第975回 「10月の愉しみ」

10月9日

10月になったのに 連日最高気温30度という、夏のような暑さ。
でも緊急事態宣言も解除され、日本中で新規感染者数も目に見えて減り、ちょっと心が軽くなっています。高知にも県外からの観光客が増えてきました。

さて、秋と言えば食欲の秋!(一択です・笑)
栗、新高梨、お芋、チャーテ、四方竹、他にも美味しいものが沢山♪
中でも、ツガニ汁!

10年ほど前、「遅咲きのヒマワリ」という 四万十市を舞台にしたドラマのフェスでふるまわれたツガニ雑炊を四万十市で初めて食したのですが、その美味しさは衝撃的でした。高知市では一般的でなかったので、食べたことがなかったんです。今はネット注文もできますが、結構高い。(笑)そこで、産地の一つ 四万十市西土佐に出かけました。

高知市からは車で2時間ちょっと。1時間ほど、四万十川沿いを走ります。

西土佐は以前、最高気温41度を記録し暑さ日本一になった頃、よく仕事で訪れていました。

道の駅「よって西土佐」に到着♪ 久しぶりです。

農産物満載の軽トラが、相変わらずキュートです。(笑)
今回は、まずお買い物の前に、美味しいお昼ご飯を!

今回初めて入る「西土佐食堂」。

セルフ方式の食堂ですが「ツガニ汁、ないかなあ」と探していたら、ネットでサプライズの一品を見つけたのです。

はいっ!「四万十牛ステーキ丼」です。
あの年間70頭しか出荷されない、幻と言われている黒毛の四万十牛をお昼から食べられるんですよ!?

そりゃあ本格的に食べるとしたら、西土佐の「四万十牛本舗 焼き肉よこやま」に行けばいいんですが、夜しか営業していない(涙)。兼業主婦の私には無理なので、ずーーっと憧れだったんです。

一口食べると…うわぁ、これはすごい!ふわっととろける甘みのある肉質。ここ、レストランじゃないよね!?(笑)こんな上質な味が2,950円、2千円台で食べられるなんて~。都会に持っていくと、倍の値段になると思います。道の駅、バンザイ!!

もっとお手軽に、なら四万十牛ハンバーグ定食(1,120円)を。
こちらも四万十牛のうまみとスパイスが素晴らしいハーモニーを奏でています。片道2時間でなければ、毎週来たい(笑)。

思わず脱線しちゃいましたが、今日の本題はこちら。

「四万十川 鮎市場」でツガニのスープ「がねスープ」を買う!

四万十川では、モクズガニのことを「がね」「ツガニ」といいます。海のカニより濃厚な味で、「がね」をまるごと石臼でついて布でこしたスープは、様々な地元料理のだしで使われてきました。極上の独特な風味の濃厚スープは全て手作りで、何も加えない四万十川産「がね」100%です。

殻付きで丸のままのツガニを料理するのは大変なので、冷凍がねスープをゲット。さすが産地で、一袋300gで 800円です。私は今までネットで送料込みで数千円で買ってました。解凍したら一度沸かし直して調味しないといけないそうで、大きな保冷剤でしっかりとガードして帰りました。

後日、倍に薄めて醤油とみりんで味付けし、リュウキュウとなすを具にしてツガニ汁に。口いっぱいに広がるカニの滋味。あ~、なんて贅沢!(笑)

戻りガツオと四方竹の炒め物と一緒に、秋の味を楽しんだのでした。
高知の豊かな食の恵みに感謝です♪

第965回 「金魚アートの世界~深堀隆介展」

7月31日

テレビではオリンピックの熱戦が続いていますが、暑い夏、目にも涼やかな世界を楽しもうと高知県立美術館に 深堀隆介展 “金魚鉢、地球鉢” を見に行きました。

深堀隆介さんは、手描きの金魚を立体アートに高められた現代美術家です。
以前にテレビで見て、ずっと本物を見たいと願っていた作品群。
全国5カ所の巡回展だそうですが、まさか高知で見られるなんて!
まるで夏休みのお祭りに出かける気分です。

ポスターに「本物?いいえ、手描きです」とありますが、
この金魚の表情、ヒレのなびき方、花びらの質感まで 本物を超えた永遠です。

制作工程は、透明の樹脂を器に流し込み、固まったらアクリル絵の具で金魚を断面的に描き、また樹脂を流して固めて絵を描き…と何度もくり返すことで、本物そっくりのリアルな金魚の世界が生まれるのだとか。

会場には2000年代初頭の作品「金魚酒」から、日常の器、タンス、和傘に泳ぐ金魚、最新の大作まで様々な金魚アートに出会え、魅了されました。

ここは会場で唯一、撮影が許されている場所です。

「金魚すくい」はテレビニュースで深堀さんが、制作に行き詰まり
アーティストを辞めようとした時「部屋にいた金魚に魅了され、救ってもらった」
とご自分にとっての深い意味合いを語っていらっしゃいました。

コロナ禍で夏祭りも中止ばかりですから、ここを見た子どもが素直に
「きれい!」と目を輝かせていたのは、見ていても嬉しかったです。

この金魚の躍動感。一瞬が切り取られています。

そしてこの表情。
まさに生きているとしか思えません…。

酔いしれて会場を出ると、開催されたばかりだったのでグッズが沢山ありました。
そりゃあ、欲しくなりますよねぇ。(笑)

左上から、ブックカバー、クリアファイル、チケットケース。
手前の2枚は、マルチクロスです。

500円のガシャポンで当たったキーホルダー。
これもちゃんと立体的に見えるところが、さすがです。(笑)

このチケットケース、ぜひクリックして御覧下さい。芸術品です。
もったいなくって使えません。(笑)

実は小さな子どもの上履きに金魚が泳いでいる作品があり、不思議に思っていました。
後日 深堀さんのホームページを見てみると「水底の花」というコラムがあり、
(震災を思わせる)水がすべて奪い去ったこと、
「でもあなた達のことは決して忘れない」というメッセージだったと知りました。

深い精神世界にもつながっているからこその、綺麗なだけではない世界観なのだと知りました。ぜひ、多くの方々に御覧頂ければと思っています。

第961回 「安田町の名建築③~旧柏原邸・後編」

7月3日

知られざる安田町の名建築をご紹介してきたシリーズ、
最終回は旧柏原邸のメインの和室です。

見取り図の②,③,④,⑤あたりをご紹介していきましょう。

南の和室④から見た和室②③④⑤です。L字型になっています。

和室②には、南に上品な障子があります。
押し入れや物入れがあり、昭和22年頃には子ども部屋として使われていたそうです。

和室③は和室②と和室④の間の6畳間の居室です。
押し入れの上には、今ではめったに見かけなくなった神棚があります。

ガラス扉の向こうに七社(7枚扉の神棚)が並んでおり、中にたくさん
お札が納められています。最近では神棚を知らない人も増えているため、
「これは何ですか?」と聞かれることも多いそうです。

西の和室④との境の上部には、技巧を凝らしたケヤキの欄間が見事です。
和室④と共に、内縁と濡れ縁が設けられています。

そして一番格式が高い、和室④。北側の和室⑤と続き間座敷になっています。
客間として作られた、格調高い書院造りです。
(書院とは書斎で、書院を建物の中心にした武家住宅の形式が書院造りです。)

左端の書院、床の間、床脇(床の間の隣の部分)に違い棚、
天袋(違い棚の上の戸棚)のある座敷飾り。
なんだか社会の教科書に出てきそうな造りですね。

しかもご覧のように、床板と床の間の垂れ壁が二段構えとなっています。
また床の間と床脇の間や書院の上にも、欄間がはめ込まれています。

松竹梅、鳳凰、水鳥や鯉など,欄間だけでも数多く、見応えがありますよ。

和室⑤の床脇の天袋には、絵師の落款(らっかん)と「昭和」
「癸酉(みずのととり)」「壱月(いちがつ)」の墨書きがあります。
干支を調べると昭和8年が「癸酉」だったため、絵は昭和8年1月に完成したものとわかり、そこから柏原邸が建てられたのが昭和7年とわかったようです。

内縁と濡れ縁は、広いガラス戸で仕切られています。
大正ガラス越しに眺める庭の景色も味わい深いものです。

高知の強い日差しや雨風から、深い軒先が家を守っています。

おまけです。中央から上に伸びる柱の根本から出ている釘(クギ)、
何だかわかりますか?

実は昔、これに蚊帳(かや)をつっていたんですね。
蚊帳とは、夏場 蚊や小さい虫が入ってこれないように張る網のような布のことです。
修復の時に何かわからず、ほとんど抜かれてしまったとかで、ご案内くださった女性が残念がっていらっしゃいました。時代が変わるとはそういうことなのだなと感じました。

私は和風建築はわからないのですが、見るだけで良い勉強になりました。
1時間以上も丁寧にご案内下さった優しい職員さんには、ただ感謝です。
コロナ禍の今、ゆったりと名建築を味わえたぜいたくな時間でした。