第1138回 「角島(つのしま)灯台」

12月21日         中村 覚

ここは山口県の北西部で本州の最西端に位置する豊北という地域です。そこに角島という島があり、重要文化財に指定されている角島灯台があります。

それほど灯台に興味がない方でもこの灯台を見ると、自ずと興味を惹かれるのではないかなぁと。とにかく大きいです。高さは約30m。これまで灯台と言えば、海岸線を走行中「あっ、あそこに灯台がある」と遠くに佇む姿をチラッと見る、そんな感じでしたが、こんな大きな物をこんな間近で見られるとは。

案内の看板です。「のぼれる角島灯台」と書いてあり、2度ビックリです。
登れるのです!看板には参観者に対するお願いが色々と書いてあり、かいつまんで書くと

・敷地や灯台には無断で入らないように。必ず受付で声をかけるように。
・灯台の階段は急なため 付き添いのない幼児・小学生は危険につきお断り。
・灯台内は火気厳禁。などなど。

登れる事実に驚きましたが、注意書きを読むと灯台内の階段は十分注意が必要のようです。そして受付の横にもまた注意書きがあるのです。灯台では営利目的の動画撮影等は禁じられていること。中の階段の最後の箇所は人とすれ違う事が出来ないので、上がる前には、上から人が降りて来ないか確かめて下さいと。

こういった注意書きに魅力を感じます。 と言うのも最近は個人の責任を遠くに追いやるように、とにかく安全に安全にと働きかけます。それはそれで大事と思いますが…。この角島灯台にはまだ「昭和」が残っている感じです。そう、そう、これ これ、懐かしい。自己判断、自己責任、やる気のあるヤツだけ登って来い!
そこまでは書いていませんが(笑)

参観寄付金として300円が必要です。そして窓口のすぐ横の張り紙に

灯台は階段です。
105段のらせん階段と
角度が80度の階段が
12段あります。

まるで最終確認。それでもあなたは登りますか? と。

仮にですよ。 登ったとして、今度、降りる時です。 どうなるのでしょうか。
すごいことになるのでしょうか?…私には無理でした。

仕方ないので、遠目にもう一回、じっくり見て帰ろうかと。そんな時、

あっ 人! 灯台に登り外に出ている人がいます。風は強いでしょうが、その風を浴びながらの眺めは格別だと思います。いいなぁ。結果的にこの場所には30分程いましたが、登った人を見たのは2人だけでした。

ところで、この灯台は1873年(明治6年)に着工、完成までに約3年を要し1876年(明治9年)3月1日に灯火したそうです。2020年に現役灯台では初めて重要文化財に指定されました。現役ですから、遠目に見る灯台の夜景の写真が美しくパンフレットにも紹介されています。

日も傾きはじめ、もうそろそろ、帰る時間です。

灯台を見た後、角島の先端部分をぐるりと旋回している時に撮った1枚です。
またいつか来たいなと思いました。でも、こんなのは勝手なコメントです。

今は観光地になり穏やかな雰囲気ですが、明治の頃、ここの灯台を管理する方の環境はいかに厳しいものだったでしょうか。そんな名残が、この角島灯台やあの看板から感じられ、ひととき思いをはせたのでした。