第792回 「比較から生まれる判断基準」

3月24日              中村 覚

「人は物事を絶対的な基準で決めず、他の物との優劣によって価値を判断している」という文章をたまたま読みました。他の物との優劣、つまり比較して価値を判断する? えっ ホントにそうかなぁと疑問に思い始めると、その後の文章がすんなり頭に入ってきませんでした。

例えば、私はいまだにガラケーを使っていますが、それで事が足りているので、スマホが欲しいとは特に思いません。子供の頃から周りの人がほとんど持っているからという理由で、自分も○○が欲しいと思った記憶がありません。もちろん、純粋に自分が欲しいと思った物や好きなテレビ番組などが周りの人と一緒ということはあります。でもそれは内なる基準の結果だと思います。

そもそも比較から生まれる価値というのは優越感や劣等感、そういった類のものじゃないの?と思っていたのです。しかしながら 実はよくよく考えると、他の物と比較して価値判断をしている自分に ふと 気が付きました。
ちゃんと本に書いてある通りだった・・・(冷汗)。

これは映画「スターウォーズ」のキャラクターのピンバッジです。2年ほど前、 美術館の企画展で購入。好きなキャラクターの商品だから買ったわけですが、それ以上に会場限定品だったからです。一般流通品とは違い、ここでしか買えない。「他の物と比較して価値を判断している」まさにそれです。

これは先ほどと同じキャラクターの商品。見るからに子供のおもちゃですが、実は犬のおもちゃです。1800円もしたので、犬に遊ばせるにはもったいない!ネットで見つけた時、「輸入品」と書いてあったので、なるほど近くの量販店には売っていないに違いない。しかも販売数もごくわずかだろう。 当たらずとも遠からずとは思いつつ、これ全部 私の思い込みです。

しかし見つけた当初は「こんな物を買って、どうする?」と正常な判断が働いてました。ところが 数日後、「在庫切れ」と表示されているのを見て愕然。逃がした魚は大き過ぎた。あぁもう手に入らない。

さらに数日後、まさかの再入荷。しかも以前よりも価格が下がっているような・・・。犬用のスターウォーズ商品は、他は軒並み2500円です。なぜ自分の欲しいこれだけが1800円? わかりませんが、これで買う理由が揃いました。

買い物をする際に、本来の純粋な「欲しい気持ち」に「他の物と比較して判断した価値」が加われば 鬼に金棒、青ざめるは財布。(笑)

考えてみれば、買い物だけではありません。外食をする時もしっかり比較して店を選んでいます。皆さんもそうでは?

これはたまぁ~に行くお店のテリヤキチキンサンド。ご覧のようにテリヤキチキンサンドにスープにコーヒーのセットです。

価格は780円。コースメニューを出すお店ですから、味とボリューム、そしてゆったりと過ごせる雰囲気を考えると、私にはこのセットがお得でなりません。

このお得感も考えてみると、他のお店との比較から生まれています。当たり前のことなのに、こんなふうには考えていませんでした。

「他の物と比較して価値を判断している」、つくづくそう思います。