第892回 「光と陰~新型肺炎に思う」

3月1日

コロナウイルスで亡くなられた方々に 心からお悔やみ申し上げます。
現在闘病なさっている世界中の方々が、早く回復に向かわれますように。

「アメリカと、アフガニスタンの反政府勢力 タリバンが和平合意に署名した」という世界的ニュースよりも 新聞紙面で大きな見出しとなっているのは、新型コロナウイルス肺炎に関するニュースです。

安倍首相の突然の学校休校要請からの社会の大混乱。本来3月は観光シーズンの幕開け時期ですが、「土佐のおきゃく」などのイベントや、300年以上の歴史ある日曜市までもが軒並み中止へ。観光産業、イベント業への影響は深刻ですが、研修業も例外ではなく 3月は中止が相次いでいます。日本全体の経済への打撃は計り知れません。

高知でも2月29日に感染者が出たとの発表があり、報道も一気に緊迫してきました。見えないウイルスへの不安、おびえからどんどん日本の社会が混迷して来ているのを感じます。マスクの払底でトイレットペーパーもなくなるというデマから起きたトイレットペーパー騒動。高知でも例外ではなく、スーパーの棚からなくなっています。

トイレットペーパーの原料はマスクとはまったく違うし「在庫は潤沢にある」のに、そういうデマによって値段をつり上げ、荒稼ぎをしたい人がいるのでしょう。
さっき見ると、アマゾンでもマスク2000枚でなんと35万円!恥を知れ、と思います。こうした行き過ぎた行為には法的な規制が必要ではないでしょうか。

反面、「ハンカチをこう折って輪ゴムを付けるとマスクになりますよ」などと動画で紹介している優しい人たちもまた少なからずいることに、救われる思いです。

世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの感染予防で、「せきやくしゃみの症状がない人は、予防目的でマスクの着用をする必要はない」としました。予防はできないんですよね。マスクの供給不足に拍車をかけないため、過度の使用を控えるよう呼びかけたそうです。

確かに新型肺炎の治療薬はまだできていませんが、それは風邪だって同じことではないでしょうか。不必要にパニックを起こさないことが大事なように思います。

高知県の感染症対策の専門家、吉川清先生は、
「感染者の8割ほどが軽症なので、高齢者や糖尿病、心不全などがある人以外は、恐れすぎないように。咳エチケットを守り、外出後は20秒以上石けんで手洗いすること。感染した人を悪く言わないこと。十分な睡眠を取るなど、免疫力を下げないこと」と話されています。

今、心をどう平穏に持ちこたえていくのかが問われているように思います。
この不安感をどう拭えばいいのでしょうか?
最近読んだ田坂広志さんの「運気を磨く」に、そのヒントが書かれていました。

ある企業が取引先との間で深刻な問題が起き、みんなが「会社が吹っ飛ぶのではないか」との顔面蒼白の経営会議での、経営者の一言。

【「ああ、大変なことが起こったな!
  これは、下手をすると会社が吹っ飛ぶぞ。
  だがな、最初に言っておく。
  命取られるわけじゃないだろう!」

この一言で、居並ぶ幹部も、それまでの顔面蒼白の状態から、一瞬で何かをつかんだのであろう。一同、見事に腹が据わった。】

今回の新型コロナウイルス肺炎でも同じではないでしょうか。
デマに惑わされず、腹を据えて情報の真偽確認をし、自分にできることを堅実にコツコツとやっていくこと。

【我々の心の奥深くには、実は、我々自身の想像を超えた「強さ」が眠っている。
たしかに、日常の平穏な感覚に慣らされた人が、突如、深刻な問題や厳しい環境に直面して、この覚悟を定めることは、それほど容易ではないだろう。
 だが一方で、人間というものは、ぎりぎりまで追い詰められたとき、不思議なほど腹が据わることも事実である。そして、腹が据わったとき、やはり不思議なほど、「叡智」が下りてくる、「勇気」が湧き上がってくることも事実である。】

【命あるかぎり、人生の陰を、光に変えていくことができる。】

あなたは、人生の陰にとらわれ過ぎていないでしょうか?
人生の陰を、光に変えられるようでありたいものです。