第788回 「松原ミートで渾身のジビエを頂く」

2月24日

ジビエとは、野生の鳥獣肉。高知県では今、県内40店舗でジビエ料理が食べられる「よさこいジビエフェア2018」を行っています。

イノシシや鹿による農林業被害が2億円を超え非常に深刻化しているため、捕獲されたジビエを大切な資源として有効活用しようという試みです。これは乗ってみなくちゃ!

ということで神奈川から遊びに来た講師仲間Hさんを、高知市のジビエレストラン「松原ミート」にご案内しました。ジビエの捕獲から関わっている本格派のお店で「本日ハクビシンの有害捕獲出動のため閉店します」なんてことも。(笑)

店内はL字型カウンターのみです。メニューは冷蔵庫に貼られています。

私も中村もジビエは鹿やイノシシを数回食べたことがある程度で、わからないなりに一通り注文しました。

肉料理は多くが「100gいくら」なので、肉のかたまりを見せて「どのくらい切りますか?」と訊いてくれます。

◯シャルキュトリ盛り合わせ(1500円)
ジビエ専門店に来たぞ!感満載の前菜です。

右上から時計回りに、豚の生ハム(プロシュート)、豚のソーセージ、鹿のパテ、イノシシの頭の煮こごり。どれも熟練の加工で肉の旨みがしっかりしていました。イノシシの煮こごりは少し味が濃かったのでパンを頼み、載せてサクサクと美味しく頂きました。

◯季節の野菜とヴァントレッシュ(700円)

山盛りの葉物野菜に、ヴァントレッシュって何なのか?後で調べると、塩漬けの豚バラ肉を燻製にしたものらしいです。

◯ソーセージ(ブーダンノワール950円/100gほか  )

ブーダンノワールは黒いソーセージ。鹿の血を使っていると事前勉強してました。恐る恐る注文してみると、意外度100%!玉ねぎも入ってコクがあり、実に美味しい!概念が変わりました。もう一種は今帰仁アグーとふきのとうのソーセージだったかな?私は、ブーダンノワールの方がより美味しかったです。

◯土佐赤牛の炭火焼き(1800円/100g)

ドンと来た、土佐赤牛の赤身肉。これぞ肉祭り!(笑)肉の旨みをストレートに、何度も噛みしめて味わいました。「牛肉はやはり王道の美味しさだね」と納得。

◯ピクルス(300円)

やはりガッツリお肉を食べるので、サッパリした野菜が欲しくなります。ピクルスには四方竹も入っていました。

◯ハクビシンのバロティーヌ(2800円)

さあ 本日のメイン、ハクビシンです!ハクビシンって美食家で、ミカン畑でも食べ頃の甘い木のものしか食べないとか、そりゃ美味しくないわけがないでしょう。農家の敵をとってやります。沖縄で様々なお肉を食べたHさんもこれは初体験とか。

やはり美味しいお肉。バルサミコ酢味かな?でも、今まで食べた どの肉とも違う味。鳥とも豚とも牛とも鹿とも違う…。うーん、文章力のなさが悔やまれます。(^^;)ハーブなどをうまく使っていて、匂いもありません。食感は少し干したイカのようで、噛みしめがありました。右はハクビシンのソーセージですが、クセがなくて美味しい。
(ハクビシンはいつもあるわけではなく、予約が必要です。)

◯エゾ鹿の炭火焼き(1300円/100g)

ものすごく柔らかくてジューシーなのが驚き!鹿肉は鉄臭くて固いイメージがあったのですが、ラム(子羊)みたいな柔らかさで鹿肉の旨みを味わえました。シェフの凄腕を確認した一品で、鹿肉のイメージがガラッと変わりました。

◯皮付きイノシシのブレゼ(2500円)

ブレゼは蒸し煮で、シンプルにお塩で頂きます。イノシシの旨みは固い皮の下の脂身だと私は思っていますので、本当はとろけるほど煮込んだ方が好みなんですが。これは歯ごたえも残しているので食べ応えがありジビエ祭りのトリにふさわしく、満腹でご馳走様となったのでした。Hさんにも魚だけではない高知の食の奥深さを喜んで頂けました♪

お酒が飲めない私はフルーツソーダでしたが、お肉の分解酵素があるキウィが甘すぎない感じで程良く、ついお代わりしちゃいました。

ジビエはなじみが薄いので欲を言えば(メニューでもいいから、もうちょっと説明して欲しかったなぁ)とは思いましたが、とにかくジビエを美味しく、その奥深さも堪能させて頂けました。せっかくなので何人かで行くと、より多くのお肉を味わえますね。

何より、シェフ渾身のジビエ料理は感動ものでしたし、命を頂くということの原点を考えさせられました。(動物たちに手を合わせて)ご馳走様でした。

第787回 「春つげ御膳」

2月16日            中村 覚

今回は「食」に走ります! 食に走ると言っても、自暴自棄の暴飲暴食ではなく(笑)、どこかで珍しい物を食べて それをご紹介! 月一回のコラムを何とか しのぐための最終手段です。

少々大げさに書きましたが、何かを食べてそれを書くことができれば、一石二鳥、それはまぎれもない事実です。でも そのためには自分が本当においしいと思える物に出会わないと書けません。今回は出会えました。きっかけは新聞記事です。

『室戸「春つげ御膳」いかが』という見出しに御膳の写真が掲載されており、2月1日から1ヶ月間、ハマアザミなど旬の地元食材を使った「春つげ御膳」を提供するとのことでした。ハマアザミ? よくは知りませんが、この寒い時期「春つげ御膳」という気持ちが豊かになるネーミングに誘われて行ってきました。

室戸市内の飲食店など8店舗で食べることができる「春つげ御膳」 、前日までに予約が必要です。私が行ったのは「初音(はつね)」というお店。もちろん初めてです。

それでは早速ご覧ください。「春つげ御膳」です。

まずは金目鯛の荒汁です。

金目鯛の油の旨みが溶け込んで、えも言われぬおいしさです。金目鯛って、深海魚だと この日 初めて知りました。ちゃっかり名前に鯛と付いているもんですから、鯛の親戚筋ぐらいに思っていました。

これはハマアザミの天ぷらです。ゴボウのようでもっとおいしいという話は聞いたことがありましたが、まさに柔らかいゴボウのような歯応えです。海洋深層水の塩で味付けされており、おいしくてすぐに完食してしまいました。

天ぷら前の状態を、わざわざ見せて下さいました。昔からこの周辺では食べる習慣があったそうで、岩場の過酷な環境だからこそ、しっかりと根が張り、この歯応えに育つとか。砂地だとこういった根には育たないということです。

これはグレの刺身です。身が引き締まり、さすが室戸の獲れたて。歯応えがあり鮮度が良いので、しょうゆが乗らないようなぷりぷり感でした。

室戸ナスのたたきです。育成に室戸海洋深層水を使っており、柔らかく美味しい羽根町産です。菜の花もみずみずしい青さで、食欲をそそりました。

マンボウのみそ煮です。ご紹介するにあたりしれっと書いてはいるものの、実は食べている時に「これは、何?」と思い直し、お店の方に聞いたところマンボウと判明。あの特異な形をしたマンボウですって…。知らない内に食べてしまっていたとは、なんたる贅沢! 味噌の味が抑えられておりマンボウの風味を引き立てています。例えるならイカのような食感かと思います。夏のマンボウは臭みがあるそうで、冬のこの時期がおいしいそうです。

地元の食材を活かした「春つげ御膳」(1650円)。室戸の地産地消を活かした春らしい食事は、心身を満たしてくれる満足感に浸れました。

第786回 「下関近代建築② 英国領事館レストラン」

2月9日

さて、前回に引き続き下関市の近代建築、旧英国領事館のご案内をしましょう。
(写真はクリックで大きくなります)1階の展示室を見て回り、階段を上がると…

レストラン「Liz」です。英国領事館ですから、きっとエリザベス女王のお名前にちなんでいるのでしょうね。

優美で落ち着いたインテリア。ここでお食事ができるのは嬉しいですね。
気持ちもゆったりと、くつろげそうです。

それぞれの部屋に暖炉があります。

内側から見たベランダのアーチは、こうなっています。

ラッキーなことにランチ時間に、一番乗りでした。ピーターラビットオリジナルランチ「ピーターラビットのキッチンガーデン」(2000円)を頂くことにしました。ここではピーターラビットが公式キャラクターになっているのです。

前菜が来ました。「マグレガーさんの農園 ~季節野菜のテリーヌ~」
とっても可愛らしいテリーヌの断面にビックリ!!いかにもピーターラビットが好きそうです。トップにはトマトで作ったというムースが♪

スープは「ピーターとベンジャミンのお土産 ~季節野菜のスープ~」
見た目はシンプルですが、マッシュルームとポルチーニ茸の味が絶妙で、実に美味しかったです。

メインは「犬のダッチェスのおもてなし ~牛バラ肉の赤ワイン煮込み~」
ピーターラビットというキャラクターでフィルターがかかっていましたが、こちらのレストラン、実に優秀なシェフがいらっしゃると確信しました。

最後のデザートには、ノックアウトされました!
「ピーターラビットのひみつのお花畑 ~抹茶のティラミスとピンクのメレンゲ~」

なんて美しいんでしょうか!感動です。
 野原は抹茶のティラミス、周りの壁はチョコ、花もウサギも、すべて食べられるんですよ♪♪

カップにはさりげなく、ピーターラビットが。「大人可愛い」ってフレーズを思い出しました。いや~このランチ、きれいで美味しくて、お薦めです!!

また下関に来ることがあれば、絶対に再訪しようと思いました。