第956回 「自己肯定感を上げる」

5月30日

想定していたものの、新型コロナの第4波が周回遅れで、やはり高知県にも…。
感染者も今までの最多人数 38人が出て、急激な方向転換を求められている最中です。

私の周囲でも、「発熱者が出た」「感染者が出た」「来月の研修(講義)は延期可能か?」」「オンラインに変更できないか」など感染拡大に伴い、バタバタしています。

私の研修は医療コミュニケーションなどコミュニケーション関連が多いのですが、
ペアワークが多いため、内容変更の影響も受けています。
たとえば 障害の疑似体験が感染予防のため、一部できなくなりました。じゃあ代わりに何をするのか?を検討しているときに中村が、
「そう言えば近年気になっていた、若い世代の自己肯定感の低さを上げられるような研修メニューを入れられないでしょうか?」と提案。それは良いかも!

レポートを読んでいくと大学・専門学校や新入社員研修でも若い世代の皆さんは、優しさがとてもよく伝わってきます。しかし「すぐに自己否定してしまう」など、自己肯定感が低い表現を見かけると「もったいないな、素敵な人なのに」「もう少し自分を信じて肯定感を上げられたら…」と思っていたのです。

ふと思い出したのが、数年前にポジティブ心理学のマーティン・セリグマン博士から教わったことです。イライラ・不安などのネガティブ感情は強いものだが、喜び・安らぎなどのポジティブ感情により中和できる、と。そこで代表的なポジティブ感情として、「感謝」を取り上げてワークに取り組んでもらうことにしました。
「あなたが感謝したいものは何ですか?」

果たしてその日のレポートには、こちらの胸を打つような率直で前向きな思いがあふれていました。たとえば、
毎日健康に過ごせる/学校に通える環境/家族がいる/友人が支えてくれる/
毎日おいしいごはんが食べられる

つい見逃しがちですが、地に足が付いている感想に頬がゆるみます(笑)

生まれてきたこと/毎日学校に来て、将来の夢に近づいている/
とても疲れたこと=一生懸命になれることがあること
なんていいフレーズなんでしょう♪言葉がどんどん心に染み込んでいきます。

ふとんがフカフカ日本が平和/命が大切に思える/友達に不幸がない
うわ!この感性、なんて素敵なんでしょう!
最後は、感動しながら読んでいました。

「本当にきりがないくらい毎日の当たり前に感謝しようと思えた日でした。」
若いうちにこれに気づけたら、これからの人生、とても明るくなることでしょう。

見ていると勉強が苦手な人、シャイな人、居眠りしちゃう人など色々いるのですが、
友達思いだったり、すぐ動いてくれたり、気持ちの良いあいさつを投げかけてくれたり。本当にそれぞれの良さがあり、「みんな違ってみんないい」、金子みすゞの詩そのものだなとしみじみ感じたことでした。
皆さん、いつもありがとうございます。
そんな素敵な皆さんが、大好きです!!

第955回 「AEDについて」

5月22日

最近、私はアメリカの医療ドラマに熱中しています。
「シカゴ・メッド」から始まり、「レジデント」「ニュー・アムステルダム」など、医療現場と悩む医療スタッフ、人間模様を描いているのが実に面白くて。日本のドラマなら撮れないような臓器にメスを入れるリアルな手術シーンなど、現場見学をしている錯覚を覚えるほど。それだけに、命の重みも感じます。

そして救急医療現場で決まって登場する、AED(自動体外式除細動器)。
心臓がけいれんし全身に血液を送ることができない状態(心室細動)になったとき、パッドを胸に貼り付け 電気ショックを与えて心臓を正常なリズムに戻す医療機器です。2004年より一般市民でも使用できるようになり、町中でも見かけるようになりましたね。

でもAEDの仕組みは?どう使うの?というと、ほとんどの方はわからないのではないでしょうか。私も、まさにそうでした。

そもそも一般的に AEDはこういうキャリングケースに入っています。

オレンジ色のフタを開けます。

中はこうなっていて、電極パッド、液晶画面などが内蔵されています。
そして2枚の電極パッドを描かれているイラストの通りに胸に貼り、

中央の丸いボタンを押すと、電気ショックが流れます。

この時アメリカのドラマでは、必ず周囲の人に「クリア!」と叫ぶのですが、
日本語で言うと「離れて!」ってことのようです。倒れている人に触っていると、
その人まで強い電気ショックを受けて危険だからでしょう。

何も知らない一般市民でも使いやすいように、
AEDの青い中フタを開けると自動的に電源がONになるのですが、
聞こえてくる音声ガイドによって、電極パッドを貼るところから電気ショックや人工呼吸までの救命処置を行うことができるとか。

確かに音声ガイドがあれば、あわてているときでも
その指示に従えばいいわけで、それを知っているだけでも安心ですね。

そして、実はですねえ、これ…

なんと 驚いたことに

 

カプセルトイなんです!
そのリアルさには、とにかくビックリしました。300円ですよ、コレ。(笑)
先日 偶然、道の駅で見つけたものです。

リアルなはずで、AEDの唯一の国産メーカー、日本光電のオフィシャルライセンス商品なんですって!ボタンやスイッチは、実際に押したりすることができる仕組みです。

「商品使用方法
・手前に引きます
・フタを開けられます
・電極パッドを伸ばします
・ショックボタンを押します」

「実際のAEDの使い方も同様です!」と、本物のAEDサイトへのリンクも書いてありました。完璧です。(笑)

本物そっくりに仕上げるため、小さな小さなシールを貼っていきますが、とうてい太い指では貼れず、ボールペンの先を使いました。(笑)

あまりに小さすぎて書いている字も読めなかったんですが、その中に「成人・小児モード切換スイッチ」があり、「なるほど、大人と子どもでは流す電気量を変えるんだ」と納得でした。

電気ショックは時間との勝負で、その成功率は1分ごとに約7~10%低下するとか。
日本では、救急車の到着まで平均約8.7分で、8分時の成功率は20%
だから救急車が来る前に私たち一般市民がAEDを使用して、心室細動を起こした人に電気ショックをできるだけ早く行うことが重要なんですね。

このAEDガチャはバンダイの商品で、全部で4種類あるそうです。
こんな風に300円でいざという時の対応を本物そっくりのガチャで学べるなんて、いい時代ですね。

おまけ。ネットで「AEDガチャ」を検索して驚いたこと。
なんと私が買ったのと同じ物が、1600円で売られているのです!!
まぁ確かに感心したけど、5倍以上の高値って…(汗)
しかも4種類そろっているものは、6800円(!)の高値のものも。

このキャリングケースは本物と同じように自立するのですが、
裏には「@2020日本光電」とあります。

その下に、小さな丸いへこみが3つあるのですが、こういうものに詳しい悪友によると初版はコレが4つあり、3つということは再版なんだということでした。
それだけ、人気商品なんですね。
うーん、また一つ賢くなりました。(笑)

第954回 「思い入れのある字」

5月14日        中村 覚

大御所の作家さんがご自身のエッセイの中で、実は読めても書けない漢字があり、こういうことを人に話すとたいてい驚かれる、といった内容をお書きになっていました。私も読んで意外でした。書けない字があるのは当然と言えば当然ですが、お仕事柄 字には困ることがないほどに精通?されているのだろうと勝手なイメージがあったからです。

でも驚くと同時に、こんなことを書くこの方のおおらかな自己開示の心に触れたようで、自分の気持ちが穏やかになるのを感じました。友人同士でもそうですが、勢いの良い上昇気流の話ばかりするよりも、ゆったりと腰を下ろして、いや実はねと小声で話すような話題にこそシンパシーを感じるものです。

読めない、読めなかった、知っていても書けなかった漢字なら私などいくらでもあるわけですが(笑)、その中でも思い入れの強い字があります。

中学生の頃、社会科の先生がある時「今後のテストでは、漢字で習った事柄、人物等については全て漢字で書くように」と、それはそれは厳しいお触れを出しました。(笑)もちろん、たいていの場合、言われなくても漢字で書くわけですが、もしもの時のひらがな表記”を今後は一切認めないと言うのです。

“ひらがな表記”という命綱なしで頑張れと…。(笑)

そしてテストの日。
ある設問があり答えは「豊臣秀吉」。サービス問題みたいなものです。
ところがこれまでとは違い命綱がない状況なので、余計な緊張が走ります。瞬間、書けるはずの字が書けなくなり、なんだっけ?なんだっけ?苦し紛れに書いたのは「豊富秀吉」。「豊臣」の「とみ」の字が脳から消えていました。後日、手元に返ってきた答案用紙はちゃんと“不正解”でした。このことが「豊臣秀吉」の字を見る度に今も思い出されます。

先日、読んでいた本の中に「疾病」という字が出てきました。私の中でこの字以上に思い入れのある字はないと断言できます。高校の保健体育の時間のこと。座学ですから、教壇から先生が教科書の内容を読み上げている時、突然、何の前触れもなく「中村、これは何と読む?」と聞かれたのが「疾病」でした。

「なんで自分が?」と内心思ったのですが、そんなことよりも とにかく答えなければなりません。普通?に読めば「しつびょう…」でもそうは読まないからこそ、わざわざ指名までして聞いているんだな、とそこまではわかりました。が、肝心の読み方がわかりません。

実は今だからわかるのですが、この時、先生は見せ場を作ってくれたのです。というのも私は日頃体育の時間はだいたい見学していたので「こういう時に、ちょっと難しい漢字もパッと答えて、日頃とは違うところを周り(同級生)に見せてやれ。」と大人の気配りをしてくれたのではないかと。

ところが読めない、傷口に塩でしかない。(笑)

仕方ありません。変に間違った読み方を言うより、堂々としている方が傷も浅いに違いない…多分。ちょっと間をおいて堂々と

「わかりません。」
「余裕で言うな!」

バッサリやられましたが、教室には笑いがおこり、答えられなかった恥ずかしさも薄らぐというもの。先生のこの一言で助かった。(笑)

今思うと、この時すんなり「しっぺい」と答えていたら、こんな良い思い出として残っていなかったと思います。

これもまた良し、かな。