第1083回 「エンピツに導かれて」

11月26日

昨日のことです。連休で人出が多い場所を避け、30年ほど前に数年住んでいた、幡多郡大月町の国道321号線を車で走っていました。
すると偶然、面白いものが目に飛び込んで来ました。

えっ、家の敷地内に大きなエンピツ!なぜ??
疑問に思いながら走っていると、またもや。

今度は道路沿いの神社の前。2メートル足らずの大きなエンピツです。「なんで?」と疑問は膨らむばかり。さらに走ると…

国道から見える旧・姫ノ井小学校にも、エンピツが立っています。緑の色鉛筆を含めて、3本。とてもエンピツが似合う場所です。

確か平成21年に大月町の11校の小学校は、大月小学校の1校に統合されたはず…。一体このエンピツは何なんだろう、と考えていると、またもや見つけました。

スルメのひいとい(一日)干しを求めてやって来た、大月町小才角(こさいつの)。残念ながら商店はもう閉店したようでしたが、すぐ横にまたもや、あの赤いエンピツが。しかも今度は矢印と「COSA」と書かれています。何かの工房があるのかな?この疑問を解くには、行くしかない!

狭い路地を抜け、赤いエンピツの導くまま川沿いを走り、狭い橋を渡ると…

なんと、旧・小才角小学校にあのエンピツが立っていました!車を駐めてお邪魔することに。

広い元小学校の校庭の片隅には、あのエンピツがたくさん立っていました。

どうやらこれはアート作品のようで「マララの鉛筆 野口ちとせ」と書いてあります。マララって、あのマララ・ユスフザイさん?人権活動家の?パキスタンで女子教育を目の敵にするイスラム過激派に銃撃されたことで女子教育の支援活動を始め、17歳でノーベル平和賞を受賞した女性だよね…と考えていると、こちらのスタッフの方にお目にかかれ、お話を伺うことができました。

野口ちとせさんは県外のアーティストで、「マララの鉛筆」は、すべての人が平等に学習の機会を得られるようにという思いを込めた作品なのだとか。ワークショップで地元の子どもたちも参加して色を塗ったりして作られ、2022年、大月町内のあちこちに立てられたようです。(この鉛筆は教育と自由を表し、軸の赤は人間の生命を表現しているそうです)

この旧小才角小学校は大月町文化交流教育施設COSAに今年の3月、生まれ変わりました。滞在型複合施設で、海外からもアーティストが来て、地域の自然と文化に親しみ、アートをテーマにした様々なことに取り組んでいるそうです。COSAは「小才角」と「色々なものが交差する場所」ということが由来だとか。

こちらは地域の方もいらっしゃって交流できる、談話室。小才角小学校は建築後わずか2年で廃校になったため、木造の建物はとても美しく、温かみがあります。

ご案内下さった、コーディネーターの中地(なかち)シュウさん(右)と、地域おこし協力隊の中澤ふくみさん。中地さんは今日行われる「しぜんとアートの教室」で、「ひろった石でつくる自然硯(すずり)」のご準備をなさっていました。

そう言えば大月町に隣接する三原村は良質なすずり石があり、「土佐硯」ととして有名ですものね。

中澤さんもアニメーション制作をなさっていて、その制作過程や作品も見られます。

2階には宿泊用の部屋があり、生徒さんや地元の方々、アーティストが集まって交流できる「四国のはじっこ」。突然の訪問にも、「また、遊びに来て下さいね」と笑顔で送って頂けた とても素敵な場所でした。