第1213回「近代建築・大阪松竹座 最後の勇姿」
6月6日
先月、大阪・ミナミに出かける用があり、近代建築を見てきました。
大阪松竹座。ニュースで「5月末で閉業する」ことを知り、それは見ておきたいと足を運んだのです。
大正12年(1923)に、鉄骨鉄筋コンクリ一卜造、日本初の洋式劇場として道頓堀に開館しました。戦前は映画と演劇の両方を提供し、戦後は映画館に。実に、103年もの歴史があったのですね。
ネオ・ルネサンス様式の建物は近代の名建築とされ、「道頓堀の凱旋(がいせん)門」とも呼ばれたそうです。確かに、アーチと上部の装飾がそれっぽいですね。
この豪華なファサード(正面玄関外観)は、道頓堀の顔として、長年人々に親しまれてきました。現在の建物は平成9年(1997)にそのファサード外壁を保存し、全面的な新築建替えが行われ、歌舞伎をはじめ幅広い演劇の劇場としてよみがえりました。それが評価され、平成10年には、第18回 大阪まちなみ賞 特別賞を受賞しています。
「演劇の『和』と、建物の『洋』との融合は、現代日本文化を映し出し、道頓堀界隈の景観に歴史の厚みと風格を与えている。大阪に残る数少ない大正建築の保存と再生の好例であり、都市景観に新しい価値を付与したものとして高く評価される。」という28年前の評が、ネットに残っています。
巨大なアーチが印象的な、アメリカ製のテラコッタ・ファサード。手が込んでいます。テラコッタとは、粘土を型で成形し焼き上げた装飾です。つぼ型の装飾、飾り窓などが実に優美です。
最後の演目の看板が掲げられていました。ポスターに載っている価格を観ると、一等席2万6千円、二等席1万3千円。うわぁ。それは…観客が減っても仕方ないかな。
でも、歌舞伎役者も今では大阪から東京に住居を移しているので、一座を引き連れての興業は交通費・宿泊費などがかかって大変なのでしょう。
左側の装飾柱。
右側の柱。3人の天使が上にいますが、その背景がずいぶん違いますね。
美しい近代建築なのに、左側の柱はビルと看板に埋もれて可哀想に見えました。
柱や街灯など、大正時代を思わせるデザインがレトロです。
通りの向こうには、有名な「かに道楽」の看板が。そうか、この雑多な街の雰囲気の中、道頓堀の凱旋門はそびえ立っていたのですね。
でも美しい近代建築がある前に、太いケーブルが横切っている景色は、初めて見ました。
すぐ近くには、グリコの看板で有名な戎橋があります。私は土地勘がないので、「こういう場所にあったのか~」と少し驚きでした。
存続か解体かで揺れた大阪松竹座は、結局廃業→解体になりました。
淋しいですが、最後の勇姿にギリギリ立ち合わせてもらえて感慨深かったです。











