第887回 「嬉しい瞬間」

2月1日

今週は、ある高校で就職内定者のための「ビジネス・コミュニケーション講座」2日間がありました。夏休みに「就職講座」で学び、就職試験後 企業内定をいただいた3年生が入社してからの心構えなどを学ぶ講座です。

就職して3年以内に退職する早期離職者は、「七五三」とも言われます。残念なことに中卒は7割、高卒は5割、大卒は3割が早期離職するのです。4年前はこちらの高校でも1年未満での離職者が4割となり、せっかく受け入れて下さった企業にも迷惑をかけていた現状に 就職担当の先生は悩んでいらっしゃいました。

そこで、入社してからの心構えや再就職の大変さなどを卒業前に学んでもらう方がいいのではないかということで、この講座が始まったのです。

その効果は非常に大きく、早期離職者は激減しました。もちろん この時代ですから転職することも当然あるでしょうが、まずは何らかの基礎能力を磨いてからが良いのではとお話しし、入社してからの自分の居場所作りを勧めます。

今年は、初めての嬉しいことがありました。夏に就職講座を受講し、その後進学に進路を変えたためこの講座を受講しない生徒さんが、1日目が終わったときに階段で私に話しかけてきたのです。

「筒井先生、お久しぶりです。夏はありがとうございました。」と笑顔で。
「実はお願いがあるんです。私は就職から進学に進路変更したのですが、この講座をどうしても受けたくて…。受講させてもらえませんか?」

とても驚きました。こうした講座を途中で離脱することは珍しくありませんが、進学する生徒さんから「受講したい」と直談判されたのは初めてでした。聞けば、もう担当の先生の許可も頂いているということで「それは嬉しい!ぜひどうぞ♪」ということになったのです。

そして2日目。その生徒さんはみんなと一緒に、敬語テストを受け、電話応対や名刺交換のペアワークも大いに楽しんでいました。教室全体がどんどん盛り上がっていき、無事終了。レポートにも「知っているようできちんとは知らないものばかりでした。今後の人生に活かしていきたいと思います!」と嬉しい言葉がありました。

物事を楽しめる人は、得だなあと思います。周囲が自然にその人を応援したくなってしまいますよね。

またある男子生徒は、「○○の大会があるとき、色々な企業に電話をする機会がありました。けどうまく対応することができず、企業の方に迷惑をかけたことがあります。今回の電話応対の話はとても勉強になりました。」と実体験をレポートに書いてくれました。そして講座修了後も、素敵な笑顔でしばし話に花を咲かせてくれました。

この仕事をしていて本当に良かった!と思える、輝くような瞬間です。
とても幸せな気分で、冬の夕焼けの中を家路についたことでした。