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第342回●2009年6月14日(日)

 「嬉しかった、学生のレポート」

 先月から高知大で、教員採用試験には必修の「介護等体験事前指導」のうち、マナーとコミュニケーション講座を担当していました。今年から非常勤講師になったので、3クラス・300名の学生とかなりガッチリと向かい合いました。
(写真はロールプレイング中のショットです)

 この「介護等体験事前指導」は、さまざまな外部講師を招いて行われます。特別支援学校の先生、社会福祉施設の職員、保健師、医学部の先生…。介護の基礎や高齢者福祉、障害児・児童福祉など、学生が実習前に一通りの知識を身につけられるようにと、教育学部の先生が配慮なさって昨年度からこういう形で行われるようになりました。

 私は1回目はマナー、2回目はコミュニケーションをテーマに講義を組み立てました。昨年の実習の感想として「自閉症児とのコミュニケーションが難しかった」というものがあったので、2回目の講義の時に、自閉症児のコミュニケーションを取り上げました。その中の1つで、特徴的なものとして「こだわりの質問」をあげました。たとえば「誕生日、いつ?」と何回も訊いてくる子は、その答えが欲しいと言うよりも「こんにちは」とか「元気?」の意味合いで訊いてくる事。その意味合いがわかっていれば、コミュニケーションの糸口になることなど…。

 その講義の後、最後にレポートを書いてもらうのですが、学生からは「そういう意味があるとは初めて知りました」「そういえば、私も経験があります」などの感想がたくさん寄せられました。その中で、ある学生がこんなことを書いてくれました。ご本人の許可を頂きましたので、それをみなさんにも ぜひ聴いて頂きたいのです。

 最近私は 初めての反抗期(らしいのですが…)です。
昔から母親ととても仲が良く 出来事や、食べたこと、学校のこと、今の気持ちを大学生になってからも 電話でよく話していました。でも最近、同じ事を何度も言われたり、出来事を話されたりすると、ハスキーボイスの声のトーンが更に下がり、母に不快な想いをさせ、また、不安にもさせてしまっているなと思うのですが、直すことができません。笑顔で明るく話そうとしているのですが、最後の方には母が気を使って電話を切るよう言い出してくれます。そんな悲しませるようだったら電話しない方がましだなと思い、回数が極端に減ってしまいました。私のこれからの課題だと思っています。

 でも、本日の講義で「こんにちは」≒「誕生日いつ?」をきいて、少し母の立場に立って、これから話せる気がしました。・・・

 このレポートを読んで、私は本当に嬉しくなりました。こんな風に日常生活に応用してもらえると、話した甲斐もあるというものです。私は早速お返事を書きました。
 


 ◯◯さん、お母さんとの大切な出来事を話して下さって、ありがとうございます。(中略)・・・

反抗期には、誰しもこういうお互いに心の痛むことがあるものです。私も読みながら、あなたの気持ち、お母さんの気持ちになって、うるうるきてしまいました。

・・・反抗期は、自立のためにとても大切なものです。でも、お互いにとても苦しいですよね。◯◯さんとお母さんが、これから少し関係性を変えられるとしたら、私もこんなに嬉しいことはありません。今回、この話題をピックアップして良かったです。
あなたのレポートはご質問ではなかったのですが、心を打たれ、人としてお返事を書かずにはいられませんでした。本当に、素敵なお話をありがとう。・・・


 これに対して、この学生はメールでまた嬉しい返事をくれました。こういう、まっすぐなやりとりができるのはこの世代ならではのことでしょう。私もやり甲斐を感じます。

 高知大学の学生の素晴らしいところは、本気でレポートにもぶつかって来てくれるところです。ほとんどの学生が、上辺だけではない自分の思いを びっしりとレポートに埋めてくれます。質問も多く 中には厳しい反論もあり、それに対して私も 自分の思いを真剣に返すので、正直、相当大変です。2回目の講義だけでも40人に返事を書くので、次の仕事のレジュメ作成が間に合うか、今悩んでいるところです。(実はまだ返事を書いている最中なのです。)

 でもこれも、嬉しい悲鳴ですよね。よっしゃー、これからまた頑張ろうっと!!

 

 
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