第987回 「2022年の目標」

1月8日

新年おめでとうございます。今年もコロナ禍で迎える新年となりましたが、皆さまにはいかがお過ごしでしょうか。

さて、今年 人・みらい研究所として、ある目標を立てました。ここ数年来活動してきた高知追手前高校についての本を、出版することです。私自身、まさかこんな展開になるとは思ってもいませんでしたが、追手前LOVEが思いがけずどんどん募ってきて、気づいたらこんなことに。(笑)

コラムにも時々書いて参りましたが、昭和6年に建てられた追手前高校の校舎は90年たった今も、現役として大活躍しています。時計台は有名ですが、元貴賓室、奉安殿、地下池など 卒業生にも知られていない伝説の宝庫です。その伝説の解明と、歴史的価値ある校舎建築を 未来へとつなぐ出版にし、広く知って頂こうというものです。

校友会事務局のご協力も頂き 写真は一通り撮りましたが、まだまだやることは多く、まとめに入ろうとした12月に姑が緊急入院になってしまいました。多分、これから大きく計画に遅れは出ると思いますが、無理をせずに少しずつ進めていこうと思っております。

出版に関しては素人ですし、写真を多く載せたいため費用がかかるだろうと覚悟していましたが、調べてみると やはり予想通り。(笑)全国的に売れる本ではないですし、高価な写真集にもしたくない。なるほど、今の時代、本を出すというのはなかなか大変な仕事なのだなぁと再確認した次第です。(笑)

思い出すのは この活動のきっかけになった、追手前高校の校舎を建築した間組の当時の社長、小谷清氏(明治25年卒業生)です。建築予算が大きく不足し、時計台不要論や移転案まで噴出した中を 「名誉な仕事だから」と、大きな赤字を補填した、その気概。胸を打たれ、「自分は追手前高校のために、何ができるのだろうか?」と自問自答し、出た答えがこの活動でした。たまたまスタッフの中村も追手前高校の卒業生で、人・みらい研究所はチーム追手前でもあるのです。(笑)

お正月に会った高校の同級生も「できることがあったら声をかけてね」と嬉しい言葉をかけてくれました。せっかくなので、追手前高校をよくご存じない方にも興味を持って頂けるような内容のものが作れたらと思っています。

さあ、はたしてどうなるのでしょうか?初夢だけで終わらないよう、頑張ってみます!(笑)

第953回 「追手前高校 伝説の地下池②」

5月6日

いよいよ 追手前高校、伝説の地下世界へ!

ゆっくりと、脚立を下りていくと…

地下世界に着きました!
「大丈夫ですか?」「大丈夫です!」
まるでお風呂場のように、広い空間に声が響きます。

(写真はクリックすると大きくなります)

目の前に、日常とはまったく違う世界が広がっています。
文献にも残っていない、初の地下池の写真公開です!
柱などの構造物がすごい。天井までの高さは、2m弱でしょうか…。
こうやって建物を支えているのがよくわかります。
ライトの光が届かない部分は、漆黒の闇。
シンとした静寂が広がっています。

長方形に区切られたコンクリートの区画は足下に水が溜まり、浅いプールのようです。
レーザー距離計で計ると、およそタテ7m×ヨコ4mほど。
どうやら地下構造は、沢山の長方形の区画で構成されているようです。

水は動いていないせいか透明で、底に沈んだものが見えます。
左手にあるのは、以前穴のフタとして使われていた木です。
建築時からとすれば、90年もの。
元職員のSさんが20年以上前に乗ったら、腐っていて地下に落ちたのだそうです。
もはや、遺構と言えるでしょう。(笑)

闇の中を、ゆっくりと前進します。

水は透明に見えますが下に泥が溜まっていて、
歩くともくもくと雲のように湧き上がります。
元々は地下水が上がってきているきれいな水だったと思うのですが、
台風などで浸水したとき流れ込んだ濁水に混じった汚泥が積もったと推測されます。

5mほど歩いて、後ろをふり返ったところです。
脚立のある付近は水深が浅いのですが、深い部分は膝とかかとの中心くらいまであり、私以外の方は長靴じゃなかったので 脚立から進めませんでした。

真正面には、先が闇に溶けたトンネルが見えます。
ここは校舎の一番端なので、この真上には長い廊下が続いているのです。
100mほどあるので、このトンネルもそれくらい続いているのでしょう。

この区画は水深が深いところで22cmほどでしたが、Sさんによると中央へ近づくと水深が深くなるとか。納得です。ここは水の流入孔がありませんが、中央にはあるので、雨水も溜まるのでしょう。壁や柱には、白い浸水の跡が1m以上の高い所まで線として残っていました。

この柱をご覧下さい。
まるで大木のように根を広げ枝を伸ばして支えているようで、かなり頑丈に見えます。建てられた昭和6年、90年前には最先端の技術だったことでしょう。そのため、昭和の南海地震にも持ちこたえられたのだと思います。

追手前高校は軟弱地盤の上に立っているため、その下の固い岩盤層まで25mほどの
鉄筋コンクリートの柱を通して、安定させているとか。
残念ながら、地下水に浮かんでいて安定しているわけではありません。(笑)

O先生が懐中電灯を向けてくださると、トンネルの先がおぼろげに浮かんできました。長い長いトンネルです。まるで宇宙船の中を思わせるような構図に 魅了されました。

今回、漆黒の闇に備えて、ライトを4種類準備していましたが、残念ながらランタン2つは光が弱くて役に立たず。平面状の充電式ライトは、辺りを照らすのに役立ちましたが、トンネルの奥などは懐中電灯など指向性のライトでないと、光が届かないとよくわかりました。準備不足です。

実はこの日に備えてカメラのフラッシュを買ったのに、いざ使おうとしたらなぜか光らず、大いに焦りました。でも逆に、それで地下の雰囲気をより伝えられたようにも思います。(笑)

脚立の右手の壁は、隙間が狭くなっていました。
ふと見ると、なんと虫が!数匹、驚いたようにサーッと逃げます。

ふと、高校生の時の記憶が蘇ります。
「小松先生、闇の中でも生き物はいました!
残念ながらゴキブリでしたが。」
こんなところでエサがあるんでしょうか、不思議です。
さすがは2億年を生き残っているサバイバーです。(笑)

コンクリートの梁を計測すると、幅は40cm、高さが20cmでした。
よく見ると中の鉄骨のサビが見える箇所が。

レーザー距離計で区画の幅や長さを計測できたのは良かったのですが、興奮して温度計、水温計などを地下に持ち込むのをすっかり忘れていました。
4月末で1階の廊下の気温が19度だったとき、地下入り口の気温は17度。
地下はおそらく16度くらいだったのではと思います。

天井に水滴がびっしりと付き 水がしたたり落ちていましたが、密閉空間だからでしょう。
ムッとした感じはなかったので、多分湿度は70~80%くらいだったのでは。

結局 地下には、30分ほどいました。
私が歩いたことで、最初の写真と比べると水が濁ってしまいましたが、また時間をおくと透明に戻ることでしょう。

水位は季節や降水量によって変わるでしょうが、壁を乗り越えつつ腰くらいまでありそうな水の中を歩いて校舎中央部まで行くのは、かなり困難と思われます。水位が1mとかになったら境の壁が水没するので、ゴムボートを使うと行けるかもしれません。そうなると区切られた「池」が一つとなって、伝説の「地下湖」となるのでしょう。

それにしても長年の追手前の謎が解明でき、貴重な心弾む経験でした。
O先生、Sさん、そしてお読みくださった皆様、本当にありがとうございました。

第952回 「追手前高校 伝説の地下池①」

4月30日

人は謎があれば、その解明に挑戦したい生き物なのかもしれません。
私がはるか昔 高校生だった頃、生徒指導の小松先生が
「この追手前高校には、地下に池があるらしい。僕は時計台より、断然そっちを見てみたい。ずっと光を拒んできた場所には、どんな生物がいるんだろう?」と目を輝かせて語っていたのを、昨日のことのように思い出します。

昭和6年(1931)90年前に建てられた、追手前高校の地下の伝説-。
「追手前高校は、地下湖の上に建てられている」
「地下にプールがあって、それで免震構造になっている」
「いや地下はお盆のように水が溜まっていて、校舎は船のように浮いている」…。
いくつもの伝説を聞き、長年 その謎の真実を知りたいと思い続けてきました。

校友会の先生方とお話しし校舎の写真を撮る内、貴重なこの記録を残さなければという思いが強くなりました。その一環として 地下の謎の解明を提案すると、ありがたいことにご協力頂けることに。

伝説だった「地下池に落ちた職員のSさん」が面識はないけど同級生だったとわかり、連絡を取ってみました。とても気さくな方でお話を伺う内に「案内しましょうか?」「ぜひ!」となり、校友会のO先生とご一緒に、思いがけず地下池の探検に出ることになりました。本当ならお声がけしたい方が何人もいたのですが、今はコロナで最小限の人数で行わなければいけない時。もったいないですが 今回は3人で探索を行うことになりました。

前夜、長靴やランタン、メジャーなどを準備していると、気分はもう探検に出かける少年のようにワクワク!年甲斐もなく、なんて幸せなことでしょうか(笑)。

探検当日。水温計を買ってなかったことに気づき、あわてて買って行きました。
午前9時過ぎに3人が合流し、地下入り口のある場所に直行。
2mほどの脚立を持って来て頂き、山のような重い荷物を移動させます。

お話を伺うとSさんは20年以上前、穴を塞いでいた板が腐って地下に落ちたのだとか。その後 今の鉄板で穴を塞いだ時ともう1回、計3回 地下池に行ったそうです。
「もう僕の後には、誰も入ってないと思う。」ということで、
今では地下池のことを一番よく知る、頼れる案内人なのです。

荷物の移動後、入り口を確認します。

大きな鉄板はいくつかに分割されていますが ものすごく重たいもので、扱った経験のあるSさんだからこそ、なんとか開けられました。本当に感謝です。

「ガシーーン!」と重低音が響き、真ん中の鉄板を持ち上げると…

穴がぽかっとあいて、顔をのぞかせました。
伝説の、歴史的瞬間です!

のぞき込んでみると…

伝説の通り、水が溜まっているのが見えました!
下までは、2mほどでしょうか…。
思ったほど深いわけではなさそうで、少しホッとします。

その後、隣の鉄板も持ち上げます。穴が大きくなりました。
そこに脚立を立て、無事に設置できました。

膝までの長靴に履き替えます。カメラ、携帯、照明、レーザー距離計、レコーダーなどをすべて持てるよう、丈夫な胸当て付きエプロンの大きなポケットにしまいます。

さあ、ゆっくりと 闇の世界へ下りて行きましょう!

地下には一体どんな空間が広がっているのでしょうか…?
次回に続きます。