第868回 「スマホとの距離感」

9月13日                 中村 覚

夕方、郵便局に局留めの荷物を取りに行きました。土曜日ということもあり店内は人、人、人です。 土曜日のこの時間帯は混み合っていることを再確認させられます。 番号札(20番)を取って順番が来るまで待つわけですが、ざっと20人待ちです。 待っている間の時間潰しに文庫本でも持ってくるべきだったと、たしか前回も同じことを考えていたなと。(笑)でも 今さら車に引き返すのも面倒です。

半数以上のお客さんは狭い店内で立って待っていますし、7席ぐらいある椅子ももちろん既にいっぱいです。番号札を取った私はそのまま近くの壁にもたれて立っていました。すると目の前の座席に座っていた私と同年代(40代)の女性が立ち上がって、「どうぞ」と席を譲って下さいました。

「あっ、ありがとうございます。」と言ったものの「・・・大丈夫ですので。」と、そのまま女性には元通り座って頂きました。本来であれば、席を譲ってもえるのはありがたいことです。でも この日 郵便局には出先からそのまま来たものですから、小一時間ほどずっと車に座りっぱなしでしたので、私としては ここでまた“座る”より立った状態で背中や腰を伸ばす方が良かったのです。

私の個人的な理由はどうあれ 女性からすれば、「目の前に松葉杖の人が来たから席を譲ってあげよう」と。本当にありがたいことです。

~で実は、この女性の座っていた椅子は3人掛けだったのですが、後の2人は20~30代で、終始下を向いてスマホをやっていました。別に何をしていようと個人の自由ですが、ちょっとだけ違和感がありました。自分の周りの状況を気にするというのは本能的なことではないでしょうか。なにも自分に席を譲ってくれようとしなかったからこんなことを言っているのではありません。くれぐれも。(笑)

例えば、“今、自分の前にきた人は男性か女性か。 大人か子どもか” や “横の人が立ち上がって席を外した”とか“向こうで泣いている子供の声がする”などなど。ささいなことだとは思いますが、こういった感覚が遮断される状況は不自然ではないかと思うのです。

えっ? その下を向いてスマホをしていた人達は、私のことに気が付いていながらスマホをしていたと? あっ、それなら安心です。(笑)

この一連のことを後日 知り合いに話したのですが、「そんなもんよ。」とあっさり。「今は多くの人が自分の関心事以外、一切興味なし。」と世相?を スッパスパ 斬るのです。

「じゃあ 聞きますけど、もし銀行で手続きの順番待ちをしている時に、強盗が入って来たらどうするのですか?」「スマホをやっていて強盗に気が付かなかったら?」と私。~とは 言うものの、気が付いていても強盗の時点でアウトですけど。(笑)

「そらぁ、スマホに夢中の人は、強盗に気が付いた時点で、一緒に写真 いいですか? インスタ映えするので。ハイ、チーズ!(笑)」に決まっていると言うのです。

「それ、外では言わない方が良いですよ」と注意してあげました。(笑)

いや、まじめな話、なにもスマホが悪いわけではありませんが、横断歩道を横断中にもスマホをしている人を見かけます。歩行者からすれば「青信号だから横断している。」という至極当然のことです。

しかし右左折をしようとしている車もその横断歩道を横切るわけです。運転手も当然確認をしながらの走行ですが、人間のすることに100%はありません。それを考えると、左右の車を確認しながら(周りを気にしながら)横断歩道を渡るというのは自分自身を守ることになるのではないでしょうか。

などと厳しいことを申し上げましたが、実は私はスマホではないんです。だから距離感には自信があります。少なくとも、今は。(笑)