第811回 「セリグマン博士のPERMA51」

8月1日

心理学の教科書にも載っている世界的権威、マーティン・セリグマン博士のポジティブ心理学のワークショップが2018年7月末、ついに開催されました。公式アシスタントとしては3月から学ばせて頂いていたので、感無量。写真は3日目のカンファレンスですが、ご覧下さい、すごい人数でしょう?千人くらいいたのかなぁ。最前列の左の方には鳩山元首相もいらっしゃいました。

このイベント、元々は矢澤祐史さんという方が、3年にわたり7回も博士にメールをし、99%断られるオファーをお願いし続けた熱い思いが形となったものです。矢澤さんの気概には、何度も圧倒されました。

ところでセリグマン博士曰く、ポジティブ心理学が誕生したきっかけは22年前の日本。アメリカの心理学会の会長だった時に初来日し、仏教の話を伺ったことだったそうです。

それまでは従来の心理学をベースに「人は心の病などの苦しみを解消すれば、幸せになれる」と信じていたのに、実際には苦しみを解消しても空虚になるだけの人を前に「ただ苦しみを取り除くのではなく、健全なものを積み上げるようにしたい」「いい人生を作るための心理学はないのか?」という思いが湧いたそうです。こうして、ポジティブ心理学は生まれました。

現在の日本は経済的豊かさは世界で6位なのに、幸福度はなんと58位だとか。
では、私たちがより幸せになるには、どうしたらいいのでしょうか?セリグマン博士は刹那的な快楽とは違う、ウェルビーイング(持続的な幸せ)を築くためには「PERMA(パーマ)」の5大要素を提唱されています。

Pは、Positive emotion(ポジティブな感情)
Eは、Engagement(夢中になる状態)
Rは、Relationships(良い人間関係)
Mは、Meaning(人生の意味や意義)
Aは、Accomplishment(達成や成功)

たとえば…

P:ポジティブ感情
土佐人は「脳と口が直結してる」人が多く、思ったことを臆せず表現しますよね。お酒好きで陽気なので「楽しい!」「大好き!」などのポジティブ表現は日常、多いように感じます。

E:夢中になる、何かに没頭する
「何かに集中して、時間があっという間にたった」。いわゆるフロー体験、スポーツでは「ゾーン」と呼ばれるものです。フィギュアスケートで金メダルを取った羽生結弦くんがその演技の最中は「風や川の中にドプンと入っている感覚、自然の中に溶け込んでいく感じだった」と語っていましたね。無心になり、今この瞬間に集中することです。

R:良い人間関係
「高知家は一つの家族やき。」という高知県のCMがありましたね。その通り、高知は人との関係性が近いし、お節介な世話焼き人が多い。お遍路さんに対してのおもてなし=お接待するなんていうのもそうでしょうね。良い人間関係が、ストレートに良い人生につながるのはご存じの通りです。

M:人生の意味や意義
セリグマン博士は、日本語なら「生き甲斐」ではないかとおっしゃっていました。生きる理由、「このために朝起きる」ことですね。沢山物を買うのは助けにならない、意義のある活動や人を助ける活動が必要とのことでした。でも「あなたの人生に意味はあるか?」は大きすぎる問いなので、「あなたは周りの人にとって大事な存在ですか?」でもいいそうです。

A:達成や成功
今までの4つがなくても、このAが重要、と追求されることも多いですね。成功なんてまさにそうで、勝つことさえできれば後の4つは犠牲にしても~、なんてことも珍しくありません。でも土佐人は成功するよりも、やりきることの方を重要視してるような気もするなぁ…。

このPERMAは驚くことに測定可能です。億を超えるネットのビッグデータから、「ツイッターなどで使う言葉の分析で、地域の心血管疾患の死亡率を予測できる」という論文まで出ているそうです。すごい時代!

そしてセリグマン博士は、PERMA51=「2051年までに世界中の51%の人が、ウェルビーイング(持続的な幸せ)を実現する」ことをめざしていらっしゃいます。スタッフの着用しているTシャツも、それをデザインしています。

ところが今回の日本のスタッフと来たら、せっかちなもんで
「2051年は遠すぎる!2025年までに、日本の25%の人がウェルビーイング(持続的な幸せ)を実現することをめざそう!」なんて花火を打ち上げちゃいました。PERMA25 JAPANです。いや~、なんて最幸なんでしょうか。(笑)

そしてもちろん私も、そのお手伝いをさせて頂ければ、と思っています。