第730回 「嫁ぐ覚悟」

1月14日

50代の私たちが昭和の時代慣れ親しんできたホームドラマの中には、まれに娘が嫁ぐシーンがありました。嫁ぐ前夜、両親に手をついて頭を下げ「お父さん、お母さん、今までお世話になりました…」。そんなセリフがなんとなく頭に入っていて、「そうするものなんだ」という刷り込みがあり、自分自身も嫁いだ時にそうした覚えがあります。

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さて、前回書かせて頂いた通り、次女が2週間前に嫁ぎました。ただ結婚式は5月の予定ですし、新居はうちのすぐ近くのため、引っ越し用にと貯めた段ボールも出番がないまま終わったくらい。(笑)嫁ぐ前夜も あまりにもいつも通りだったため、主人が寝室へ行った後、「お父さんへきちんとあいさつをしなさい」と言うと、「何て言えばいいの?」。

そうか!私たちの頃と違って、ドラマにもそういうシーンは出てこないし、刷り込みがないんだと納得。でも「それは自分で考えなさい」と促しました。

主人を呼び、いざあいさつの時、次女から出て来た言葉が
「これから、よろしくお願いします。」
思わず笑ってしまいました。
「えー!?そりゃあ、◯◯さんに言う言葉でしょ!」と私も思わず突っ込み。

ところが次女に言わせると、『私は出て行くので、これから筒井家をよろしくお願いします』という意味だったらしいのです。なるほど~。訊いてみないとわからないものですね。(笑)

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さて、結婚して3日め。次女からLINEで
「明日、夫が飲み会なのでそっちで晩ご飯食べていい?」という連絡が来て驚愕。
確かに3日前まで家にいたので、一緒に食べてもどうってことはないのですが…

ここでそれを許すと、娘に甘えが生まれ、嫁ぐ覚悟ができない気がしました。

「あなたはお嫁に行ったんじゃないの!?」と返信すると、1時間後に
「それもそうだし寂しくご飯食べるー」とのこと。ホッとしました。

今までは毎日仕事から帰るのが遅くて上げ膳据え膳だったので、「結婚してから大変だよ~」と脅していたのですが、ひよこながらもヨタヨタと頑張っているようです。

同窓会で「ご主人は淋しがってない?」と訊かれたのですが、うちの場合はいまだに(障害のある)長女の子育てで忙しく、次女が巣立ったのは一安心、という思いが強いようです。夫は次女が引っ越した大晦日から猛然と次女の部屋の片付けをしていました。(次女は新居の片付けで忙しく、私は家全体の大掃除があったので)ずいぶんと片付いた時、私が「(次女は)ちょっと淋しがるかな?」と言ったのですが、思いがけない返事が返ってきました。

「すぐ近くにいるってことは すぐ帰れると思い、つい甘えが出やすい。だからこそ、『自分の部屋はもうない。ここには戻れないんだ』ということを親が示してやらんと、覚悟ができんやろ?」

この言葉を聞いた時、心打たれました。「父親としての覚悟」ですね。結婚を許す時にも初対面ですぐに受け入れ、「二人で仲良くやりなさい」と後押しをした温かい態度と結びつき、「そうだね」と深くうなずいたのでした。

次女からは、夜12時過ぎに「家事してたー。ほんとに自分の時間がなくなって大変やね」という実感がこもったLINEが来たりしているこの頃。少しずつ覚悟を固めていって、仲良くやって欲しいと願っています。