASSO CAFFÈというカフェ&バーなのです。(全国初の、「カフェ&バープロント」と、株式会社博報堂のコラボレーション店舗。)こういうところはさすが、平成の建築ですね。こちらのカフェには行きませんでしたが、次回はぜひ行ってみたいものです。

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2階にはレストランやフードコートがあり、気軽に利用できます。私も沖縄料理のお店やフードコートでお昼を頂きました。

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テラス席も300くらいあるそうで、都会の中でも1000㎡を超えるという広場の緑に親しむことができます。

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近代建築の美を残しながら、現在の使い勝手があるというテラススクエア。面白い建物体験でした。

 

第700回 「バリアをバリューに~ユニバーサルマナー」

6月10日

このコラムも、皆さまのご支援の賜物で700回目を迎えました。いつもお読み下さいまして、ありがとうございます。

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さて、「ユニバーサルマナー」という言葉をご存じでしょうか。

「自分とは違う誰かのことを思いやり、適切な理解のもと、行動すること」です。外出に不安を抱える高齢者や障害者、ベビーカー利用者など自分とは違う誰かの視点に立ち、接し方を身に付け行動することは、特別な知識ではなく「こころづかい」の一つだという考え方です。

「ハード(環境や設備)を変えることができなくても、私たち一人一人のハート(心)はすぐに変えられる!」

現在、ユニバーサルマナーを必要とする人は、高齢者が3300万人(人口の約26%)、障害者788万人(約6%)、3歳未満の子ども315万人(約2%)と言われています。

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「今まで“バリア”として捉えていたことも、考え方や周りの人次第で、“強み”や“価値”に置き換えることができる」「車いすの私だからこそ、伝えられることがある。」大阪市のコンサルティング会社「ミライロ」の垣内社長の理念です。

「ミライロ」が提唱して「日本ユニバーサルマナー協会」が設立され、2013年にユニバーサルマナー検定を始めたそうです。協会の代表理事の垣内さんや「ミライロ」講師の方々はご自身も車いすでいらっしゃいますが、障害を価値に変える「バリアはバリューだ」という考え方は、希望になります。

ユニバーサルマナーの検定があると知ったのは最近で、早速ユニバーサルマナー検定3級を受講しました。ちなみに「バリアフリー」は「障害者や高齢者のバリアを取り除く」ということで、「ユニバーサルデザイン」は「国籍や性別、障害の有無にかかわらずすべての人に使いやすいモノやサービスのありかた」です。

私も二つの大学で、教員免許取得の際に必須である「介護等体験」の事前指導を8年ほど担当させて頂いています。実習で学生が初めて高齢者や障害児などと接する時にどうしたらいいのか、マナーとコミュニケーション法を伝えているのですが、その中でスタッフの中村にも「コミュニケーションでの配慮」をテーマに、体験を交えた話も担当してもらっています。

その中でよく訊かれる質問に「何か手助けをしたいのだが、具体的にどうしたらいいのかわからない」ということがあります。検定の中でも、これについてふれられていました。

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たとえば障害のある方に手助けしようと思ったら、まずは「お手伝いできることはありますか?」と尋ねること。同じ車いすでも一人一人の状態は違うので、助けて欲しいこと・自分でできることは判断できません。この問いかけがあれば、「自分でやりたい」方の思いも尊重できるというわけです。

「ミライロ」では障害を価値に変えるバリアバリューの視点から、障害者やその家族、関わる企業や団体を支援することを目的として、2016年4月に「バリアバリュー財団」を設立しました。障害者の自立や社会参加の支援へつなげ、ネットワークを構築し、雇用創出へつなげたいということです。

この財団は早速、4月の「平成28年 熊本地震」で、被災地への福祉用品支援を行っています。避難所を中心にノーパンク車いす・白杖・筆談ボード・褥瘡(じょくそう)防止用クッションなどを送る活動を行っているとか。ノーパンク車いすはがれきの上を走行でき、比較的軽く、混雑する避難スペースで場所を取らないように背折れ収納ができるものにしたそうです。また、クッションは褥瘡を防ぐためには必需品ですが、意外と知られていないことでもあり、その細やかな心遣いには感銘を受けました。

熊本地震の障害者支援を目的とした寄付も呼びかけていたので、弊社もコラムの700回記念を兼ねてささやかな寄付もさせて頂き、日本ユニバーサルマナー協会にも入会しました。

協会の「30秒でわかる!災害時のユニバーサルマナー」は、ぜひ多くの方に読んでいただきたい内容です。

◆視覚障害のある方が避難所で困ることは

・掲示板の情報が読めない
・周囲の状況がわからず、不安 など

◆車いす利用者が避難所で困ることは

・移動のサポートが必要
・長時間同じ姿勢でいると危険 など

◆知的障害のある方が避難所で困ることは

・否定・注意がわからない
・パニックを起こしやすい など

◆聴覚障害のある方が避難所で困ることは

・館内放送が聞こえない
・周囲の状況がわからず、不安 など

700-7(写真は私の長女です。)

高齢者や障害者に、思いはあっても声をかけられない悔しさ…「どうすればいいかわからない」が、知識を得ることで少しでも解消していければ、そしてより良い社会になればと願っています。