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第393回●2010年6月19日(土)

 「車椅子の視点から

(中村 覚)

 先日、車椅子の方に対する接客についての研修があり、そこで私のこれまでの体験を元にした話を聞いてもらう機会がありました。私は普段は松葉杖を使用していますが、 広い公共の施設などに行くと、入り口や受け付けに設置されている車椅子をお借りしています。車椅子を使用した時に感じることの中で、より良いサービスにつながると思われることを題材としてみました。今回はその一部をご紹介します。
 まずは買い物の時の話です。ショッピングセンターに友人と一緒に行った際には車椅子を押してもらうこともあります。店内を移動していると「いらっしゃいませ」と店員さんが挨拶をしてくださるのですが、私にではなく、だいたい私の後ろの友人に対してだったりします。レジで会計をする際もそうです。商品を出して私が支払いを済ませると「ありがとうございました」と後ろの友人に挨拶してくださいます。「あれっ?」とちょっと思うわけです。でも別に店員さんに悪気はないんですよね。

 このように車椅子の私に言葉が返ってこないのは、多分、目線の問題も大きな一因かと思います。私は座っている状態ですから、店員さんと自然に目が合うのは私の友人ということになり、結果的に友人への挨拶になってしまうのではないかと思います。しかし顧客対応を考えると友人のみへの挨拶はNGですよね。 

 それからこれは店員さんに車椅子を準備していただく時のことです。車椅子に乗り移る時に、しっかりブレーキをかけておいてほしいのです。何故かと言うと、車椅子を使用している人は脚、腰に力が入りにくいため乗り移る際に自分の体重をそのまま車椅子にドスンッと、あずけてしまうことになります。そうすると、もしブレーキがかかっていないと、場合によってはズルズルッと滑ってしまい転倒の恐れもあるからです。

 次に言葉の言い回しについてです。スーパーに買い物に行った時に、商品の棚と棚の間の通路を通る際に、小さな子供さんがいたりして、「ん〜、ちょっと寄って欲しいな」と思うわけです。大人の方だと気遣って寄ってくださるわけですが、子供さんだとなかなかちょっと難しいです。(楽しい楽しい買い物の真っ最中ですから)
 こういう時にその子の親ごさんが先に、私の存在に気付いてくださり、ありがたいことに、わが子に道を開けるよう促してくれます。無言のまま子供さんの手を引っぱったり、背中をそっと押したり、または声をかけながら手を引いてくれる親御さんもいらっしゃいます。

 でも、その中に「寄っちゃりなさい(寄ってあげなさい)」と、おっしゃる方がいます。確かに子供さんからするとこの言葉はとてもわかりやすいと思います。でも言われた側としては、少し違和感があります。(もちろん寄ってもらえるのはありがたいとは思いつつです)

 例えば、ある品物を友達やご近所の方にお裾分けなどする時に「これを、○○さんに持って行く」、「○○さんに届ける」など色々な言い方があり、気持ちはどれも一緒で、相手に喜んでもらいたいわけです。

 でもこういう時に、「これを、○○さんに持って行ってあげる」、「○○さんに届けてあげる」という言い方もあるわけです。でも「○○してあげる」という言い方になると、ちょっと上から目線のように聞こえて違和感があるんじゃないかと思います。

 というようなことから、例えば、催し物の時に通路で混み合っているお客様に、車椅子の方のために少し道を開けてもらいたい時などは「寄ってあげてください〜」と声をおかけするよりは、「道をお開け下さい」とおっしゃる方が良いのではないでしょうか。



 
このように、日頃の生活の中で違和感を持った事柄について、話をさせてもらうことで、より良いサービスにつなげてもらえればありがたいなと思っています。

 

 
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