第919回 「暑さのせい。」

9月5日              中村 覚

ムワァ~っと熱波が体中にまといつくような暑さ。日中 家の中の温度計が35℃前後をさしても もう驚きません。慣れちゃった。いつものように冷房をかけて適度に涼しくなった頃合いをみて再び温度計に目をやると30℃。暑さの基準が昔と違います。異様な暑さを感じ始めたのは4~5年前ぐらいでしょうか。いや、もうちょっと前のような気もしますが、とにかく地球がおかしい。

昼間、車で移動する際も冷房の強さを「2」か「3」にしなければ効きません。「1」だと音もうるさくなくて良いのですが、暑さに負けてしまい何の効果もありません。すっかり冷房に慣れてしまい体が贅沢になったのか? いいえ、暑すぎるのです。

先日のこと。店に立ち寄り、数十分後 車に戻ってきて、エンジンをかけると外気温40℃と表示されました。こんな数値は初めて。駐車中に太陽の熱で焼かれたボンネット辺りで(?)測定している数値だとは思います。走行し始めて数分も経てば35℃前後に戻ります。~にしても、やっぱり暑いです。

とっぷり日が暮れた後も 部屋の温度は昼の続きですから、扇風機では ただ熱風をまき散らすだけ、何の役にも立ちません。テレビではアナウンサーが熱中症予防のため夜間も冷房をつけたままでの就寝を促します。

そんな暑さの続くある日の午後。家に届く郵便物を楽しみにしていました。追跡番号をネットで検索すると郵便局を通過して「持ち出し中」とあり、もうそろそろ届くころだと若干気持ちも弾みます。何気なく庭を見ると、熱気で空気がゆがんでいるかのよう。

暑すぎるせいでしょうか、今まで考えもしなかったことが頭に浮かびます。
「荷物を持ってきてくれる人に 飲み物を渡そう。」
ちょうど 知り合いから箱でもらった缶ジュースがまだ数本残っていました。しかし常温で保存してあったので、あわてて冷凍庫に入れて急ピッチで冷やします。配達の人はもうすぐ来るはず。

ピンポーン、ほどなくインターフォンが鳴ります。「えっ?」思っていた以上に早い到着に あたふた。まだジュースは冷えていません。 仕方ない。 気は心? 荷物を受け取る際に「暑いですね、よかったら これ どうぞ。ちょっと(いや かなり)冷えてないですけど・・・。」

と出したものの 小さめの缶とはいえ、ゴミになってもいけないと思い「ここで飲んで行きませんか?」と聞くと「(車内に)急冷ボックスがあるので。」と言い そのまま持って帰ってくれました。

こんなことをしたのは人生で初めて。突発的なことでした。暑さのせいです。これほどの暑さでなければこんなこと・・・。(笑)

ところが、ジュースを渡した後、どうもしっくりこない このわだかまり。20分ぐらい経って、はたと気付きます。そう言えばあの配達の人「ありがとう」はなかったなと。

別に「ありがとう」と言われたくて出したわけではないのですが・・・。あぁ、そうか。 好きなジュースじゃなかったのかな? じゃぁ 断ってくれればいいのにぃ。(笑)

暑さのせい。こんなことを言うなんて。(笑)