第874回 「受難の神無月」

10月26日

令和元年の10月は、記録に残る災害や悲しみの 月となりました。
昨日も前線と台風の影響で大荒れの天気が東日本に移り、千葉県や福島県で台風19号の被害に追い打ちをかけています。どうか一日も早く、被害にあわれた方々が早く元の生活に戻れますようにと祈るばかりです。

それとは比べものにはなりませんが、このひと月は私にとっても かなりしんどい時期でした。季節の変わり目に長女の喘息が出るのはよくあることですが、どんどんひどくなってデイを休み続け「このままでは入院か」とハラハラした日々が続いたことで、私まで疲れから喘息を発症。咳と腰痛がひどくなり不眠が続き、久しぶりに軽い心臓発作まで起きてしまいました。

一番困るのは、仕事の時に声が出なくなってしまうことです。大きな会場では頼めばマイクを準備して頂けるため なんとか乗り切れていたのですが、少人数用のアットホームな会場ではマイクがないため、1日7時間の交流分析講座の仕事は悩みの種でした。

ふと思い出したのが、小型スピーカーとピンマイクのセットのこと。
もう6年ほど前ですが、交流分析の講座で講師仲間Aさんの声が小さく受講者の方から「聞こえない」と不満が出たことがあり、その解決策として講師何人かでお金を出し合って購入した物です。

早速、大事に保管してくれていたBさんに連絡してお持ち頂き、そのお陰で声帯に過剰な負担をかけることなく無事7時間を乗り切ることができ、心から安堵しました。やはり、持つべきものは友人です!

それにしても、年齢と共に何かアクシデントが起こると冬場に声が出なくなることが起きるのは、困ったものです。無理に声を出した講師の友人が、声帯に傷がつきハスキーボイスになってしまったということも聞いているので、何か声帯に良いことをしなければと漠然と思っています。少なくても、喉に負担をかけないものを、と調べるとNGなのが

・唐辛子やコショウなど、辛いもの (キムチ鍋も避けなきゃ)
・そばやうどんの出汁(ダシ)
・オレンジジュース、お茶、特にウーロン茶

うう、そういえば昨日香川に出張でうどんを食べた時、つい少しだけおつゆも飲んじゃいました。喉の水分を取られるらしいです。ウーロン茶も宴会の時によく飲みますが、喉の粘膜を落としてしまうとか。常温の水が一番だそう。

これからは心して、喉の調子を整えていこうと決意しています。

第873回 「治水対策」

10月19日

12日から13日にかけて台風19号で被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。どうか温かい場所で、ゆっくりとお休みになれる日々が早く戻りますように。

スーパー台風と言われた19号の被害は東日本で本当に大きく、国土交通省によると、台風19号により決壊した堤防の数は全国で、130カ所にのぼったとか。連日NHKでは大きく時間を割いて関連ニュースを伝えています。たびたび豪雨に襲われている高知県でも、人ごとではなく、心が痛くなります。

東京都内では下水管の排水能力は1時間に50ミリ。降雨量が多い高知市の場合は77ミリですが、近年多発している時間雨量100ミリ超えの場合には、とうてい追いつきません。温暖化の影響もあり、今後ますます豪雨がひどくなることを考えると、不安になります。

(写真は2014年の高知市浸水時)

今回の規格外とも言える降水量には、「地下神殿」とも言われる首都圏外郭放水路が大きな役割を果たしたと言われています。どこかで見た写真から、大きなプールのようなものかとイメージしていたのですが、地底50メートルに、長さ約6.3キロを流れる、世界最大級の地下放水路だそうです。

高知県は1998年、高知市の3分の1が水没したとも言われる98豪雨など、過去に甚大な被害を受けてきた経緯があります。そのため、豪雨時の排水能力の向上や河川の改修などの治水対策に長年尽力してきました。ポンプによる排水能力は、全国でもトップクラスだそうです。(その代わり、都市整備などはずいぶんと遅れていましたが)

実は高知市には「地下神殿」こそありませんが、それに近い「雨水貯留管」が昨年、完成しました。高知市宝町から高埇の産業道路の地下には、東西約2.7kmに及ぶ直径3.5mの管が通っています。高知駅から北への420mの管も合わさり、合計で25mプール約70杯分に相当する2万6400トンを貯水することができます。下水道管が一定の水位を超えると、あふれた水が貯留管に流れるような仕組みになっているようです。

こうした「モノ」に対して「人」もまた、頑張っています。
2014年の台風12号の豪雨の際には、72時間で829.5ミリを記録し、高知市内全域には避難勧告が出されました。(上の写真です。)

この時 鏡ダムの管理事務所ではゲートの開閉をコンピュータ制御から手動に切り替え、水位と降水量を見極めつつ数cm単位でダムの開閉を行い河川の氾濫を防いだ「ダム職人」がいたそうです。すごい!まさにA I をしのぐ人間の英知です。

大型の台風や集中豪雨で、時間雨量100ミリ超えがあちこちで頻発するようになり、気象は大きく変わってきました。こういったシステムで街を、命を守ることが全国的に今後の重要な課題となるのでしょう。

第872回 3つの「まぁしょーがないか」の話。

10月11日                中村 覚

もう始めて10年以上になる講義が、この時期にあります。先週の金曜日にその第1回目が終了しました。次週の打ち合わせをすませ、外に出た時には既に辺りは薄暗くなっていました。

駐車場の車に行きドアを開けようと取っ手を握ると「にゅっ」と妙な感触があり、とっさに手を放すと足元にカメムシが落ちました。どうも取っ手の裏側に潜んでいたみたいです。圧死したわけではないでしょうに、カメムシは死んだふり。握った右手を嗅ごうものなら鼻の寿命が縮むってもんです。

「まぁしょーがないか。 取っ手の裏側にいたわけだし。」車に乗り込むと、密室に臭いが充満しています。

これは事故みたいなもので、とにかくしょーがない。どこの世界に、取っ手の裏側をいちいち確認する人がいるでしょうか? 事故以外に考えられません。 以前、半年の内に2度も一時停止違反で捕まり、次 違反したらアウト!という窮地に立たされましたが、あの時と同じです。

次の日です。講義中に受講生に書いてもらったレポートのご質問を、お答えするために種類別に分けてパソコンに打ち込みます。今年の質問の内容は 松葉杖をついて15年程になる私の日常生活についてがほとんどです。「どういった事に不便さを感じますか」ということを、受講生がそれぞれの言葉で書いてくれています。

そんな中、「難病を患っている中で、一番何が大変ですか?」というご質問がありました。講義の中で「足、腰に力が入りづらく松葉杖で~」と申し上げていますので、20代の元気いっぱいの世代からすれば、私は難病ということになるみたいです。しかし私の中では 自分以上に大変な状態にある方はいくらでもいらっしゃるので、自分で「難病」と言うのはおこがましいだろうと・・・。

しかし、おかしなもので そう言われれば、ちょっと立ち止まり 普段見慣れた景色(日常)を一度見直してみるかと、そんな空気が一瞬 流れます。他者から自分がどう見られているのか?解釈というのは自分と人様ではこんなにも違うものなのかと、今さらながら再確認です。 ~でも、「まぁしょーがないか。 人は人。自分は自分。」

たくさんの質問をどんどん打ち込みますから この質問が終われば 次の質問。「なんびょう」と打ち込み、変換キーを押すと「何秒」と表示され、パソコンにしてみれば使用頻度に従っただけでしょうが、「ふざけてるのか?」つい笑ってしまいました。 こんなふうに悩んでも仕方ないことは、ちょっとトボけてやり過ごそう、みたいな。(笑)

ところで、こういった大量の入力をする時は、だいたいイヤホンで音楽を聞きながら打ち込みます。その方が疲れにくい気がするからです。~で、しばらく前から イヤホンが壊れていたことを思い出し、外出先で打ち込みをしていたので、その足ですぐに買いに行きました。前回 使っていた物よりはちょっと良いヤツをと思い、買ったのがこちら。

ところが、あれ? あれ? いざ聴こうとしたらパソコンのイヤホン端子に差し込むプラグがありません!

左のイヤホンのように本来はプラグがあるはずなのですが・・・?

得体のしれないイヤホン。店に引き返し、プラグ付きのイヤホンに替えさせてもらえないかと聞くと「こちらの商品はワイヤレスイヤホンと明記されていますし、なによりも一度開封した商品は返品不可です。」

いや、ごもっとも! スマホ対応のイヤホンだったみたいです。(スマホは持っていません。) 妙に聞こえるかもしれませんが、購入する時にはパッケージの側面にデカデカと書いてある「ワイヤレスイヤホン」が見えていなかったのです。

買った後に浮き出たのでしょう。だとしても、やっぱり開封したのが一番の痛手。浦島太郎も玉手箱を開けてなければ返品できたはず。(笑)

「まぁしょーがないか。 開けたんだから。」

2日間の内に起こった、3つの「まぁしょーがないか」の話でした。