第1222回「万次郎少年像の知られざる魅力」
8月8日
NHKのドラマ担当の方は、本当にユーモアのセンスが高いですね。「らんまん」「あんぱん」「ジョン万」。まるで言葉遊びのように、NHKの「朝ドラ」と「大河ドラマ」に、みたび高知が出て来ることに、高知県は沸き立ちました。
「ジョン万次郎を大河ドラマに!」という署名活動は2012年に始まり、14年目にしてついに実を結びました。足摺岬に立つ「中浜万次郎像」も「やっと決まったかよ」とどこか満足そうに見え、たくさんの観光客がカメラを向けていました。
令和10年の大河ドラマ「ジョン万」。来年、令和9年はジョン万次郎生誕200年なのだそうです。ジョン万次郎の壮大な人生を考えると、土佐清水市は出身地であることが誇らしいでしょう。
(土佐清水市中浜の2026年現在の様子)
土佐清水市役所には「大河ドラマ『ジョン万』推進室」が設置されました。2027年1月の「ジョン万生誕200年」から大河ドラマが終わるまでの2年間、「ジョン万EXPO」と題してキャンペーンを展開するそうです。こちらは、その本拠地とも言える土佐清水市のあしずり港にある「ジョン万次郎資料館」。
すでにこの4月・5月の来館者は、3倍に増えたとか。万次郎の激動の人生を表現した、様々な壁面グラフィックに見入ってしまいます。
現在の展示内容は第856回 「ジョンマン・スピリッツ」でご紹介したものと同じですが、来年には「ジョン万EXPO」が始まり、また少し変わるかもしれませんね。
ところでこのミュージアムで、ひとつだけ“もったいない”と感じたことがあります。
それは、「万次郎少年像」と名付けられた迫力ある銅像があまり知られず、資料館での案内もされていないことでした。
そもそも、資料館と銅像は200メートルほど離れていて、像は資料館からは直接見えません。入り口の看板を見ればわかるのですが…
車で入ってくる時、このように資料館の看板と重なって見えづらいんです。「ジョン万次郎群像」があることに気がつかない人も多いと思われます。
そして銅像は遠目からでは、あまりよくわかりません。
こんな感じです。でも、近づいてみると…
手前の人物と比べると、かなりな大きさだとわかりますよね。
今から30年前の平成8年(1996年)に「萬次郎少年像」として建立。万次郞と4人の仲間が鳥島に漂着した像で、背後の鉄筋コンクリート製の髙さ11メートルの波涛に自然の厳しさが象徴されています。砕け散る大波の表現は、実にダイナミック。
逃げまどう仲間に対し、少年万次郎が絶体絶命の状態から未知の世界に踏み込む意志の強さを体全体で表現しています。
制作者は高知市の彫刻家、浜田浩造さん。この方は梼原町の「維新の門」の群像(坂本龍馬、澤村惣之丞を併せた八人の銅像)も制作されていますが、このダイナミックな万次郎像には ただただ圧倒されます。
服を脱ぎながら一点を見つめ、駆け出す万次郎の一瞬。きっと、脱いだ服を船に見つけてもらえるよう、旗代わりにするのでしょう。万次郎の表情も骨格から、「きっと少年時代はこんな顔だったんだろうな」というリアルさがあります。
像の左側から見ると、走り出す構図で万次郎の躍動感が見事に表現されています。この像の下の青いタイルは海を表現しているのでしょう、そして背景には本物の海の青が よりリアルさを演出しています。
像の右側から見ると、迫ってくる大波から自由に飛び立とうとしているようにも見えます。「決してあきらめてはいけない」という、資料館で見た万次郎のフレーズが蘇りました。切り取る部分によって、場面が浮かんでくる。すごい迫力です。
もしも土佐清水市に行き あしずり港の「ジョン万資料館」に立ち寄られるなら、この群像は本当に一見の価値があります。ぜひ足を運んでみてください。意外に高知県民にもあまり知られていないのですが、だからこそ“発見の喜び”がある群像でもあります。
そして「万次郎資料館」のスタッフの方々、群像へのご案内を出口付近にぜひよろしくお願いいたします。












