第1189回「カッコ良さとは、ゆとり?」
12月13日 中村 覚
まずはこちらの写真をどうぞ。
少し違和感があるのではないでしょうか。右端だけ、おもちゃ?
ところが、見た目はおもちゃでもれっきとしたハンマーなんです。どれも百円ショップダイソーで、1個100円で売られています。オレンジ色のハンマーを最初に見た時には「あら?」と思いました。でも販売し始めたばかりだったのか、店内にはパネルが設置してあり詳しく商品の説明をしていました。プラスチックだからって、甘く見るなよ!と(笑)
ちなみに工具コーナーでは、このように売られています。
ちょうど部屋用に手頃なハンマーが欲しい時だったので買いました。私としては釘が打てれば十分。もちろん、釘はちゃんと打てました(笑)軽い割にハンマーの頭の部分はかなり硬いので、なにかを壊すのにも もってこいだと思います。
オレンジというのがポップな感じで、部屋に置いてあっても威圧感がありません。それに実力をひけらかさない感じも良いなと。例えば、こうです。
しっかり玩具に溶け込んで、まさかハンマーだけ本物とは思わないはず。
必要な時にだけ力を発揮。普段は周りとなかよく調和。
ハンマーが言います。「オレ、おもちゃと一緒でも余裕っス」
「君ぃ、そのゆとりがカッコ良いよ」
話は続きますが、ちょっと角度を変えて~
昔、こんなことを言われました。「聞かれてもないのに答えるな」。
かなり端折った表現ですが、人間、知っていることはついつい言いたくなるもの。それなのに、なんでそんなこと言うのかなぁ?と思ったものです。理由はいくつかあったと思いますが、その中の一つに「相手の話を奪うことになる」と。相手が気持ちよく話している(これから話すかもしれない)のに、その場の“花”を奪うなと。知っていてもしゃべらないゆとりですね。相手に渡してこその“花”。
そんなことだったように思います。
先日、あるお店でのこと。隣の席から「おいしい!こんなに、たくさん~」 注文したサンドウィッチの味と量に惜しみない賞賛の声です。30代ぐらいの夫婦が座っていました。サンドウィッチを食べているのはご主人。2~3分してから店員さんがその夫婦の前に来て、すまなそうに膝を折り「申し訳ありません。ご注文頂いたハムサンドではなく、こちらの手違いにより、エッグサンドをお持ちしていたかと…」
「ん?」とご主人。
「あぁ、全然 かまん かまん。気にせんとって、かまんで。」
装いなく爽やかな雰囲気で本心からといった感じでした。
「申し訳ありませんでした。」と席を離れる店員さん。
「ホント、うまいわ。 『オレが味音痴で良かった』いうて、あっち(キッチン)で、今、言いゆうがやない?」と笑顔で奥さんの笑いを誘います。奥さんもニコニコで、隣で私も「カッコ良いな!」と。
それからまた5分程経って、再度 店員さんがやってきて
「先ほどのエッグサンドのお代は結構ですので~」
「いや いや そんなこと言わんとって」と笑顔のご主人。
「ホントにえいき。かまんで、かまんで。」
「申し訳ありません…」と席をそう~っと離れる店員さん。
店員さんがいなくなるとさっきと同じように
「『味音痴で良かった』いうて、あっちで、言いゆうで。 」
またまた奥さんを笑わせます。奥さんも上機嫌。
隣で私も「男らしい!」と。 (個人の感想です)
そして、ご主人の最後の言葉がまた良かった!
「ここ、オレが払うがやないき」
私も声に出して笑いそうになりました。
オーダーミスは自分が被り、最後に“花”を奥さんに(笑)
多くは語らない、そんな余裕がカッコ良い!



