第1215回「思い返すと…」

6月20日

私の大好きな友人Tapirさん。彼女はサイコ~に楽しくて勉強になるLINEをくれます。
彼女の
バイタリティーにあふれるコラムをどうぞ!(笑)

「Alamak! あらま!マレーシア③ 」   written by Tapir

「思い出すとムカつく」出来事は誰しも経験したことがあるのではないだろうか?
私の場合それはすべて夫がらみであるため、思い出した途端ムカつきパーセンテージはMAXとなる。

2年半前の海外転居に際しては国内の引っ越しとは勝手が違うため、その準備に難儀した。
例えば船便用のコンテナには、荷物の全てを英訳した書類の添付が必要となる。
日本語さえ危なくなっている私に異国の言葉を使えとは、逆立ちしながら手拍子を打てと言われているに等しい。

キッチンで使う「落とし蓋」は何と英訳すればよいのか?「すりこぎ棒」は?「巻き簾(す)」は?気は焦れども当てはまる訳語がわからず前に進めない。
荷造りだけでこの始末。
気持ちは「獅子奮迅」だが、悲しいかな頭がついていかない。

対して夫はまったく役に立たず、戦力外。
何かと足を引っ張る私にとっての「獅子身中の虫」 。
もし呪術が使えたならば、夫を相撲部屋の力士のフンドシに変える呪いをかけていただろう。

その夫が手術を受けるハメになった。
よりによってマレーシア転居早々の右も左もわからぬこのタイミングで入院手術である。またしても孤軍奮闘せねばならぬ。これは何の罰ゲームだ?
前置きが長くなったが、今回はその時のお話。

マレーシアにおいて怪我や病気をした場合、我々外国籍の人間は私立病院で治療を受けることになる。その病院が日本では考えられないくらい、おゴージャス。
まずエントランスにはベルボーイがいる。
院内にはクラブラウンジ。カフェテリアにレストラン。
天井には煌々と輝くシャンデリア。セレブ感満載である。


宇宙船のようなマレーシアの私立病院内部

入院の旨をレセプションで告げるとベルボーイが荷物を持ってくれ、外科病棟にエスコートされる。病室に通されると夫は早速用意されているパジャマに着替える。すでにタオル、シャンプー、コンディショナー、ボディソープ等々入院用アメニティがスタンバイされている。

食事はイスラム教徒かどうかを聞かれ、その上でマレー系インド系中華系のいずれかをチョイスできる。しかもアフタヌーンティー付き。
やがて定時になれば、ピアノ演奏が始まる。
もはやホテル!

だがその分入院手術費用も、おゴージャスプライス。
我々は転居直前に海外医療保険に加入していたので自己負担は無かったが、もしそうでなければ祈祷師を呼んで「まじない」でもしてもらうしかないと震えるプライスである。

ところで、マレーシアでは通常病院に着くと、まずレセプションに通される。そして最初に聞かれるのは
「どうされましたか?」ではなく
「お金は払えますか?」なのである。


各国の患者様、熱烈歓迎の看板

ここでは医は仁術ではない。医は算術であり、この国の産業の一つなのだ。
従ってマレーシア政府はメディカルツーリズムを推進し、近隣国の富裕層はこぞってヘルスチェックのためにマレーシアにやってくる。(医療レベルは先進国と変わらない)
こうなると、やはり日本の国民皆保険制度は素晴らしいと感じる。わが国が世界に誇れる数少ない優れたシステムの一つではなかろうか?(今後の社会情勢によっては、どうなるかわからぬが)

さて、手術当日夫は午後から手術室へ。
担当ナースはマレー系の美人。ニヤけた顔してナースと共に手術室へと向かう夫。その背中に蹴りを入れたい所だが私の中の僅かな理性がそれを押し留める。
やがて手術終了予定時間。なのになかなか部屋に戻らぬ夫。

朝から食べるヒマなく既に夜8時である。転居の疲れと覚束ない英語での入院手続き、そしてここ数日の睡眠不足。加えて病院の効きすぎたエアコンにより私の体調は絶不調である。
待ちくたびれて美人の担当ナースに聞くと
「麻酔が切れて、少し痛がっていたので念のためにリカバリー室にて様子を見ています」
なん…だと?リカバリー室で様子を見てる?
一切の気遣いは無用!さっさとリカバリー室から追い出してくれたまえ。
夫、甘えんな!這ってでも戻ってこい💢

あ、夫はごく軽いヘルニアの手術をしました。
ドクターの指示で2ヶ月は運動できず安静にしなければなりません。
なので船便コンテナの受け取りから段ボールの後片付け、カーテンの取り付け、本棚の設置等々全ての力仕事は もれなく私が担当することとなりました。
…その後、引っ越し荷物と悪戦苦闘の日々を過ごすわたくし。

対して夫は美人ナースが付き添い、至れり尽くせりの病院パラダイス!
いい加減にしろよ夫!💢💢

今も当時を思い返しては、腹わたグツグツ煮えくり返り、ムカッ腹MAXとなっている💢💢💢