第965回 「金魚アートの世界~深堀隆介展」

7月31日

テレビではオリンピックの熱戦が続いていますが、暑い夏、目にも涼やかな世界を楽しもうと高知県立美術館に 深堀隆介展 “金魚鉢、地球鉢” を見に行きました。

深堀隆介さんは、手描きの金魚を立体アートに高められた現代美術家です。
以前にテレビで見て、ずっと本物を見たいと願っていた作品群。
全国5カ所の巡回展だそうですが、まさか高知で見られるなんて!
まるで夏休みのお祭りに出かける気分です。

ポスターに「本物?いいえ、手描きです」とありますが、
この金魚の表情、ヒレのなびき方、花びらの質感まで 本物を超えた永遠です。

制作工程は、透明の樹脂を器に流し込み、固まったらアクリル絵の具で金魚を断面的に描き、また樹脂を流して固めて絵を描き…と何度もくり返すことで、本物そっくりのリアルな金魚の世界が生まれるのだとか。

会場には2000年代初頭の作品「金魚酒」から、日常の器、タンス、和傘に泳ぐ金魚、最新の大作まで様々な金魚アートに出会え、魅了されました。

ここは会場で唯一、撮影が許されている場所です。

「金魚すくい」はテレビニュースで深堀さんが、制作に行き詰まり
アーティストを辞めようとした時「部屋にいた金魚に魅了され、救ってもらった」
とご自分にとっての深い意味合いを語っていらっしゃいました。

コロナ禍で夏祭りも中止ばかりですから、ここを見た子どもが素直に
「きれい!」と目を輝かせていたのは、見ていても嬉しかったです。

この金魚の躍動感。一瞬が切り取られています。

そしてこの表情。
まさに生きているとしか思えません…。

酔いしれて会場を出ると、開催されたばかりだったのでグッズが沢山ありました。
そりゃあ、欲しくなりますよねぇ。(笑)

左上から、ブックカバー、クリアファイル、チケットケース。
手前の2枚は、マルチクロスです。

500円のガシャポンで当たったキーホルダー。
これもちゃんと立体的に見えるところが、さすがです。(笑)

このチケットケース、ぜひクリックして御覧下さい。芸術品です。
もったいなくって使えません。(笑)

実は小さな子どもの上履きに金魚が泳いでいる作品があり、不思議に思っていました。
後日 深堀さんのホームページを見てみると「水底の花」というコラムがあり、
(震災を思わせる)水がすべて奪い去ったこと、
「でもあなた達のことは決して忘れない」というメッセージだったと知りました。

深い精神世界にもつながっているからこその、綺麗なだけではない世界観なのだと知りました。ぜひ、多くの方々に御覧頂ければと思っています。

第964回 「東京オリンピック2020」

7月24日

ついに、東京オリンピックが昨日開幕しました。新型コロナ禍で1年延期され、東京都を含め緊急事態宣言が出ている状況下、その賛否を二分されている中で。

オリンピックが利権まみれであることが明るみに出、スキャンダルで次々と辞めていった組織のトップ 竹田恒和氏や森喜朗氏。「復興五輪」の看板倒れでも 責任は取らずに開会式は欠席の安倍前首相、開催決断はIOC任せで責任回避の菅首相。演出スタッフも続々と辞任。様々な負の現状を目の当たりにし、国民が複雑な思いを抱えるのは当たり前でしょう。

さらに無観客になったため、900億円を見込んでいたチケット収入がほぼ消滅。しかしコロナ対策で新たな負担は増えているため、赤字の穴埋めをどうするのか、国と都がぶつかっているようです。傷を負わないのは、莫大なテレビの放映権が入るIOCばかり。

しかも台風が発生して、来週初めにはオリンピックに影響が出そうなことも心配です。
あまりにも複雑な思いを抱えるオリンピックなので…あえて良いところに着目してみます。

開会式で入場する各国の選手団の皆さんを見ていると、嬉しくなりました。
みんなでおじぎしたり、飛び跳ねたり、日本と自国の国旗を振ったり、あふれる喜びで顔を輝かせていた選手の皆さん。そりゃあ、人生かけてオリンピックに臨んでいるわけですものね。自然と応援したい気持ちになります。

ハイテクの1800機以上のドローンで空中に描かれた地球の美しかったこと!
それと対比して江戸を思わせる職人たちとか、50の競技の「ピクトグラム」の手作り感や温かみは、早速ネットで世界中から賞賛を浴びていました。

そしてメインスタジアムとなった、国立競技場。高額すぎるとデザインコンペ案を白紙撤回した後、あえて火中の栗を拾った隈研吾氏のデザインの素晴らしさには、感銘を受けました。「自然」を意識し、ふんだんに木を使い、風が通るデザイン。

屋根の軒とひさしには47都道府県の木材が使われているのは「全国の人が、心をひとつにするため」だそうです。各県がある方位にその地方の木材を使用するという徹底ぶりで、入場する3つのゲートの軒には被災地の木材を使ったとか。これこそが「復興五輪」の心意気ではないでしょうか。

観客席の色は「森の木の葉が落ちたような色に」と白・薄いグレー・黄緑・深緑・濃茶の5色の「アースカラー」。それらがバラバラに配置されており、人が少なくても賑わって見える構造が素晴らしかったです。あれが観客席がベッタリ一色なら、実に寒々しい光景になっていたでしょう。(席の写真はテレビもネットも著作権があり、お見せできなくてすみません)

まさかオリンピックが無観客で行われるとは誰も想像できませんでしたが、実際に開会式当日、無観客にも関わらず取材した外国メディアは、光のマジックもあり「人がたくさんいる!」「満席だ!」と驚愕したそうです。(笑)確かに、テレビでもそう見えましたよね。

隈さんは「オリンピックは満員でも、その後人が入らないイベントもあるだろうし、そういう時でも寂しくないデザインがいいなと思った」と語られています。結果として、隈さんの温かさと感性が、想定外の無観客の開会式を そう見せなかったんですね。卓越した超一流のプロとは、そういうものなのでしょう。

そうして、せっかく開催された東京オリンピックです、
どうぞコロナにも台風にも負けない輝きをと祈らずにはいられません。

第963回 「緑の中のラーメン・カフェ~金次郎」

7月17日

夏ですねえ。まるで夏休みの絵日記のような入道雲が呼んでいるみたいです。(笑)
幡多に仕事に行ったとき、いつものイタリアン「ポモドーロ」がお休みでどうしよう、と思ったら「そう言えば宿毛市に美味しいラーメンがあるらしい」と思い出し、行きました。

高速道路も宿毛市和田まで延伸していますが、地図で見たらお店のある二ノ宮地区まで道路が新しくできていて、高知市から2時間半ほどで行けました。

「お店はどこ?この辺りのハズなんだけど…」と探すと、左手にありました!
これは見落としますよね。ちょっと森の中に入っていく感覚です。(笑)
駐車場は2軒東を、左手に上がった場所です。

入り口の階段は、枕木です。 雨の日は すべるのでご用心。

二ノ宮地区にある「金次郎」。
実は看板に小さく「二ノ宮」と入っているためか、ネットのブログ記事もフルネームだったりしますが、「二ノ宮金次郎」ではなく、「金次郎」が正解とのこと。

2016年のオープンらしいですが、すっかり人気店で  宿毛では珍しい行列が。(笑)
そのため、居心地良さそうな椅子が20人分くらい設けられています。

お店は11時からですが 11時半前には満席で、緑の中で待ち時間を過ごします。

いざ、入店!お客さまがいらっしゃるので全体は写せませんが、
南の窓からは夏の緑がしたたるようで、実に綺麗です。

メニューは定番の醤油・塩・味噌に加えて 担々麺、上海まぜそば、サンラータンメン…と様々。え?トマトとチーズの味噌ラーメン?パンダラーメンって何!?(笑)

パンダラーメンはお揚げが入ったあっさり味で、味噌ラーメンはベジタブルポタージュスープだとか。「当店の出汁はは真折昆布と5種類のお魚の一番出汁のみ使用しております」って、健康志向♪高知では珍しい、化学調味料抜きのオーガニックなラーメン店なんですね。ではまず、ベーシックな塩から行きましょう!

塩ラーメン(700円)が来ました。お箸も上品に包まれています。
トッピングは固ゆで卵、チャーシュー1枚、メンマ、水菜、トマトと紫タマネギ。
麺は細麺のストレートで、一口食べると…

わ、出汁の香りとうまみがすごい!まるで味の強いお澄ましを飲んでいるような…。
サッパリしているので、これは毎日食べられそうな美味しさ♪
紫タマネギのみじん切りが、味の良いアクセントになっています。

ちなみに「特製 塩ラーメン」(950円)だと、チャーシューと煮卵が増量。
別皿に盛られてくるのが上品で、味のバランスも損ないません。

チャーシューも個性的で、薄くてあっさり味、でも美味しい。
隣の女性陣は追加トッピングしてました。わかるわ~!(笑)

中村は「トマトとチーズの味噌ラーメン」、(850円)人気らしいです。
グリーンとトマトスープの赤のコントラストが綺麗ですね。

味が予想つかなかったのですが、「まろやかでコクがあって美味しい!」
「ちょっとエキゾチックで、まるでパスタをラーメンで食べてるような感じ」と。
麺を食べた後は、スープを楽しむ時間に早変わりです。

「スープを飲み干しても罪悪感がないって、いいですねぇ~」と完食。(笑)
どれも麺の器がとてもきれいで、ラーメン店と言うよりもカフェ、の方がぴったり来ます。勝手にラーメン・カフェとネーミング。(笑)

もう一品、これは「冷やし中華」(900円)、数量限定です。

レンコン、アボカド、ゴーヤ、鶏肉、トマト、グレープフルーツ(ルビー)、ブルーベリーが厚切りで色とりどり。その美しいことと言ったら!

スープはさらさらしたごまだれで、麺はもっちりと太めの全粒粉。
食べ応えアリだけどヘルシーなので、もたれない感じです。
また、明日も来たい(笑)。地元の方、いいなあ~。

皆さんが席を立った一瞬。たまたまお隣さんは、神戸からの方だったようです。
これから夏休みになるので、ますます混み合うんでしょうね。

2世代のご家族が総出で、お客さまへのしつらえ(準備)、食器、笑顔と宿毛らしい
心のこもった対応をして下さったのが印象的でした。ご馳走様でした。

「金次郎」さんのFace Book はこちらです。