第1120回 「ムー展~謎と不思議に挑む夏」

8月16日           中村 覚

唐突ですが、「ミステリーサークル・タイムトラベル・異星人~」
こんな言葉をお聞きになると、どういった反応を示されるでしょうか?

苦笑い? スルー? 好意的な方であれば「SF嫌いじゃないよ」など色々
あると思いますが、さらに言葉を視覚化して大きな文字で表現されたら。

やっぱり、そうだったのか!

可能なんだ。いるんだ。子供の頃のあのわくわくはホンモノだった!(笑)いや、それほど単純ではないと思いますが(笑)
いつかの あのわくわくを、あらためてじっくり考察してみる。そんな時間の過ごし方はいかがでしょうか。

今、高知県立文学館でオリジナル企画展「創刊 45 周年記念 ムー展」が開催されています。(9月16日まで)

雑誌「ムー」は1979年に創刊されて、今年 2024年に45周年を迎えます。
未確認生物、古代文明、UFO、超能力、都市伝説など世界の不思議や謎を多角的に紹介している月刊誌です。存在は知っていましたが、そんなに長く刊行されていたとは。

こういった「オカルト」としてのイメージの強い雑誌との企画展を文学館が開催してくれたことは、子供の頃から不思議が好きだった私にとってどれだけ嬉しいことか。 おかげさまで今年の夏は一味違います!

この企画展に至るまでの貴重なお話を、館長の澤田博睦(ひろちか)さんから伺うことができました。夏休みの時期ということで、親子で楽しんでもらえるものを。キーワードとして「謎」「不思議」「あやしい」などの言葉が出る中、雑誌「ムー」に至ったようです。そして「ムー」の不思議に対するスタンスこそが大切だと。

そして、ムーの出版元「株式会社 ワン・パブリッシング」へ。オリジナルの企画展を開催したい旨をお伝えすると、快く協力を得ることができたそうです。
私としてはどちら様にも、ただただ「ありがとうございます」。

澤田館長の「ごあいさつ」から文面の一部を紹介させてもらいます。

『「ムー」は単なるオカルト雑誌ではありません。ライター諸氏の綿密な調査・研究に基づいた考察と魅力的な図版で構成され、人間の想像力・知的好奇心を「言葉」で刺激する雑誌であり、その巧みな構成で1979年10月に刊行されてから45年間、世界文化の多様性を紹介し続けています。』

いかがでしょうか。 自分ではとてもじゃありませんが、こういった表現はできません。でも このように示して頂けると、「僭越ながら 私も同じようなことを考えておりました」と後ろの方でつぶやきたいです。

展示物の貴重な書籍やUMAのフィギュア、UFOの模型等に遊び心をくすぐられます。それとは別に、「さらに不思議を考えてみる!」 そういった心持ちにしてくれるのが、館内の壁を利用してフォーカスされた文言の数々。まさに「言葉での刺激」です。

・答えはひとつだけとは限らない。
・事実と虚構の境界にこそ、もっとも魅力がある。
・信じる・信じない、どちらも100%はありえない!

高知県にまつわるUFOに関するパネルです。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが「介良事件」というのがあります。1972年、高知市介良で中学生数人が「空から落下する発光体」を目撃。その後、捕獲!

そして好奇心 旺盛な彼らはこの謎の物体に実験をします。コンクリートブロックを投げたり、水を流し込んだりと。ところが、ナップサックに入れて運んでいる時に忽然と姿を消します。しかし翌日、再び発見。またもや捕獲!また消えてと数日間これを繰り返す内に、最後には物体は消え去ったというのです。

「銀色の小さなヘルメットみたいだった」と言われたその謎の物体のレプリカも展示されています。高さ約10㎝、幅約20㎝、重さ 約1.3㎏。

そして当時、この事件を聞いて半信半疑だったものの、わざわざ東京から文豪の遠藤周作さんが来高。当事者である子供達に話を聞く内に、彼らの表情からも決して嘘ではないとし、自身のエッセイ集にこの事件を収録したそうです。

実はこの「介良事件」の自主製作映画を撮影中とのことです。高知の謎の物体ということにプラスして50年以上も前の事ですから、昔話としての魅力も重なり、上映が楽しみです。

「謎や不思議に出会ったときには、ぜひムー編集部に連絡してください」とのこと。
実際に編集部に連絡できるような出来事に出会えるかはわかりませんが(笑)
身近な出来事にも不思議を感じられる、そんな柔軟性を大事にしたいですね。