第800回「緊張感」

5月19日               中村 覚

先日、最近では一番の緊張した出来事がありました。 事の始まりはこうです。突然 声が出づらくなり、話をしようとするとひどく咳き込んでしまうのです。仕事柄マイクを使用して人前で話をするのですが、それでもほとんど声が出ない状態。どうも喘息をこじらせてしまったようです。今まで喘息になったことなどなかったのに・・・。それもそのはず、なったのは私じゃなくて代表の筒井なんです。

マスクをした状態で、ひそひそ話をするように小さな声で 「これぐらいしか 声が出せないの」 と言うわけです。日頃の元気な様子とあまりに違うので、最初は手の込んだ冗談かと思いましたが、話をしている内にこれは もしや~

「ホント、大丈夫ですか?」
「・・・」
お返事がない。 こりゃホントだっ!

さぁ こっからです。声が出づらいので、「研修の一部分を代わりに担当して。」と言われ、まさに晴天の霹靂、寝耳にお湯。

確かに、私が担当すれば、その分だけ喉を休ませることができます! 理屈じゃわかりますが、そんな自信のないことを引き受けていいものか どうか。
お役に立ちたい~と言うか、なんで自分の声は普通に出ているのか、私の方が出ていなければ良かったのに・・・。(笑)

ということで、原稿をもらったのが研修の2日前でした。とは言っても、毎年横で聞き慣れた研修内容の小一時間ぐらいです。

まずは書いてある内容を把握します。聞くと話すでは大違い!全文 覚えることができればいいのですが、そんなウルトラCはできません。大事な表現にチェックを入れて、何度も読んで流れを覚えます。こうしておけば、発表する際に原稿を棒読みすることだけは防げるからです。

次に自然に話せるように、日頃から自分が使い慣れている言葉にある程度原稿を書き換えます。ニュース原稿とは違い、一字一句、間違わずに言う必要はないので、その点では助かります。例えば「心遣い」を「気配り」に変えるといった具合です。こうすると覚えやすく、本番の時に自然に言葉が出やすくなります。

今までの経験則からいくとこれで準備完了です。 いや完了ではないです。できればもっと練習時間が欲しいのですが、そんなことは言っていられません。

そして研修、当日。 いつにも増して変に緊張しているなと自覚してのスタートです。開始10分ぐらいでしょうか。急に頭が真っ白になりました。次に何を言ったらいいのかわからなくなったのです。わからなくなれば原稿に目を戻せばいいというのは理屈です。 が、緊張しているので、原稿を見ても 今どこを読んでいるのかわかりません。 「・・・」 空白の時間が流れます。その間、2~3秒でしょうか。私にはとても長く感じられ、何か言わなければ、何か言わなければと 頭の中で言葉を探します。

こういう時って、出てこないんですね、言葉が。

苦し紛れにやっとの思いで出てきたのが「ちょっと、何て言っていいのか わかりませんが~。」でした。自分でも『なんじゃ それは? 君、君、大丈夫?』

妙な発言をしたためか、この後、緊張がほぐれて元に戻りましたが・・・。

今回思ったのは、緊張してしまうこと自体は 大なり小なり いつものことですから、それはちょっと横に置いておいて~。とにかく もっと語彙を増やさなくては!それと、グッとチューブを握れば 自然に出てくる歯磨き粉のような、緊張に左右されない対応力。

対応力は一朝一夕にはいきませんが、語彙力をつけるためには基本中の基本、まずは毎日の読書から始めたいと思います。