第889回 「ローグへの小さな旅②~お食事編」

2月9日

前回に続いて「ホテル・ヴィラサントリーニ」新館のレストラン、「ローグ」のランチリポートです。メニューはコースのみなのですが、電話予約の際に食べられないものを訊いてくれるので、安心して伺えます。

こちらの井原シェフは高知出身で36歳とまだお若いのに、イタリアやフランスの二つ星レストランで修行なさり、イタリアンに和のテイストを組み合わせるのがお得意とか。期待感が高まります。

全面ガラス張りの素晴らしい景色を楽しみつつ、メニューに目をやると…

「ハガツオ 須崎  鰆 須崎 ・・・」

なんと、食材と産地しか書いていません。イタリアンによくある
「○○の■■■■ ~を添えて」みたいな長い料理名がないんです。
余白は新鮮でした。何が出てくるかわからず、ワクワクします。

飲み物は色々とあったのですが、私と中村はお酒が飲めないので
カクテルをノンアルコールでもできます、というのが嬉しかったです。
せっかくなので、こちらのオリジナルカクテルを頼みました。

グラデーションが美しい「仁淀ブルー」(1210円)。
グラスは泡が立つ飲み物専用の気泡が閉じ込められているこだわりのものだそうです。

グラスを傾けると、本当に澄みきった仁淀川を思わせる世界!
非日常の美しさです。サラサラした飲み心地で、お料理を引き立てます。

そして、コースの最初にサプライズが。
「メニューには出ておりませんが、始まりの一品です。」と運ばれてきたのが~

「何、これ!?」ビックリです。
落ち葉に見立てたのは、高知産のほうじ茶の葉。煙も出ています。

サラッと引き抜くと、枝の先には小さな可愛らしい焼き芋が1つ。

これ、中は安納芋、外側は紫芋で作られていて まるごと食べられるんです。
美味しくて、ワクワク。
こんな面白いコースのスタートなんて、シェフは天才的。(笑)

須崎のハガツオとフルーツトマトの一品。フルーツトマトは 県下でも限られた料理人にしか卸さない、なかなか手に入らないものだそうで、確かに甘さだけではない深みがあり、複雑で豊かな味わいでした。

黄身を使ったソースには、シェフが作った木鶏(もっけい)というカツオ節のような、鶏節(とりぶし)が使われています。高知のはちきん地鶏を田野屋塩二郎のにがりに漬け込んでいぶしたもので、ハガツオの後に追いかけるダシの旨みと香りが濃厚です。

次は、須崎の鰆(サワラ)。まるで春の絵画のような一皿です。
高知県産の野菜の上の黄色いカラスミがいい香り。

地牡蠣 須崎」。パスタも香りの魅惑的なこと!
私たち実は牡蠣はあんまり好きじゃないんですけど、プリプリ食感の歯ごたえに初めて牡蠣が美味しいと思い、堪能しました。

そしてメインの「土佐あかうし 土佐嶺北」。嬉しいボリューム♪
赤牛はモモ、ソースは黒皮大根で旨みと辛みが強く、少しピリッとしています。

赤身のヘルシーなお肉は味わいがしっかりしてるけど、柔らかい。
右下の塩は、田野屋塩二郎特製の「赤牛用の特別なもの」だそうです。確かにつけると肉の甘みをより一層引き立ててくれ、堪能させて頂きました。

最後は「リオレ 四万十町窪川」。
リオレはお米のミルク煮込みで、甘みの強い窪川の仁井田米「にこまる」を使っています。お米の研究家の方が「日本一おいしい」と太鼓判を押して下さったお米とか。

ジェラートは高知の蔵元、酔鯨の酒粕を使ったもの。酒粕は苦手だったんですが、
実に美味しい!これだけでも、また食べに来たいと思うほどでした。

カップも斬新。今月はバレンタインということで、最後のコーヒーには金箔ののった生チョコも添えられていました。

ローグのランチは5,500円、ディナーは14,300円(税込み)。
価格も非日常なんですが(笑)、この内容なら納得です。あまりに美味しくて、久しぶりにランチで感動しました。完全予約制ですが、これは予約が取りにくいのでは。

接遇も非常に良く、非日常で浮遊感を感じるほどの豊かさ。
食事だけで旅行した気分になった贅沢ランチでした。ご馳走さまでした。