第996回 「オンライン講義にて」

3月12日

3月に入り、大学の講義が始まりました。
就職必勝講座、教員養成のための介護等体験事前指導など。まだ新型コロナの第6波が収束できていないこともあり、対面もありますが オンライン講義が多いです。

昨年はオンライン講義でも、オンデマンド(好きなときに見られる、収録した動画配信パターン)ばかりでした。事前収録するため撮り直しがききますし、学生は自分の都合の良いときに何度でも見られるメリットがあります。反面、内容は一方的に語るしかなく、学生とのコミュニケーションが直接取れないのはもどかしい思いでした。

自分自身コロナ禍のセミナーを受講して、特にコミュニケーション関連の講座を組み立てる場合には、相互コミュニケーションが必要不可欠だと感じています。つまり事前収録でなくリアルタイムで講義が進行し、その場で質問をしたり、グループワークができたり様々な交流ができるのが理想的ですよね。やはりコミュニケーションは対面が最高ですが、オンラインでもできるだけ近づけるにはどうしたら良いのか、模索が続きます。

昨日も高知工科大学で、リアルタイムのオンライン講義がありました。全員にカメラをオンにしてもらい、皆さんの顔を見ながら進行していきます。
しかし最初の方でいきなり、パワーポイント画面が動かなくなるトラブルが。まあ機械なんてトラブルはつきもので、お約束みたいなもんです(笑)対処を事務局がしてくれたので助かりました。そしてこういう時、事前に「ダウンロードして印刷しておいてね」と念を押した記入式資料が役立ちます。

昨年はできなかったペアワークを体験してもらいたいと思い、ブレイクアウトルームと呼ばれる少人数にグループ分けして話し合える機能を使いました。全体の人数が40名弱だったので、やりやすかったです。それぞれどんな進行をしているのか、見に行くこともできるので便利。みんな画面越しでもうまくコミュニケーションを取り合っていて、楽しそうに進行していました。何より、受け身にならず主体的に取り組むことができ、発表も笑顔でやってくれ嬉しくなりました。

講師仲間の友人が言っていましたが、オンライン研修を頼まれて講師を引き受けたけれど、ほとんどの受講者は自分のカメラ画像を消し、マイクもミュート(消音)にしているため、聞き手の様子がまったくわからないまま延々と真っ暗な画面に向かって話し続けるのは気が滅入るということでした。その通りだと思います。カメラをオフにされると、そんなつもりはなくてもコミュニケーションを拒絶されているように感じるんですよねぇ。

講義が終わるとチャット機能を使って、その場で簡単に感想を送ってもらいます。
昨日は驚いたことに、何人もの学生さんが「筒井先生」「中村さん」と名前を書いて感想を記してくれていました。初めての講義でわざわざ名前を書いてくれるのは親近感の表れで、有り難いことでした。

「ロールプレイングで体験できたのが良かった」「今までにない体験ができました」「実際に話すことの難しさを事前に体験することができたおかげで、どんなことを勉強して挑むべきか具体的に目に見ることができた」と特にペアワークが好評でした。また「マナーについてしっかり学習する機会は今まであまりなかったので、注意点や初めて知ることが多くてとても勉強になりました」といった感想も最近増えています。今は家庭で、あまりマナーについて教えられていないからでしょうか。コロナ禍でコミュニケーションが取りにくくなっている現状で「介護等体験で最も不安だったコミュニケーションについての講義だったので、とてもためになりました」という声もありました。

気になった点としては、マスクで顔が隠れることで、非言語コミュニケーション(表情、態度など言葉以外のコミュニケーション)が阻害され感情が読み取りにくくなることに触れて、(オンラインなので)「マスクを取ってワークをやってください」と指示したのですが、数名着けたままでした。感染予防ではなく、マスク自体をはずしたくないのでしょう。今後の課題と感じました。

「もし、介護実習がなくてもこの経験を生かして頑張りたいと思います」と前向きな思いを書いてくれた人もいました。予定は、あくまでも未定です。未来がどう動いても それを乗り越えて力にしていってもらえたら、こんな嬉しいことはありません。