第1016回 「ザマナ・ヴィレッジとアズリッシモ」

7月30日

前回書きましたが、土佐清水市の清水高校で仕事をすることが決まったとき
「じゃあせっかく泊まるなら、新しくなったザマナ・ヴィレッジ(旧・足摺パシフィックホテル)に行こう!」と決めました。今年3月に経営者が変わり、アジア屈指の滞在型リゾートビレッジを目指してリノベーションし、イタリアンレストランもできたと報道で見ていたからです。これはコラムにも書けるはず!(笑)

ホテルに入ると1階ロビーからは、オーシャンビューが望めます。
大好きな足摺の海の色に、心躍ります。

お部屋はシングルがないので、ツインの洋室。前室も付いてます。
広くて、ものすごく贅沢な空間。ここも太平洋がそのまま見えます。
カーテンを開けたまま朝目覚めると、海が見える幸せ♪

ホテルはこんな風に、南側の傾斜地に建っています。
イタリアンレストランは別館のため、長い廊下と階段を降りなくてはいけません。
バリアがあるため 頼めば、別館入り口まで車を出してもらえます。

ただ、ここから2階までは どうしても階段を上がる必要があります。
これは車椅子の長女を連れてくるのは無理だなぁ、と思いつつ…

期待いっぱい Azzurrissimo(アズリッシモ)へ。

店内はこんな感じです。
そして、ここの売りと言えばなんと言っても…

この海に張り出したデッキです!(クリックしてご覧下さい♪)
この景色を体感したくて、このホテルを選びました。

まるで、船の上にいるかのように、空と海の青に包まれます。
この写真、色彩加工はしていませんよ。まさに自然の青なんです。
これ、私の2022年最高の景色に早くも決定です!

ランチは前菜とメインとデザート、ドリンクで税込み2800円です。

前菜が来ました。夏らしい景色が食欲をそそります。

白オクラなど地野菜のサラダとハムが4種類。(パルマ産生ハム、サラミなど)
野菜の甘みと夏らしい色彩に、心躍ります♪

本日のカルパッチョ。うわぁ、きれい!!ワクワクします。器も夏らしい。

カンパチ、イサキのあぶり、太刀魚のマリネ。どれも絶妙な塩加減。
塩は黒潮町の手作りの天日塩「土佐の塩丸」だそうで、青レモンをしぼって頂くのですが 、魚の味が前に立ってくるようなナチュラルな美味しさでした。

プラス400円で、パスタが付きます。
スパゲッティポマローラ、シンプルなトマトのパスタです。

メインは肉か魚で選べます。
これは、四万十ポークの白ワイン煮込み。優しい味です。

鮮魚(アマダイ)のアクアパッツァは、お店のおすすめ。
野菜とオリーブを一緒に煮込んでいて、出汁が効いています。
近くに漁港もあり、新鮮な魚は当然のように美味しい!大満足です。

スタッフの皆さんもとてもホスピタリティが感じられ、気さくに話しかけてくれ
「ここからの眺めが映えますよ!」とか声をかけてくれて実に居心地が良かったです。

こちらのレストランは、昼の青が印象的ですが、夜がまたいいんですよ!
料理はコース(要予約、1万2千円)とアラカルトで選べます。

ディナー時のメインは…この景色です!

刻々と変わる海と空の色に見とれて言葉をなくし、
ただひたすらにシャッターを押すだけでした。なかなかテーブルに戻れません。

ぜひ皆さんにも、この景色をご覧になって頂ければと思います。

私は「来年も仕事を頑張って、またここへ来よう!」と決意したのでした。

第1015回 「心豊かな夏の土佐清水にて」

7月24日

今年の夏、楽しみにしていた仕事がありました。初めて土佐清水市で、清水高校の就職講座をご依頼いただいたのです。先生から「清水は遠いし十分な費用もないのですが、講座をやって頂けないでしょうか?」というご依頼を頂いたのが、5月の初めでした。

確かに、高知市から土佐清水市までは車で3時間ほどかかります。
でも以前もコラムで書いた通り、足摺は私にとって子供の頃からの心の故郷。夏の土佐清水と聞くだけで心躍り、喜んでお受けしました。

初めての清水高校。市街地からは車で5分、すぐ横に小さな山と川があり、自然豊かな環境です。全校生徒が百人ちょっとの学校のようで、今回の受講生は全部で8人。少人数だけにのびのびとした生徒たちがとても印象的でした。私は高校生の就職講座を20年以上やっており、東は室戸高校から西は宿毛高校まで伺ったことがありますが、今回「こんなの初めて」と感じることがいくつかありました。

講座の内容は 学校と社会の意識の違い、会社研究、自己分析、言葉遣い、立ち居振る舞い、そして自己PR実践。決して面白い内容ではないのですが、男子は休憩時間に資料を読んで、友達同士で敬語の言い換えなどをワイワイと予習していました。
「すみません、の言い換えってどう言う?」
「お父さん、お母さんは?」{父上、母上!」
いや、違います。(笑)

また午後の休み時間には男子3人が 面接時の椅子への座り方の資料を読んで、
「まず左足から…、ん?」「わからん」
とかやってるので、「こうするのよ」と思わず教えると
「あー、そうか!」とみんなでそろって
「左、右、左」とまるでダンスステップを踏むように練習。
それが見事にシンクロしてるのに、思わず笑ってしまいました。

そこへ女子も加わって「はい、そこを右!」とわざと違うことを言って
シンクロしてた3人がぶつかって、見ていた女子は大笑い。
私も笑ったのですが、そのときの気分は講師というよりも仲間の一人になったようで、楽しくて不思議な一体感がありました。

のびのびとみんなで楽しみながら、新しい学びにチャレンジする。その姿勢が、本当に素敵だなあと心に響きました。だって楽しみながら学ぶのが、一番伸びしろが大きいですから。

講座が終わった後先生が、「みんな、とても素直なんです。でもちょっとふざけている生徒も何人かいて、失礼がなかったでしょうか」と心配なさっていました。
「とんでもない!今の時代、心が不安定になることが多い中、こんなに心を健康に保てているというのは素晴らしいことです。物事を生き生きと楽しむのが自己肯定感のベースになり、生きる力につながりますから」と答えました。先生は嬉しそうに「そんなに褒めて頂くのは初めてです」と笑顔でした。

最後のレポートをにも、生徒たちの素直さが表れていました。
・自分で気づいていない部分をチェックシートで確認できたのがとても良かった。
・今後の人生において大切だと思うので、積極性を持って取り組みたいと思う。
・今日は楽しい一日をありがとうございました。
・皆、集中して話を聞いて頑張っていたと思います。イスの座り方の練習の際、みんな楽しそうにしていて良かったなと思いました。
・今日の講座は試験だけでなく、今や将来に大きく関わってくる大切なことをたくさん学ぶことができた。

そして、多くの生徒が「お忙しい中、講座を開いて下さり本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べていました。他者への配慮ができるというのは、心が満たされているからなのだろうなと感じたことでした。町中でも、おじいさんと少年が立ち話をしていたり、松葉杖の中村に「荷物持ちましょうか」と何人もの方が声がけして下さったりしたそうです。この地域の持つ、人への温かさやつながりが子供たちを心豊かに育てているのだろうと感じました。

高知県の教育の基本理念に「学ぶ意欲にあふれ、心豊かでたくましく夢に向かって羽ばたく子どもたち」というのがありますが、まさにそうだと実感できた、心に残る講座でした。

第1014回 「大好きな夏の原風景」

7月15日

先日、高知県内を移動中に素敵な風景に出くわし、思わず車を止めました。

夏らしく、まぶしいほどの川の光のきらめきの中…

地元の子供たちがみんなで、歓声を上げながら川遊びをしていたのです。
小学生から中学生くらいの15人ほどがあちこちで泳いでいます。

その姿は、半世紀前の私が子供だった頃となんら変わっていません。
懐かしさを覚え、思わず見入って写真を撮りました。

こちらでは年長らしいグループが、橋の上から飛び込んでいます。
下で泳いでいる友達が「〇〇~、早く来いよ!」と呼んでいます。

私が飛び込む瞬間を撮ろうと構えていると「早く。待ちゆうやんか(待っているじゃないか)」と声をかけていました。いやいや、せかさなくても~(笑)ありがとう。

橋の高さは3m以上あるでしょう。ちょっと躊躇しつつ、意を決して飛び込む少年。
ふわりっと体が浮いた数秒後、ドボン!と派手な水しぶきが上がり、下で泳いでいる友達はキャアキャア笑います。昭和と同じ、夏の原風景とも言える景色です。

夏と言えば私も小学生の頃から、毎年足摺の海で泳ぐことが最大の楽しみでした。
知り合いのおじさんがホームステイさせてくれ、おじさんと足摺の幼なじみと近所のお兄さんと一緒に、水族館のように美しかった海で泳いだものです。

顔面を付け、海中を探す。
息を吸って潜る。
ニナ(巻き貝)を、岩からはずす。
キラキラと輝く水面に向かって泳ぐ。
浮上して「はー!」と息を大きく吸う。

それの繰り返しだけですが、なんて楽しかったことでしょう!
今にして思えば、かけがえのない贅沢な時間だったと思います。
泳ぐ子供たちを見て、私も追体験していました。

ふと我に返って思います。
令和の今、こうして近所のきれいな川で毎日遊べることの幸せ。なんて豊かなのでしょう。いくらVRが発達しても、本物には勝てません。

コロナ禍も第7波で感染者数が最多更新と騒がれる中、感染者数が一桁以下だからこその、のどかな地の利です。そして異年齢の集団で遊び、ルールやマナーを教えられ、コミュニケーション力も自然に高まる。なんて素晴らしい環境なのでしょう。

「気持ちよさそうやね。ありがとう」と帰り際 お礼を言うと、
「ありがとう~」と人なつこい笑顔を見せてくれた少年少女たち。

この子たちもきっと大人になって、この川での昔ながらの豊かな体験を懐かしく思い出すことでしょう。その時代にも、今の美しい川であってほしいと切に願います。