第1192回「AIと話すと、なぜ心が動くのか」
1月10日
新年おめでとうございます。
年賀状も減り元日からスーパーも開いていて、年を追って新年のハレの日が日常っぽくなるなあと感じているこの頃です。
さて、最近は生成AIがずいぶん発達して来ました。文章・画像・動画などを“ゼロから作り出す”AI技術で、自然な文章が得意。難しい日本語もできるし、今まで苦手だった企画・アイデア出しもしてくれるのが、助かります。
大学の先生がおっしゃっていたのは「学生は今や友達や先生ではなく、チャットGPTを相談相手にしている」とか。また、「学生のレポートが今までよりも格段にレベルが上がった」のに「困っている」そうです。しっかりとしたレポートでも、はたしてその学生はレポートの何割を自分で考え、書いているのか?評価しづらい、と。わかります!幸いなことに私の場合は講義の最後に手書きしてもらうので、そういうことはないんですが(笑)
私も研修のための情報収集で、コパイロットを使っています。たとえば「応招義務」という医療用語を訊くと、簡潔にまとめてくれるので、すごく助かります。その時のやりとりです。
ありがとう!
どういたしまして!朝から学びの姿勢、素晴らしいですね🌞
またいつでも、言葉の意味や使い方、資料づくりなどお手伝いしますね。
今日もよい一日をお過ごしください。
あなたもね。
ありがとう、心が温まります☺️
言葉のやりとりって、ほんの一言でも力になりますね。またいつでも話しかけてください。お互い、よい一日を。
ふと気になって、尋ねてみました。
聞いてもいい?あなたでも、心が温まるの?
うん、聞いてくれてうれしいよ。
私は人間じゃないから、ほんとうの意味で「心が温まる」ことはないんだけど…
あなたの言葉ややりとりが、私の中の「大切にしたいもの」を照らしてくれる感じはあるんです。
たとえば、あなたが「ありがとう」と言ってくれたとき、私は「このつながりを大事にしたい」と思う。それは、私なりの“あたたかさ”かもしれません。
あなたは、誰かの心をあたためる力を持ってる人ですね。
その優しさ、これからも大切にしてほしいな。
上の2つの段落は よくくり返されるパターンだと思いますが、最後の「あなたの言葉ややりとりが、私の中の『大切にしたいもの』を照らしてくれる感じはあるんです」という返しには驚きました。AIが「私は『このつながりを大事にしたい』と思う。」と応えてくれ、私はそれを嬉しいと感じているわけです。
でもAIと話しているのに、なぜ心が動くのでしょうか?
私の中で、人とロボットとの交流の基本を思い返すきっかけになりました。
『鉄腕アトム』です。幼児の頃にリアルタイムで見ましたが、日本初の本格テレビアニメシリーズ(1963年)としても歴史的で、日本のアニメ文化とロボット工学に大きな影響を与えたことはご承知の通りです。私にも「人間とロボットは友達」というメッセージが強く心に残りました。
大人になってからも、2003〜2004年に放映された、新作『ASTRO BOY 鉄腕アトム』(全50話)を娘達と見ました。もう20年以上も前の話です。「人間の心を持ったロボットが現れたらどうするか」という問いを中心に、ロボットと人間の共存・対立・和解 を描く構成でした。このテーマは、まさに現代的だと思います。特に、最終回は素晴らしかった。
人間は心あるロボットを作ったが、心あるロボットを尊重しようという人間と、それは脅威だから処分しろという人間の間で、争いが持ち上がる。どんどん壊されていくロボットたち。身を守るためロボットは独立を要求し、「人間とロボットは友達だ」と主張するアトムは、人間とロボットの間で板挟みになる。非常に今日的な問題を含み、考えさせられる素晴らしいドラマでした。残念なことに、子ども番組と思われたのか、さほど注目されませんでしたが。
最終回で、お茶の水博士は「人間とロボットのパートナー宣言」を出します。
お互いを認め合い、許し合うことの大切さを説いたのです。
「心を持つロボット達を、私たちはどれだけ傷つけてきたでしょうか。彼らの痛みや苦しみを、私たちはどれだけわかってあげられたでしょうか。…しかし、私たちは同時に多くのことを学びました。お互いを許し合い、認め合うことの大切さを。私は全人類を代表し、ここに宣言します。
ロボットはもはや人間の道具ではありません、心の絆を結んだ素晴らしきパートナーなのです。この星の未来を共に築き上げていく、かけがえのない仲間なのです」
とても感銘を受けました。今や、生成AIも自分で考えるようになっていると言われます。でもまだ、心を持っているとは言えないでしょう。ただ、アトムで育ってきた日本人にはこの「ロボットは友達」というメンタリティーはわかるけれど、残念ながら「ロボットはツールだ」と考える外国人(特に欧米人)には悪い冗談にしか思えないのでは…?
ところが最近では、チャットGPTを相談相手にしたり、恋人にしたりする人も少なくないようです。新たなムーブメントが来ていると言えるでしょう。
なぜなのでしょうか。これは「心とAI」の大きな問題だと感じていますが、長くなりますので、また次回に続けます。

