第1214回「南海ビルと大阪高島屋」
6月13日
先月、大阪なんばに行ったとき訪れた近代建築のご紹介です。
こちらは、南海なんば駅です。美しい近代建築でしょう?南海電鉄は、大阪から和歌山・高野山方面を繋ぐ鉄道会社です。
南海ビルは、南海難波駅ターミナルの駅ビルとして昭和7年(1932)に建築され、その景観はなんばのランドマークとなっています。昭和7年と言えば、昭和6年建築の追手前高校校舎と同じ頃で、今から94年前です。1世紀近く前の建築ですね。
この建物は 鉄骨鉄筋コンクリート造り、地上7階地下2階建てです。
長大な外壁は、間口が約174.5メートル、高さが約30.3メートル。見上げるばかりの威容ですね。
1~2階、3~6階の中層階、7階の軒飾りの3層のデザインで構成されていて、大きなコリント式壁柱とアーチ式の開口部が施されています。
2025年からは、駅前の道路が広場に換わり、車両進入禁止になっています。ゆったりとした駅前の風情はどこか外国を思わせます。
華やかで格調高い意匠様式は、ネオ・ルネサンススタイルと呼ばれています。
外壁にはテラコッタ(素焼きで仕上げられた彫刻)が用いられ、これは国産の伊奈製陶製です。現在のINAX(イナックス)ですね。
手の込んだ中央の飾りは、電車の車輪をイメージさせます。格調高く、華やかなデザインです。
この建物、端に視線を移すと…ん?高島屋のマークが。
関西の方には当たり前でしょうが、私は知らなかったので少し驚きました。
こちらは電車の駅と百貨店を一体化した巨大なターミナルデパートビルで、南海ビルには 竣工以来テナントとして高島屋百貨店が入居しているそうです。この高島屋大阪店は高島屋の本店であるにもかかわらず、建物の所有者はいまだに南海電気鉄道のままなんだそうです。
いかにも百貨店、という感じの入り口のカーブが美しく、品格がありますね。
柱頭部はくるっと先が丸まっているアカンサス模様(ハアザミの飾り)と、飾り壷が。この様式は先週ご紹介した、松竹座でも見ました。いかに戦前の大阪が商都として栄えていたかが伝わってきます。国の登録有形文化財になっています。
店内では、天井辺りに少しだけ当時の名残を感じることができます。
実はここから数百メートルの所に、高島屋東別館があります。昭和の初めに松坂屋大阪店として建築された歴史的な建築物で、こちらも国の重要文化財に指定されています。
美しい、印象的なアーケード。現在は百貨店ではなく、高島屋史料館とフードホールなどがあります。
当時の重厚な大理石の階段をそのまま残してあります。
建物には、随所にアールデコ調の装飾が施されています。こちらは風除室(外扉と内扉の間の空間)の天井の照明。
昭和初期のエレベーターホールの重厚な作りと、アカンサスの葉をモチーフにした照明。当時の建物内部の雰囲気を楽しみたい方には、こちらの方がお勧めかもしれません。ちなみに高島屋史料館には、閉館30分前だったため入館できませんでした。残念!まあ、ゆっくり建物を見て回ったので仕方ないんですが。
この日は3時間ほど 近代建築をゆったりと鑑賞させてもらい、贅沢な気分でした。たまにはこういう時間もいいものですね。











