第910回 「マスクとコミュニケーション文化」

7月4日

新型コロナウイルスの流行で、世界中の人がマスクをするようになりました。マスクを巡る騒動、アベノマスクなどは記憶に新しいですが、マスクについて興味深い記事が6月20日の朝日新聞に載っていました。

東京女子大の田中章浩教授曰く、「日本人は目元で、欧米人は口元で感情を読み取る傾向がある」そうです。顔の中で一番感情が表れるのが口元で、一番感情を偽りにくいのが目元なんだとか。

「感情を表に出す文化の欧米人にとっては、気持ちを読み取るのに口元がわかりやすい。一方、感情をあまり表に出さない文化の日本人にとっては、意思で動かしにくい目元を見る方が、相手の真意を読み取りやすい」のだとか。なるほど、顔のパーツの着目点が違うんですね!

そこで思い出したのが、「顔文字」です。顔文字の出始めの頃に、私は大学院の論文で日米の絵文字に着目したことがあります。

○欧米の絵文字

🙂 Happy (ハッピー) 🙁 Sad (悲) :-O(驚)

意外にも 口の形が違うだけで、目の形は同じですよね。(すみません、同じような横向きの顔文字なんですが、左2つは黄色い顔に自動変換されています。)かたや、

○日本の絵文字

(^_^) (T_T) (>_<)

たまたま、当時よく使われていたこの3つを並べて、驚きました。
目の形が違うだけで、口の形が同じですね!
つまり、絵文字の表現が文化によって、正反対なわけです。

「マスクで口元が隠れているから、表情がわかりにくい」。
これは本当に、その通りです。しかし、この絵文字の比較からもマスクで口元を隠していても、日本人は目から表情を読み取るのが得意であろうことがわかります。
だからマスクをしていても、コミュニケーションが成立しやすく、マスク文化が浸透できる土壌があるのかもしれません。

かたや、アメリカでは断固としてマスクをしないトランプ大統領を筆頭に、「顔を隠すのは犯罪を連想させる」などと、マスクへの拒否反応は根強いものがあるようです。にもかかわらず「コロナが広がり、アメリカなのに街中を歩いている人のほとんどがマスクを付けている光景を目にした時は衝撃だった。」という在米ジャーナリストの声もあります。

マスクからコミュニケーションにおける日米の文化の相違まで見えてきたのは意外でした。